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一同は思いがけない事態に驚愕した。ドラゴン族からは絶叫にも似た悲痛な声が上がった。
「イデヨ様が!?」
「そんな!」
一瞬、皆の目がホイホイに向けられた。
「ぼ、僕たんじゃないよ!」
ヨキは端から疑ってはいなかったので、ホイホイに視線を注ぐことなく考え込んだ。
「誰も入れないはずの部屋で死んでいた……。ミステリーか?」
ネコ族はお手上げといったように手を広げた。
「詳しいことは分からニャいが、施設周辺は大混乱ニャ」
ヨキは頭を悩ませた。
「いったい何があったんだ?」
ビョウブは事の重大さに考えを巡らせた。
「イデヨが死んでいるとなると……つまり……」
皆は考えたくない現実を口にするのを憚った。
ヨキはそれを受け止め、皆に突きつけた。
「ドラゴン族を治すには、30万を相手にしなくてはならない、ということだ」
一同は消沈して言葉を失った。15万人相手でも熾烈だった戦いを、その倍の相手と繰り広げなければならない。
過酷であることは想像に難くない。
「とにかく詳しい情報が知りたい。ホイホイ、さっき使った能力でドラゴン族とコンタクトを取れるか?」
ホイホイは頼られたことに気分を良くした。
「オレの力が必要か。ふははは、仕方のない奴だ。ただ、そうしたいのは山々だが、あれは送ることは出来ても、受信は出来んのだ、ふははは」
「そこ、笑うとこじゃない!」
「ご、ごめん……」
ホイホイは素で謝った。
「ではとにかく3人は潜入し、情報を得てくれ。その情報は我々に送れるな?」
「それなら造作ないことだ。任せとけ」
ホイホイは自信を取り戻した。
「こちらから指示は出せない。情報を送ったら速やかにここへ戻ってくるんだ。手出ししてはならないぞ」
3人は了解した。そして足早に施設を目指して走っていった。
ヨキはどっかりと疲弊した腰を下ろしてビョウブに尋ねた。
「他の国がドラゴン族を攻めたのかな」
ビョウブは徐に頷いた。
「それもあり得るわね。ただ閉じ籠もったイデヨをわざわざ狙うなんてこと、我々以外にするかしら?」
確かに他国にはイデヨだけを狙うメリットがない。
「他の隣接している国は他にどういう所だ?」
「我々と反対側、つまり北側に位置する国は2つ。キツネ族とタヌキ族の統治するバッカス国と、もうひとつは、アルージ国」
ビョウブは目を据えて強調した。
「我が亜人の国よ」




