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「さて、あとはドラゴン族の長イデヨだな」
ヨキは次の目標に頭を切り替えた。
「そうね。ホイホイ、イデヨはどこにいるの?」
ビョウブに訊かれてホイホイは指を忙しなく胸の前で動かしながら答えた。
「えっと……、ほ、北西のドームかな」
「よく閉じ込められたな」
「ねちねちと『お前はダメな奴だ』と囁いてたら、拗ねて閉じ籠もっちゃった」
「陰険な手だな!」
「うまく誘導して、しめしめと思った」
ホイホイは少し得意気に語った。
「閉じ込めたってことは、その扉も開けることが出来るわけだ」
「で、でも内側から鍵を掛けてるかもしれない」
「なんで自分で掛ける?」
「ね、眠りを邪魔されたくないから、元々施設には内鍵があるの。……ごめん」
「別に謝ることじゃないけど。でもそうなると困ったなぁ」
「ヨキ様! ヨキ様!」
「うわっ!」
急に目の前で声がして、思わずヨキは絶叫した。
ひょこひょこと耳が動いている。
「ブヒタロウ! 急に話し掛けるんじゃないよ!」
「そんなぁ! ヨキ様、冷たいでげすよ!」
「まだ元に戻らないのか?」
耳がしんなりと垂れ下がった。
「それが……ドラゴン族が言うには、『戻れ』って願うと戻るそうでげすけど、うまくいかないですよ」
「じゃあ、ずっとこのままだな」
「イヤでげすよ!」
「仕方ないじゃないか。みんなブヒタロウに気付かず、一生見てくれないままだ」
「イヤでげす!」
「そしてブヒタロウのことを忘れていく」
「そ、そんなのイヤでげすよぉ!」
ブヒタロウは必死になって叫んだ。
「戻れ! 戻れ! 戻れぇぇ!」
そう叫んだ時、ブヒタロウの姿が突如現れた。半べそをかいて、自分の体が元に戻ったのを確かめた。
「も、戻ったぁ!」
喜ぶブヒタロウにヨキは諭した。
「お前は危機感を覚えないと力を発揮しないみたいだからな。本気で戻りたいとこれからちゃんと思うんだぞ」
「ヨキ様……」
ブヒタロウはヨキに抱きついた。
「やっぱりヨキ様はオイラに一番優しいでげす!」
ブヒタロウは「みんなに見せてくるでげす」と言い残して、颯爽と駆けていった。
ホイホイは一連の件を微笑ましく見ていた。
「仲良いね」
「そうかな? まぁ、ブヒタロウはああいうヤツだから憎めないってだけだよ」
面と向かって仲良しと言われると照れくさくてヨキは頭を掻いた。
ホイホイはブヒタロウの走ってゆく後ろ姿を眺めて呟いた。
「それ以上に、ふ、2人を見てると犇々と伝わってくるんだ」
「何を?」
ホイホイは確信めいた口調で言った。
「2人の運命めいた強い絆を」




