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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第4章 ディーカイト・カゲ国編
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「さて、あとはドラゴン族の(おさ)イデヨだな」

ヨキは次の目標に頭を切り替えた。


「そうね。ホイホイ、イデヨはどこにいるの?」


ビョウブに()かれてホイホイは指を忙しなく胸の前で動かしながら答えた。


「えっと……、ほ、北西のドームかな」


「よく閉じ込められたな」


「ねちねちと『お前はダメな奴だ』と(ささや)いてたら、()ねて閉じ()もっちゃった」


「陰険な手だな!」


「うまく誘導して、しめしめと思った」


ホイホイは少し得意気に語った。


「閉じ込めたってことは、その扉も開けることが出来るわけだ」


「で、でも内側から鍵を掛けてるかもしれない」


「なんで自分で掛ける?」


「ね、眠りを邪魔されたくないから、元々施設には内鍵があるの。……ごめん」


「別に謝ることじゃないけど。でもそうなると困ったなぁ」


「ヨキ様! ヨキ様!」


「うわっ!」


急に目の前で声がして、思わずヨキは絶叫した。

ひょこひょこと耳が動いている。


「ブヒタロウ! 急に話し掛けるんじゃないよ!」


「そんなぁ! ヨキ様、冷たいでげすよ!」


「まだ元に戻らないのか?」


耳がしんなりと垂れ下がった。


「それが……ドラゴン族が言うには、『戻れ』って願うと戻るそうでげすけど、うまくいかないですよ」


「じゃあ、ずっとこのままだな」


「イヤでげすよ!」


「仕方ないじゃないか。みんなブヒタロウに気付かず、一生見てくれないままだ」


「イヤでげす!」


「そしてブヒタロウのことを忘れていく」


「そ、そんなのイヤでげすよぉ!」


ブヒタロウは必死になって叫んだ。


「戻れ! 戻れ! 戻れぇぇ!」


そう叫んだ時、ブヒタロウの姿が突如現れた。半べそをかいて、自分の体が元に戻ったのを確かめた。


「も、戻ったぁ!」


喜ぶブヒタロウにヨキは(さと)した。


「お前は危機感を覚えないと力を発揮しないみたいだからな。本気で戻りたいとこれからちゃんと思うんだぞ」


「ヨキ様……」


ブヒタロウはヨキに抱きついた。


「やっぱりヨキ様はオイラに一番優しいでげす!」


ブヒタロウは「みんなに見せてくるでげす」と言い残して、颯爽(さっそう)と駆けていった。


ホイホイは一連の(くだり)を微笑ましく見ていた。


「仲良いね」


「そうかな? まぁ、ブヒタロウはああいうヤツだから憎めないってだけだよ」

面と向かって仲良しと言われると照れくさくてヨキは頭を()いた。


ホイホイはブヒタロウの走ってゆく後ろ姿を眺めて(つぶや)いた。


「それ以上に、ふ、2人を見てると犇々(ひしひし)と伝わってくるんだ」


「何を?」


ホイホイは確信めいた口調で言った。


「2人の運命めいた強い(きずな)を」


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