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微炭酸summer☆  作者: 真織
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9/9

 そして新学期。

「ね、あれ……」

「え、誰?」

教室には、いつもと違う騒めき。違和感? 遠巻きに、一人の様子をうかがうような。

「転校生かな?」

「ばか、あれは」

小島、だよ。

 予想はしてたけど、想像以上だった。窓際、前から三番目。机に鞄を置いたまま、軽く椅子に座った小島。あんまり格好よすぎて、教室に入った途端、目を奪われた。

 小島は、私の姿を認めると、爽やかに笑って、

「切ったよ」

と髪を切ったことを報告した。そんなの、見れば、わかるけど。

「おはよう、小島」

とりあえず、挨拶はしておいた。小島は、超絶キレイな顔でさらにくすりと笑い、

「おはよう」

と返してきた。

「え、小島? 前髪は?」

「切ったんだ」

「うわ、どーゆー心境の変化?」

「なにあれ、ずるくね?」

あちこちのさえずりをまるで無視して、小島は入り口近くの私の席までやってきた。

「約束守ったからね」

私の顔を覗き込むようにして小島は言った。綺麗な顔のまっすぐな目に射抜かれて、朝から私はフリーズ。

「なに、小島、もしかして夏休みの間に石塚となんかあった? それで、髪切った、とか?」

遠慮のない男子の問いかけ。まあ、間違ってはいないんだけど。

「まあ、切って、って、彼女に頼まれたからね」

小島がしれっと言う。『彼女』って言葉に教室中が一旦静まり、その後過剰反応。単なる代名詞とは誰も思ってくれないわけで。

 小島の堂々宣言に、晴れてクラス公認題1号カップルとなった私たちだった。


 いや、あの、私の意志は……?


「柚葉、ずるいー。小島って、超イケメンだったんじゃん」

まあ、そうなんだけど……。


「石塚、守ってくれるんでしょ?」

してやったりって顔の小島。

 確かに守るって言った。責任は、とるよ。だって、ずっともったいないって思ってたから。

 そのままの、隠さない小島でいてほしいって、思っちゃったから。

 それは。


 特別な、気持ち。


「石塚?」

私を呼ぶ、小島の声がほんの少し揺れた。

 ごめんね覚悟を決めるまで、時間がかかっちゃったみたい。

「瑞希、って呼んでいい?」

小島の気持ちは、わからない。どんなつもりか、私のことを好きかどうか、それもわからない。でも、付き合うんだよね? だったら。

「いいよ」

私をじっと見て、柔らかく許すように目を細める。

「じゃあ、柚葉。とりあえず、今日も部活、だよね?」

「うん」

そう。吹奏楽は半端なく活動が多い。

「バイト入る前に迎えに来るから。一緒に帰ろう」

「うん」

 

 少しずつ、そうしてお互いを知っていこう。

 恋は、これから。



 石塚柚葉、高1の二学期そうそう、彼氏ができました。




         

    

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