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微炭酸summer☆  作者: 真織
8/9

 よかったじゃない、と楓は言った。

 小島との今までの経緯を打ち明けたドーナツショップ。部活でコンクールメンバーに選ばれたら、彼氏までできちゃうなんて、すごいよ、と。

 そうなの、かな。

 なんだか、現実感がない。

 恋がしたい、とずっと思っていた。

 でも、彼氏ができるのと、恋をするのは違う。

「あー、もう。柚葉は、いろいろ考えすぎ!」

ぐるぐるしてる私を見透かすように、楓は、私の額を軽く指で弾いた。

 ……ちょっと痛い。

「恋なんて、後から付ける名前だよ」

楓は言う。

「だって、柚葉、ずっと小島に絡んでるじゃない」

そうなんだけど。

「私は、ただ、もったいないなーって思っただけで」

時折、胸が痛くなるほど小島は綺麗だから。ちゃんと、素のままでいてほしくて。

 楓は、うんうんと頷いて、

「二学期には、いよいよ小島の顔が見られるんだね、楽しみ―」

とドーナツを頬張っていた。

「私がメンバーに、入れたらね」

私が釘を刺しても、

「大丈夫だって」

と笑って。


 夜になって小島からメールが届いた。

『発表、いつわかるの?』

『午前中だって』

『じゃあ、昼の休憩のときに、メール入れて』

『わかった』

用件だけの、そっけない応酬。

『楽しみにしてるから』

って、最後に。

 楽しみ、って、何が?

 私が選抜されること? でもそんなの、本来小島には関係なかった話。私が選ばれたら、小島は髪を切ることになるのに? 彼女になってって、本気だった?


 ……小島が、わからない。


 

 一二年の吹奏楽部員全員が集まるなかで、部長が淡々とメンバーを発表していく。

「フルートは、………と一年から、石塚柚葉さんと……」

 入った!

 呼ばれた。自分の名前が、こんなに嬉しく聞こえたことってない。

 楓もメンバーに入っていて、お互いに笑顔で視線を合わせた。


 お昼休憩は、食べるのにぎりぎりの二十分。いつもバタバタしてしまう。

 時間がないので、おにぎりとか、サンドイッチとか、サクサクっと食べられるものを選んで持ってくることが多い。

 私は、メンバー発表の高揚を引っ張りながら、同じフルートパートのメンバーたちとお昼を囲んでいた。その時、鞄がわずかな振動を伝えた。

「柚葉、電話じゃない?」

「ん、メールだと思う。ちょっと見ていい?」

断りを入れて、携帯を取り出す。

 表示は、小島。


 ……う、わ。

 メール開けなくても、用件は決まってる。結果、まだ連絡してないし。

 催促、だよね……。

『結果は?』

やっぱり開けなくても読めるくらいの、簡潔な内容。

『選ばれた』

こっちも簡潔に、リターン。

 だって。そうするしかないし。

 すると、

『選抜、おめでとう。それと、これから、よろしく』

と、返ってきた。

 これって、つきあうってこと? 決定事項ってことなのかな。

 

 ……小島のこと、やっぱりよくわからない。






 




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