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「それってどういうこと!?」
カナは思いがけないことに困惑した。
ネコ族は息を整えながら忙しなく喋った。
「バックという亜人がドラゴン族を仕切ってたニャ。けど既にバックは死んでいるニャ」
「何が原因だ?」とヨキは尋ねた。
ネコ族は首を振った。
「分からないニャ。ただ異様な死に方だったとドラゴン族は噂してたニャ」
「異様な……死に方?」
ビョウブは一通り話を聞いて、顳顬に人差し指を添えながら冷静に分析した。
「ドラゴン族にやられた……ってことではないようね」
「じゃあ、いったい誰が?」
ビョウブは考えをまとめ始めた。
「……ムシ族国の亜人ホイホイの仕業……じゃないかしら」
「ムシ族国の亜人が?」
ヨキはビョウブに尋ねた。
「この国取りゲーム、互いの国力勝負みたいなところがあるわけよ。けど、最弱のムシ族を仕切るホイホイは最も簡単で残忍な手段に至った」
「どういうことだ? バックを殺したのはホイホイだと?」
「ホイホイは奇妙な魔法を使うって噂を聞いたことがあるの。バックの異様な死に方って報告にも合致する」
何をしでかすか分からない、そんなタイプだとビョウブは言っていた。
「ホイホイはムシ族を見捨ててドラゴン族に取り入った。そして配下につくと見せかけてバックを仕留めた、……とかね」
「ムシ族を生け贄に?」
「そうね、敢えて負けさせたのかもしれないわね、ドラゴン族に取り入るために」
「本当だとしたら、そりゃ悪い奴だ! 悪意しかない!」
ビョウブは冷たい風に靡く前髪を掻き分けた。
「推測が正しければね。でもホイホイならやりかねないわ」
状況が入り組んでいる。
もし推測が当たっているなら、今、ドラゴン族を仕切っているのはホイホイということになる。
「相手が狡猾な手段を使うと意識して、こちらも気を引き締めないといけないわ」
地上に一陣の風が吹いた。北の湿地から生温い蒸気が地を這っている。
ブヒゾウはポケットに入れた魔法石を握った。体が紫のオーラに包まれる。
「来たぞ!」
陽が真上に差し掛かる頃、ドラゴン族はトンディーク国への侵攻を開始した。




