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ホイホイの人差し指からドロドロしたオーラが飛び出した。
ビョウブは前転してギリギリで躱した。
「ほらほら、当たると太るぞ!」
ホイホイは次々と指弾を放つ。
「いやぁ! 太りたくない!」
ビョウブは必死でそれを避け続ける。
「ほれほれ!」
「いやぁ! イヤだぁ!」
ヨキは呆然と傍観していた。
「……自分のコレステロールを放っているのかな」
ケージも冷めた表情で見ている。
「……かもね」
「恐るべし! まさに悪意の塊!」
「まぁ、確かに勝手に太らされたらイヤだねぇ」
「おまけに動脈硬化によって心筋梗塞で死に至らしめるなんて、悪意しかないぞ!」
ホイホイのコレステロール弾を必死で避けるビョウブ。それは命の危険というより、ただ太りたくないという一心で逃げているといった感じだ。
ホイホイは魔法を打ち続けた。しかしなかなかビョウブには当たらない。ホイホイのほうが段々と息切れし出した。
「い、いい加減、観念しろ」
「イヤよ!」
ビョウブはクルクルと回転して避ける。
傍観しているヨキは戦況を窺っている。
「コレステロールを放ってる割にはあいつ、全然痩せないな……」
ケージは興味なさげに答える。
「体内で作り続けてるのかもね」
「コレステロールの永久機関……。悪意しかない……」
「はぁ、はぁ」
ホイホイは胸を押さえ、魔法を止めた。
運動不足だろうか。
「オ、オレがヤバい……」
前屈みになって、休憩するホイホイに突如何かが飛んできた。ホイホイはそれを見極め、反射的に避けた。
「うおっ、危ねぇ!」
ホイホイはビョウブのほうに目を向けた。膝を突いて剣を構えている。ビョウブが何かを飛ばしてきたのが分かる。
ビョウブがハッと思いついた。
「さっき小僧が捨てたペンダントか! お前の狙いはこれか!」
ビョウブはクルクルと地面を回りながらペンダントを探り、剣に引っ掛けてホイホイに投げ飛ばしたようだ。
「ふっ、姑息な真似を。だが当たらねば単なる河原の石と同じだ」
そう嘲笑したホイホイの背後から叫び声が響いた。
「ぐおおお!」
振り返ると、クックルを監視していたドラゴン族が雄叫びをあげていた。
ビョウブがホイホイに向けてニヤリと笑った。
「あんたに投げたんじゃないわよ」




