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王宮を出ると、陽は既に傾いていた。今のヨキはやることが山積みで、1日があっという間に過ぎてゆく感覚だった。
「素晴らしい熱弁だったわね」
背中からビョウブが話し掛けた。
「からかうなよ」
ヨキは苦笑いを浮かべる。
「違うわよ、みんなやる気出したじゃない」
ヨキは頭を掻いた。
「みんな僕に合わせてくれたみたいだな。僕が励まされちゃったよ」
ヨキは苦笑して凝った肩を揉んだ。
「あんまり仕切る柄じゃないんだけどなぁ。なんか立場上そうなっただけで」
ビョウブは口を押さえて笑った。
「その割には上手かったわ。ちょっと堅苦しい演説だったけど」
ヨキは思わず顔を赤らめた。
本来、自分が高校生であったことを忘れて、無意識につい大人ぶって力説した。
知らず知らずに歴史の教科書に載るようなリーダー像を真似ていたのかもしれない。
「ところで、そのドラゴン族の国の亜人ってどんなタイプ?」
ヨキは横を歩くビョウブに尋ねた。
「ああ、バックね」
「魔法使いか?」
「そうよ」
「魔法使いばっかだな。それだけ魔法が強いってことか」
「そうね。国を統括するんだもの。並の亜人じゃ出来ないわ。魔法を使えないと」
「どんな魔法使いなんだ?」
「うーん、あまり知らないけど、魔法使いとしてはたいした実力はなかったと思うわ」
「ドラゴン族を制圧したのに?」
「長のイデヨは大きい分、制圧も簡単だったのよ。尻尾の先にでも悪意を当てちゃえばいいわけだから。しかも常に泥酔してるし、寝込みを襲うことも出来る」
「そういうことか」
「バック、その魔法使いのことね、バックは弱いけど、ドラゴン族を簡単に制圧して強大な国を得た。ドラゴン族は他の種族と比べても戦闘力は高いし。ローリスク、ハイリターンの典型ね」
「じゃあ、イデヨやバックを抑えるのは容易いかな?」
「その2人なら。ただ気になるのは……」
「他に誰かいるのか?」
「壊滅させられたというムシ族の国、キーモ・インデスケッド国にいる亜人」
「それが厄介なのか?」
「名はホイホイ。ちょっとなに考えてるか分からないタイプなのよね」




