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ペンダントを食らったドラゴン族から紫のオーラが消えていく。
ホイホイがビョウブへ再び目を向けると、剣を構えて向かって来ていた。
「ちっ」
ホイホイはその前にクックル王に悪意の気砲を放とうと身構えた。
「クックル王!」
サントーリオの悲痛な叫びが響く。
しかしクックルの体は、あり得ないほど急激な動作で宙に浮くと、そのホイホイの照準をぶらせた。
「なに!? な、なんだ、あの動きは!?」
ホイホイが驚愕する。
クックルが宙に浮いて逃げようとしている。しかし動きが変だ。まるで自分の意図と関係なくその場を離れていくようだ。
ホイホイはその時、一瞬だけ躊躇した。最善手を迷った。
このクックル王に悪意を放つか、しかし避けられるかもしれない。では倒れたドラゴン族に悪意を放って手駒を増やすか、しかしいつ起き上がるか分からない。
ではビョウブの剣の攻撃に備えるか、もうひとつの捨てた善意のペンダントを手に取ったら魔法を放ってくるだろう。それを避けるのが先決か。
ここでヨキとケージが参戦したら、3vs1の不利状況になってしまうのではないか。更にトリ族までいる。
その選択肢の多さが、ホイホイを一瞬硬直させた。
ホイホイは頭の良さを自負していた。だからこそ常に最善手を求めてきた。
今、最善手を求めるが故に、次の一手を躊躇った。
そのホイホイの体が『く』の字に横へ曲がった。
「うげっ!」
ビョウブの剣がホイホイの脇腹を殴打した。
両刃の剣であったが、刀身を立て、フラーと呼ばれる刀の膨らんだ側面でホイホイの横っ腹を打擲した。
息の吸えないホイホイは腹を押さえて蹲った。
ビョウブは剣を下ろし、ホイホイを見下ろした。
「おいたはおしまいよ、おねんねしなさい」
ビョウブは足元に落ちたペンダントを拾い上げ、這い蹲ったホイホイに魔法を放った。
「うおおお!」
ホイホイは唸り声を上げ、体からは紫のオーラが消えていった。




