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決戦の時は来た。
今回は迎撃ではなく、こちらから侵攻していく形となる。タイミングは無い。準備が整ったら向かうのみだ。
善意の剣を携えたドラゴン族を先頭に、同じく善意の剣を持つトリ族が空で、ネコ族、ブタ族が地上でそれに続く。
皆、精悍な顔つきをしている。大軍を迎え撃った際の不安めいた面持ちとはまるで違う。希望に満ちた表情だ。
「ブヒタロウ、随分と張り切ってるな」
ブヒゾウは横で息巻くブヒタロウを一瞥した。ブヒタロウはブヒゾウの声が届いていない。
「オイラは天才、オイラは天才……」
「……なにブツブツ言ってるんだ?」
「うおお、腕が鳴るぜぇ」
戦いを前に武者震いをしているノモン。
「あんまり暴れちゃだめミャ」
「分かってる、オレが相手を押さえつけとくから、剣で頼むぞ」
「任せるミャ」
「終わったらオレの所に来るか? いいネズミが手に入ったんだ」
「遠慮しとくミャ」
「ウーララ、歌いたくなるような高揚感!」
「サントーリオ兄さん、あまりはしゃぎすぎないようにしてください」
「何を言う、サントリーオ。お前には分からぬのか。まだまだ嘴が黄色いな」
「いや、元々やがな!」
「イワンニコフちゃん、今はまだ出番じゃないからねぇ。眠ってていいよぉ」
「ゴロロロ」
「わたしが敵を片っ端から蹴散らしちゃうんだからぁ」
「……なんかさっきから私にホイホイがウインクしてくるんだけど」
とビョウブは寒気で体を震わせていた。
「……なんか褒めたら、やたらと自信持っちゃったみたい」
「もう、ダメよ、ヨキちゃん! ああいうタイプはきつく言ってやらないとつけあがるだけなんだから」
「ははは……」
ヨキは隣で笑うカナを見つめた。
「カナは剣、いらないのか? あれば僕が触れなくてもひとりで悪意を治せるのに」
「大丈夫。剣は持つべき人が持つものだと思うから」
カナはヨキに微笑んだ。
「わたしはヨキに触れられてるほうが安心して魔法を撃てるんだよね」
ヨキは存在意義を得た気がしてカナに微笑んだ。
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
ヨキの合図と共に、調子に乗ったホイホイが皆の頭に告げた。
「野郎ども、行くぞぉ!」
「おおおお!!」
一同はうねる大波のように隣国へ向けて突貫した。




