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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第4章 ディーカイト・カゲ国編
112/161

16


ホイホイの人差し指からドロドロしたオーラが飛び出した。


ビョウブは前転してギリギリで(かわ)した。


「ほらほら、当たると太るぞ!」

ホイホイは次々と指弾を放つ。


「いやぁ! 太りたくない!」

ビョウブは必死でそれを避け続ける。


「ほれほれ!」


「いやぁ! イヤだぁ!」


ヨキは呆然と傍観していた。

「……自分のコレステロールを放っているのかな」


ケージも冷めた表情で見ている。

「……かもね」


「恐るべし! まさに悪意の塊!」


「まぁ、確かに勝手に太らされたらイヤだねぇ」


「おまけに動脈硬化によって心筋梗塞で死に至らしめるなんて、悪意しかないぞ!」


ホイホイのコレステロール弾を必死で避けるビョウブ。それは命の危険というより、ただ太りたくないという一心で逃げているといった感じだ。


ホイホイは魔法を打ち続けた。しかしなかなかビョウブには当たらない。ホイホイのほうが段々と息切れし出した。


「い、いい加減、観念しろ」


「イヤよ!」


ビョウブはクルクルと回転して避ける。




傍観しているヨキは戦況を(うかが)っている。

「コレステロールを放ってる割にはあいつ、全然痩せないな……」


ケージは興味なさげに答える。

「体内で作り続けてるのかもね」


「コレステロールの永久機関……。悪意しかない……」




「はぁ、はぁ」


ホイホイは胸を押さえ、魔法を止めた。

運動不足だろうか。


「オ、オレがヤバい……」


前屈みになって、休憩するホイホイに突如何かが飛んできた。ホイホイはそれを見極め、反射的に避けた。


「うおっ、危ねぇ!」


ホイホイはビョウブのほうに目を向けた。膝を突いて剣を構えている。ビョウブが何かを飛ばしてきたのが分かる。


ビョウブがハッと思いついた。


「さっき小僧が捨てたペンダントか! お前の狙いはこれか!」


ビョウブはクルクルと地面を回りながらペンダントを探り、剣に引っ掛けてホイホイに投げ飛ばしたようだ。


「ふっ、姑息な真似を。だが当たらねば単なる河原の石と同じだ」


そう嘲笑したホイホイの背後から叫び声が響いた。


「ぐおおお!」


振り返ると、クックルを監視していたドラゴン族が雄叫びをあげていた。


ビョウブがホイホイに向けてニヤリと笑った。


「あんたに投げたんじゃないわよ」


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