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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第4章 ディーカイト・カゲ国編
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「どうしましょうか?」


ドラゴン族を含めた皆が集結し、これからの対策をヨキは尋ねられた。皆が注目し、ヨキの言葉を待っている。


ヨキは考えを(めぐ)らせた。ドラゴン族ゲキリンの言葉が脳裏を(かす)め、こびりついて離れない。


ヨキは決意を目に浮かばせ、皆に顔を向けた。


「ドラゴン族に半分の剣を貸してやってくれ」


ヨキの発言に一同は驚いた様子だった。


ヨキは静かな口調で皆に語った。


「この一連の戦いは亜人による国取りゲームだ」


そこにいる者達はどよめいた。その事実を知らない者がほとんどだった。何も知らされずに種族間の戦いに赴き、そんな無益な理由で仲間や大事な人を失ったのである。


「亜人として恥ずべき行為だ。申し訳ない」


ヨキは深く頭を下げた。

一同は静かに聞いていた。皆、思うところがあるだろう。複雑な表情を浮かべている。


「僕は正直、ドラゴン族とムシ族の抗争を傍観しようとした。争っている間に他の国へと侵入するほうが得策だと考えたからだ。


けど、それは……やめる」


ヨキは拳を固く握った。


「いつの間にか僕も効率良く事を運ばせることばかり考えていた。

それじゃ僕も勝つことしか考えない(にっく)き亜人の侵略と考え方は一緒だ」


ヨキは体中に湧き上がる意欲を噛みしめ、一同に目を向けた。


「僕の目標はすべての種族から悪意を取り除くことだ」


ヨキはドラゴン族へ目を向けた。


「我々には15万ものドラゴン族の仲間がいる。もう彼らは僕らの仲間なのだ。彼らのためにも我々はドラゴン族を解放する。そして敵対するムシ族も助ける」


「そんなこと可能でしょうか?」

そんな声が上がったが、ヨキの想いは揺るがなかった。


「出来る限りだ。出来()る限りだ。

すべての命を救うことは不可能かもしれない。それでも僕は最善を尽くしたい。


出来る限り、出来得る限り」


ヨキは皆の顔を見渡した。


「力を貸してほしい」


ヨキは拳を強く握り、皆の前に突き上げた。


「彼らを救うぞ!」


一同は士気が高まり、渦のような(とき)の声をあげた。特に15万人のドラゴン族はヨキの言葉に(いた)く感動し、その歓声にも似た雄叫びは地上を揺るがすほどの(とどろ)きとなった。



「相変わらず素晴らしい演説だったわ」

ビョウブが演説を終えたヨキの(そば)でそう言った。


ヨキは表情を変えずに答えた。恥じらったり、はにかんだりはもうしていない。


「もう身の丈に合わない演説じゃないよ。僕の本心を皆に伝えただけだ」


凛としたヨキの表情に、ビョウブはヨキの(たくま)しさを感じた。


去りゆくヨキの背中をビョウブは見つめた。


「大人びてたら、いつの間にか本当に大人になってた、ってことね……。この短期間であなたは正真正銘のリーダーになったのね」


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