『トゥリア』悔恨⑨
船に戻って船室に入り、鍵を閉めました。するすると脱いでいくリッカさまをじっと見ている私の頭の中には、構想段階のローブを着たリッカさまが既に思い浮かんでいます。その想像からどれくらいズレているのか、動きに制限が掛かからないか、見ていきたいのです。
「出来れば、下着も」
「う、うん」
下着をつけて着るのですから、下着は良いと思うかもしれません。ですが――より正確な数値が、今は欲しいです。
(下着を変える必要も、あるかもしれませんから)
「……」
羞恥を感じているようで、リッカさまの脱ぐ手が進みません。その姿に、いけない事をしている雰囲気になってしまい……私も、どきどきが隠せなくなってきました。
いつもお風呂で、一緒なのですからと、思いますけれど……やはり、お部屋でリッカさまが服を脱ぐ姿は……扇情的、なのです。
「さぁ」
そのままでは場が膠着してしまうと思い、一思いに私が脱がせる事にしました。この時間が続けば続く程、何故か……気持ちが昂ってしまうのです。それはリッカさまも、同じで――極度のドキドキ感からか、リッカさまの意識がふわふわしています。だから、されるがままです。
『――あ、そっか。上だけで、良いんだ』
下も脱ぐと、思っていたようで……リッカさまが更に羞恥を感じてしまっています。されるがままだったリッカさまは、きっと……私が脱がせようとしたら、受け入れたのでしょう。
「……」
「えっと……」
「そ、それでは」
こほんと一つ、咳払いをします。さぁ、始めましょう。
「胸や腰を測るまで、タオルを巻いていて構いませんからね」
「う、んっ」
全身の数値を出し、リッカさまの可動域に合わせて余裕を持たせなければいけません。腰や肩、肘は特に入念な調整が必要です。これはリッカさまの服を作る為の大切な行程なのですから、真剣に……真面目に、取り組んでいきます!
(脚や腰、お尻回りは、スカートですから……でも、ぶかぶかだと形が崩れますね。ここもしっかり測りましょう)
「ひゃ……」
指が腰に当たり……リッカさまの可愛らしい声が、零れました。
(つ、次です!)
大事なのは、腕や肩、首回りです。締め付けないように測り……想像を、膨らませていきます。最後に、胸回りを測りましょう。
「――アンダー五十六のトップ六十八ですね」
「か、変わってない……」
胸に手を当てたリッカさまが、大きさを確かめるように……揉んで、います。どうしてこんなにも、扇情的なのでしょう。大きさは一センチも……いえ、正確に言えば一ミリも変わっていません。慎ましい胸という評価は変わらないのでしょう。でも、大きくないけど……リッカさまのお体を見ると、どきどきしてしまいます。
「まだまだ成長の余地はありますっ」
「そうだと、良いけど」
「下着が小さいのも原因の一つかもしれません。この際新調しましょう」
「うん……ありがとう。アリスさん」
「はいっ」
下着や衣服に頓着のなかったリッカさまは、少し小さい下着を着用しているのですが――それが原因の一つかもしれません。しっかりと合った物を作りましょう。
『豊胸マッサージに、もっと効果的なのがあった気がするんだけど……思い出せないや。如何すればいいんだっけ』
(効果的な豊胸マッサージをアルツィアさまに聞いていたら、リッカさまに施せて……し、下心はありませんっ)
「それでは次を」
「うん」
「この後、私のもお願いしますね」
「うん。分かった――――?」
私も、新調しますから。リッカさまに測って貰いたいです。
『大丈夫かな。心臓もつかな』
私の心臓も、張り裂けそうなくらい鼓動しています。リッカさまは遠慮してしまうので、私の裸がまじまじと見られた事はありません。だから私も、恥ずかしいという気持ちが少しだけありますけど――リッカさまに見て貰えるという期待感も、あるようです。
「では――」
「う、うん!」
声が上擦り、小さく震えた手で巻き尺を受け取ったリッカさまが、服を脱ぐ私を見ています。リッカさまの緊張感が伝わってきて、私も昂りそうです。先程のリッカさまも、こうだったのでしょうか。
「まず、腕……から」
「お願いします」
腕回り、脚回りとリッカさまが計っていきます。体を屈め、脚を測っている時……リッカさまは目が回ったように、ぺたりと座り込んでしまいました。
「リ、リッカさまっ」
「ぁう……う、うん」
緊張が高まりすぎて、くらっと来てしまったようです。
『本当に、陶器みたいな……すべすべ……』
リッカさまの肌も透明感があって、ざらざらしたところが一切ありませんでした。思い出すと、私も……くらくらしそうなくらい、血が巡ってしまいそうです。リッカさまが触れてくれる度に……息が、上がっていきます。
「つ、ぎは首だね」
「はぃ」
さわりと、リッカさまに首筋を触れられた私は――背後に移動しようとしたリッカさまを、止めてしまいました。
(もっと――)
「ァリス、さん」
「このまま、お願いします」
腰に手を回し、そのまま測って欲しいと……タオル越しとはいえ、裸同然の私は甘い声で……リッカさまに、懇願しています。
『目が、ぱちぱちして……』
「どう、ですか?」
「二十六……はぅぅ……」
「あっ――」
『ふわ、ふわ……』
数字を告げて、くたりと力が抜けてしまったリッカさまを支え、ゆっくりと床に座らせます。
(や、やりすぎて……しまいました……)
お風呂場での触れ合いと、変わらないと思いますけれど……測るために、凝視していたからでしょうか。体調が崩れた様子はありません。ありませんけど……体温や心拍の上昇、呼吸の乱れが見えます。落ち着くまで、待ちましょう。
「……」
「リッカさま。大丈夫ですか?」
「う、うん。少し、おちついた」
「良かったです……」
一度くらっとして、冷静になったからでしょう。落ち着きも取り戻せたようです。私も、落ち着けました。今は大切な採寸の時間なのですから、こういった触れ合いは……また、今度にします。
(私は余り、体を動かす訳ではありませんが……動きやすく調整しておいて、損はありません)
『えっと、測ってそして……アリスさんの艶やかな声が耳元で聞こえて……』
「続き、しないとね」
「はい。お願いします」
後は胸です、ね。タオルを取り、両手を広げます。
『タオルが落ちて、胸が…………思考を変えてっ。このままじゃ、さっきの二の舞』
「えっと……アンダー六十二のトップ……九十一……?」
身長は止まったのですけど……リッカさまと出逢ってから、また少し成長を始めたのでしょうか。リッカさまを癒せますから、大きくなる分には構わないと思っていますけれど――少し、気まずくなってしまいます。
「……」
自身の胸に手を当て、私と比べるように……揉んでいるリッカさまに、私はもじもじしてしまいました。先程も、そうでしたが……リッカさま、ご自身で胸を揉むのは、その……女性同士であっても、人に見せてはダメ、なのですよ?
(それに……成長したお姿も気になりますけれど、私は……今のリッカさまも……好、きです、よ?)
「あ、えっと。終わった、よ?」
「は、はい」
いつまでも裸ではいられません。シーアさん達が偵察から戻って来るでしょうし、服を着ます。
『私の大きさでも、ああした方が良いのかな。そういえば、アリスさんが何か言い辛そうにしてたけど』
「何か言い辛そうに――――っ?」
脳に鳴り響いた警鐘に顔を歪めたリッカさまが、私に許可を求める事無く広域感知を使いました。リッカさまが編み出した、努力の結晶たる広域感知です。私が管理している事自体差し出がましい事なのですが……取り決めを作ってからは、使用の確認を取ってくれています。
(それを強行しなければいけない程の警鐘――)
「リッカさま……?」
「…………!?」
目を見開いた後、リッカさまの表情から余裕がなくなりました。笑顔が消え、戦闘態勢を取っています。
「アリスさん。準備、して」
「分かりました」
『シーアさん達は何処に。まだ村の中? 感知にかからなかった。無事で、居て)
リッカさまの広域に掛からなかった事が既に、異常事態です。何かしらの魔法制御下に置かれたか……もしくは……ローブを着て、杖を持って準備を終えてすぐに船から飛び出します。飛び出してすぐに、私も……感知しました。これは――この”悪意”だけは忘れません。
「この悪意は……!」
「うん。あの人が、居る」
「……っ急ぎましょう」
またしても、策を弄しているのでしょう。リッカさま曰く、真正面から殴りかかって来る性格との事でしたが――私の考えでは、魔王の意向次第で己の信念を曲げられる人です。状況次第では、己の性格よりも役目を全うするでしょう。
(あの人の本質を語っている場合では、ありませんね。兎にも角にも……シーアさんとレイメイさんです)
一人も欠けさせる訳にはいきません。リッカさまはシーアさんとレイメイさんを感じなかったと言いました。そこに不穏な雰囲気が無かった事から――靄が掛かっているような状況と言えるでしょう。死には死の、気配があるのです。既にリッカさまは……”人の死”の気配を、知っています。
『あの人の狙いは”巫女”だけ、だと思う。だってもしも全人類が標的なら……あの時、王都まで浸透してた。ライゼさんが深手を負わせ、撤退させたっていう可能性ももちろんあるけど――』
理由は分かりませんが、あの時あの人は撤退しました。”巫女”を倒す絶好の機会だったはずです。人を何とも思っていないのなら、王都までやって来たでしょう。それが無かった事から、あの人なりの信念があるとリッカさまは感じています。
「無事だとは、思うけど……」
「……私達を誘き出す為なのか、他に理由があるのかは分かりません。ですが――いつでも、いけます」
「……うんっ!」
森を走り抜け、気配――というには生々しく、どす黒い魔力の前で止まりました。ここがあの人の、殺意の範囲なのでしょう。
「……ここまで近づいたら、分かる。二人は無事」
「はい。私も、感じました」
身動きが取れていないようです。何かしらの魔法によって身動きを封じられているのでしょう。シーアさんが相殺出来ない威力な事はもちろん、動けないのです。つまり――あの人は、二人に意識を割いています。動けば殺すという意志を、シーアさんは感じているのでしょう。
「アリスさん」
「はい」
私達に、武士道や騎士道などという物はありません。
『シーアさんとレイメイさんが生きて捕まってるって事は、私達を誘き出す為に使うつもり』
(望み通り、誘き出されましょう。あの時の雪辱を……痛恨を、雪ぎます)
ただし、あの人が――マクゼルトが「来た」と感じた瞬間、勝負を決めます。悪には鉄槌を。倒す為に最善を尽くすのが、”巫女”です。卑怯とは……言わせません。戦いに卑怯などという言葉は、無いのですから。
「――赤の巫女は、あんさん等にとってどうだ」
気持ちの悪い、どす黒い魔力を含んだ”風の檻”……とも言うべき魔法に、シーアさんとレイメイさんは捕まっていました。切れ味が鋭すぎます。リッカさまの斬撃と同等……いえ、醜悪さを含んだあの魔法が、慈悲の刃であるリッカさまの物と同等とは言えません。ただし、切れ味だけは……人を、綿よりも容易く裂くでしょう。
あの檻に捕らえられていても、シーアさんとレイメイさんは無事です。動かなければ――これから起こる事の邪魔をしなければ、殺しはしないという事でしょう。人質、という事です。
「ま。答えんでも良いがな」
「……?」
「俺は最初っから、赤の巫女――ロクハナリツカ狙いだ」
何か会話をしています。マクゼルトの視線が船を向いている事から、私達の存在には一切気付いていません。やるなら――今です。
「邪魔されたくねぇから、あんさん等を捕らえただけだ」
「……邪魔ですカ」
(! リツカお姉さ――)
「ま。すぐに解」
「――っ」
「リツ――」
「危ねぇ危ねぇ」
「!?」
背後からの強襲。気配と殺気を完全に消し、首を刎ねる――はずでした。シーアさんは、リッカさまの勝利を確信していましたが……やはり、化け物です。シーアさんの瞳に映ったリッカさまに気付いたマクゼルトは……リッカさまの斬撃に掠る事なく、避けました。
(赤いのと)
(同じ速度? いえ、でも……そんなはずは……!)
速さは、同等です。これは初めから分かっていましたし、想像の上をいった訳ではありません。
(ただ――!)
『やっぱり、普通の人間じゃ出来ない動きをする』
人の動きではありません。呼吸の隙を突き、体が止まる絶妙な機会を縫ってリッカさまは一撃を入れたはずです。普通の人間ならば――元であろうとも人間ならば、指一本動かせないくらい会心の一撃でした。ですが……マクゼルトは、普通の人が硬直する機会であろうとも、腕の筋肉だけで無理やり回避したのです。
「油断も隙もねぇ女だな」
シーアさんとレイメイさんを挟み、リッカさまと対峙しています。あの位置は――リッカさまの動きに対応出来るだけでなく、私も考慮しているようです。
「巫女も居るんだろ」
「……」
露呈している以上、隠れ続ける訳にはいかないでしょう。私が出なければ二人を殺すと、目が言っています。
『反撃しようと思えば出来たはずなのに』
(何か話があるようですね)
私がリッカさまの攻撃に合わせなかったのは、気配を悟られないようにする為だけではなく……二の矢を考えてです。マクゼルトの動きを見て、私も追撃するつもりでしたが――反撃出来る時にしなかったのは、話しがあるからでしょう。
こちらに会話する意思などありませんが、何か魔王側の事情が聴けるかもしれません。何より――私には時間が必要です。
(”アン・ギルィ・トァ・マシュ”を――)
「ロクハナリツカ」
「……」
リッカさまは会話に応じるふりをして、隙を伺っています。しかし……流石に、隙が中々出て来ません。先程が唯一の隙だったのではないかと思えるくらい、臨戦態勢が整っています。
「俺と一対一だ」
「……?」
『何を、言っているんだろう』
戦士同士の、威信をかけた戦いがしたいのでしょうか。ですが、それならば――やはり、この人は狂っています。シーアさん達を捕まえて、人質にして……正々堂々などというものは、成立しません。
「ま。これを見ろ」
「……っ」
マクゼルトが石を、シーアさん達を捕らえている檻に放りました。何が起きるのか、見るまでもありません。しかし――実際に見る事で起こる危機感や焦燥は、拭えるものではないでしょう。
一対一が望みなら受けると構えていたリッカさまでしたが、闇の魔法の威力を見て――脅迫を受けたかのように、ギリと歯噛みしました。
『”風”だけじゃない?』
「”水”と”雷”が少量含まれています」
複合連鎖ですが、黒の魔法の特徴である”闇”が見えます。魔法と魔法の結合が強固で、”拒絶”にも時間が掛かるでしょう。シーアさんが相殺出来ない理由もそこにあります。あれは、世界で最も凶悪で、醜悪な、抜け出せない檻です。
「触れたら最後、離れる事は出来ねぇ」
「確実に斬る、って事ですか」
「そういうこった」
雷を掴んだ時、人はぐっと力を込めてしまいます。握った手を開く事が出来なくなるのです。これは筋肉の収縮によって起こる現象ですが、それを使って確実に斬るのでしょう。
『”拒絶”出来そう?』
(時間があれば、可能です。しかしそうなると……)
”拒絶”は出来ます。どんな魔法なのか私に話す事自体、マクゼルトは迂闊です。ただし、この魔法強度を”拒絶”するには……練った魔力を全部使う事になります。”アン・ギルィ・トァ・マシュ”は、暫くの間使えません。
『シーアさん達があの状態で、一対一の要求。人質だね。私が一対一をする振りをするから、その間に』
(……分かりました)
いつも通りですが、いつも通りとは言えません。時間稼ぎに徹する事すら、難しい相手です……っ。
「何が言いたいんですか」
「ハッ」
時間稼ぎに、リッカさまが会話を続けようとしてくれています。魔力を練る時間があればある程、”拒絶”後の”アン・ギルィ・トァ・マシュ”が迅速です。会話で時間が稼ぐのが一番でしょう、しかし……。
「あんさんが気付いてねぇはずがねぇだろ。さっさと決めろ。見殺しにするか、受けるかだ」
「……っ」
マクゼルトも、愚かではありません。リッカさまの意図に気付き、檻を狭めようとしています。この人は……言いたくありませんが、ライゼさんに剣術の基礎を教えた人です。ライゼさんが手放しで、あの人のようになりたいと言った人……もはやその面影はありませんが、技術はそのまま持っています。
「良いでしょう」
「先に言っておくが、もし巫女が余計な事をしやがったら容赦なく殺す」
こちらの行動は全て読めていると言った所でしょう。魔王当たりから、私の事をしっかりと教え込まれているようです。
「こいつは俺が命令すればすぐに閉じる。巫女が”拒絶”するより先にな」
「……」
「巫女が余計な事をせんかったら、何もしねぇ。お前が死ねばその限りじゃねぇがな」
リッカさまが一対一を続ける限り、マクゼルトは他の三人には手を出さないと言っています。それを守る保障がありませんが――それに従うしかないのが、現状です。
(だからと言って、私は、また――)
「アリスさん」
「……リッカさまの戦いを見守れ、と?」
「絶対に死なない」
「……っ…………」
リッカさまの判断が、正しいです。私が大人しくしていれば一対一……リッカさまもこちらを気にせずに戦えます。しかし……っ!
(特に制限されている訳ではありません。”拒絶”する事も、共に戦う事も。マクゼルトより早く”拒絶”出来る可能性はあるのです。でも……その可能性よりも、リッカさまが戦った方が……っ! 今は……冷静に事を、見るしか……ありません。リッカさまが戦い出せば、マクゼルトが集中しなければいけない場面が絶対に来ます。そうなれば、”拒絶”する事も……。今は見るしか……見る、し、か……)
隙を見つける為に、私はこの提案を受け入れるべきです。それが一番効率が良く、全員が助かる確率を上げられます。しかし――私の心は、魂は、それを望んでいません。その人は、私にとっても……痛恨なのです。
(巫女さん、私達の事は気にせず……なんて、気軽にいえたらどんなに良いか)
己を律する力こそ、私が唯一他者に誇れる部分でしょう。私の行動が、仲間全員の命を……左右、してしまいます。
(リツカお姉さんが絶対死なないと言ったのです。巫女さんはそれを信じるしかありません)
リッカさま最優先です。こんな時でも私は、冷淡にそれを順守するでしょう。だからこそ――シーアさんとレイメイさんを諦める選択を取る事はありません。ありませんが……それでも、リッカさまの命が消えかけたら……私は、止まりません。これだけは、はっきりと”想って”います。
(戦っている間に、何か考えつかなければいけません。巫女さんが行動出来ない以上、私が)
内側から壊す事が出来れば、マクゼルトの作戦は破綻するでしょう。マクゼルトはリッカさまや私のように、全方位を感知出来る訳ではありません。リッカさまと、私の動向で手一杯のはずです。
(絶対に壊れない自信があるんですね。実際、これの壊し方が分かりません。”風””水””雷”の複合。絡み合い、より強固な魔法になってます。これを壊すには、全てを解き霧散させるのが一番です。”風”と”水””雷”の二つに解く事が出来れば……しかし)
しかし、この魔法は……黒の魔法です。シーアさんでもすぐに見極めるのは難しいでしょう。私も”拒絶”がなければ、一つずつ解除するしかありませんでした。
(巫女さんの”拒絶”で、無理やり剥がすのが一番です。でも、巫女さんの魔法が効果を発揮するより先に、閉じます)
シーアさんも、焦っています。シーアさんもあの日を覚えているのですから、当然です。隙は必ず、生まれます。リッカさまはマクゼルトの意識をこちらから外す事が出来るでしょう。それまで、耐えるしかありません。
(何とか……何とか、しないといけません)
しかし……それまでに、どれくらい……リッカさまが、傷つくか……。杖を持つ手に、自然と力が……籠って、しまいます。
ブクマ評価誤字報告ありがとうございます!




