第六死 性獣魔狂との戦い 中編
火食い蝿
体長約1.5m~2.5m。全身赤色の体色の蝿型魔族である。飛ぶ為の羽はあるが、その自重から低い高さでしか飛べない。低いと火食いをかけて、そう名づけられた。
なお、実際に火を食べたり、火を吐いたりすることはない。むしろ弱点は火である非常に残念な蝿。
基本的に臆病な為、人間に危険はない。
好物は若い女の子の体臭で、若ければ若いほど良い。
伸ばした長い舌を回転させることで空中に漂う体臭を食す。
その行動から、別名、変態蝿、エロ蝿などと呼称されることもあるが、絶対に若い女の子に手を出す事はない紳士である。
苦手なものは男の娘で、実験時には、匂いにつられ、食事を始めた火食い蝿に実は男の娘であることを告げた所、10匹中7匹が怒りと悲しみのあまり気絶した。残りの3匹は即死した。
そうかそうか。
………
「って、なんの実験しとるねーん」
はっ!?算数の授業中だった。
クラスの子供達が突然大きな声で突っ込んだ私を見て驚いていたが、先生にたしなめられて、また静かな授業に戻った。
研究所から持ち出した『みんなの町の魔物図鑑』を読み進め、やっとあのエロ蝿のページを見つけたと思ったら、こんな内容で……そりゃ大声で突っ込むわ。
危険察知に反応しないのは、あいつらが危険じゃないからで、隠密が効果ないのは、あいつらの好物が若い子の体臭だからね。
納得納得。次から無視しよう。
……やはり殺そう。気持ち悪すぎる。
うーん。性獣魔狂ヴェガの情報は当然載ってな~い。
そりゃ小等部向け学習本の『みんなの町の魔物ずかん』に魔王軍四天岩の情報が有る訳がないんだけどね。
ヴェガってどう見ても火食い蝿の強化か上位種に見えるんだけどなぁ。
やはり弱点は火?
うーん。あの燃え盛る状況の隣村で、平然としていた気もするんだけど……
それに私の初級火魔法如きが魔王軍四天岩に効くかなぁ? 絶対効かないよね?
……うーん。
あ、皆様お久しぶりです。24歳年生きていますが体は12歳のスピカです。
前回同様この2年間も、かなり幸せにすごさせて頂きましたわ。オホホホホ。
成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群、おまけに夢は憧れの【生物学者】。カックイーヒュヒュー。
これだけ揃っちゃうと、周りの子供達から見れば完璧なお嬢様に見られちゃうわけなのですわ。オーッホッホッホ。
いけないいけない。我ながらこうやって調子に乗るのが悪い癖だと思う。
だってさ、だってさ~今までの私の辛い日々を思い出して見てよ。『ノロピカ』だの『キルペナ』だの『魔物の卵を産む女』だの、ホ~ントにこの村の方々はですね。
私にものすんごーーーーく辛く当たってきたのです。きたのです!です!Death !
少し位ちやほやされたっていいんじゃない?いいよね?
と、まぁ楽しい表側のお嬢様生活の話は置いといて。
裏側の涙ぐましい努力の話。
初級魔法達。これは、魔力が高くなったこともあって、火、氷、水、土、風の5個を閃くすることが出来た。
『初級火魔法』は火炎の玉を撃ち出す魔法。正直これが一番閃くのが大変だったよ。
何しろ人に火炎の玉を当てないと上手にならないって『はじめてのまじしゃん』に書いてあったからね。
じゃあどうしたかって言うと……まぁ隠れて小さな火の玉を村人にぶつけまわるしかないよね。
プラーエ村の怪談話に『恐怖。襲いかかる夏の火の玉』が増えたのは言うまでもない。
『初級氷魔法』は氷を生み出す魔法。マスターするまでは自分の周りを冷気で冷やして超快適。いやぁ今年の夏は自分の周りを涼しくして最高でしたわぁ。特に研究所は蒸し暑いからホント助かった。
そういえば、夏の暑い日の授業中に、一人だけひんやり快適にしていたら、突然閃いちゃって、私の体からブモモッと広がった冷気で、マルコが氷漬けになりそうだったのが草。私の冷気で勝手に涼むあいつが悪い。
『初級水魔法』は手から水を出す魔法。当然攻撃に使えるほどの出力はなくて、マスターしてもピューって感じで出るだけ。
マスターするまでは、手汗の酷い状態の様に手の平からジワジワ染み出る感じ。初恋の女の子かっ!
初級魔法の中では水魔法が一番簡単に覚えられるみたいね。特に人に火炎の玉を当てろだの、他人を感電させろだの、そういう条件がないからマスターするのが楽だったよ。……まぁ閃くのに3ヶ月位かかったけどね。
『初級土魔法』は30cm四方の固い土の塊を好きな形に出現させる魔法。マスターするまでは砂浜を歩いた後みたいに、手から綺麗な金色の砂がサラサラっと出るよ。
サラサラの美しい金色の砂は、『お嬢様の聖なる砂』として高値で売買されていたみたい。うんうん。犯人は目星がついているから後でカツアゲしとかなきゃね。いいかな?ジェミーとマルコさん?
『初級風魔法』は団扇で仰ぐ程度の風を吹かす事が出来るよ。練習中はせいぜいそよ風程度だったから、すごく不安に思っていたけど、心配してた通りマスターしても風力が弱すぎるね。
この魔法、はっきり言ってスカートめくり位にしか使えないね。というか、『はじめてのまじしゃん』の挿絵も男の子が女の子のスカートを風で必死にめくってる絵だし。
そういう目的の魔法なんじゃないこれ? まったくひどい魔法よね。
と、言いつつクラスの女の子達のスカートをヒラリとめくって、ジェミーが殴られるのを楽しむ。うんうん青春よねぇ。
初級魔法を頑張って覚えておいてアレだけど、この初級魔法達って攻撃魔法じゃなくて、あきらかに生活魔法だよね。
あの謎の研究所はかなり昔の時代のものみたいだけど、その頃はこの村にも、沢山の魔法があふれていたのかな。
今となっては誰一人魔法が使えないプラーエ村ではとても信じられない。
今も隠密状態で出入りしている謎の研究所には、数千冊以上の表紙すら読めない本がある。中には危険なモノも存在するはず。
私が村から出る時がもし来たら、誰も入れないように封印しなきゃね。
村から出るのにはアイツと決着をつけなくちゃいけないけど。
魔王軍四天岩性獣魔狂ヴェガ。
私は明日、隣村に出発し、魔王軍を迎え討つつもりだ。
2年間この日の為に一所懸命考え、出来ることは全部やった。作戦も十分に練った。最後の秘策もある。(絶~対使いたくないけど)
……それでも多分、ヴェガ自体を倒す事は難しい。
だけど私の絶対目標はヴェガを倒すじゃなくて、無事にリゲを救う事。
『極まった変態は美しい』の光線が飛び交う中。
見たことも、名前すらまったく知らない私を、身を挺して守ってくれたリゲ。
恐怖のあまり動けずにいた私に、最後まで心配かけないように笑顔をみせてくれたリゲ。
……今度こそ絶対に助けて見せる。
お読み下さりありがとうございます。
誤字報告ありがとうございました。
楽しんで頂けましたら、ブクマなど大変お手数ですがお願いします。
レロレロレロレロ




