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TSしたら女子高に通うことになった件  作者: cvおるたん塩
第二章 女子高に転校した件
17/25

17話 佑月と由夏

やっと更新できたよ!遅くなってごめんね!

 由夏が熱を出した翌日の放課後、学校帰りに寄った佑月と一度帰宅してから由夏の家に寄った一穂が鉢合わせしてしまった。


「昨日、どうだった? って聞くのは野暮か」

「まあ、想像通りだよ」

「そっか、おめでと」


 あの後、「順番、変になっちゃったけど——」と由夏から一穂に告白し、無事二人は付き合うことになった。だからなのか、一穂はまともに佑月の顔を見られない。


「いらっしゃい。あ、二人とも一緒なんだね」

「うん、そこで会って……」

「そう。とりあえず、上がってよ……」


 気まずい空気のまま、佑月たちは由夏の家に上がった。

 由夏と一穂の目が合うたび、昨日のことで気まずいのか佑月のほうを見る。


「なに、事後なの?」


 この空気に耐えきれず、佑月はつい地雷を踏みぬくような質問をした。


「いや、なにもシてないよ⁉ ただその、ちょっとね……」


 あの後、直前になって我に返った由夏が寸前で逃げるように一穂から離れ、服を着なおしたうえで告白をした。

 お互い何とか興奮を抑えたので、朝まで一緒にいたものの行為には至っていない。


「おめでとう、二人とも。それより、由夏ちゃんは体調大丈夫?」

「うん、昨日よりはね。一穂くんもつきっきりで見ててくれたし」

「そっか、ならよかった。昨日はごめんね、私何もできなくて」

「ううん、結果的にはまあよかったから気にしないで」

「うん、ありがと……」


 無理に二人を引っ付けようとしたことに罪悪感を覚えていた佑月は、ほっと胸をなでおろす。


「ああこれ、お詫びとお見舞いを兼ねてイチゴとダッツ買ってきたから食べれそうなら食べて。あと今日のノートのコピーといろいろ配られたやつね」

「いろいろありがとう。あとで目通しておくね」

「うん。じゃあ私、帰ってご飯作ったりいろいろしなきゃだから。お大事にね、由夏ちゃん。一穂も、頼んだよ」

「おう、任せとけ」

「宮野さん、いろいろありがとね。それじゃあ」

「うん、またね」


 一穂と由夏、二人がいる空間に一緒にいるのは居心地が悪く、そうそうにその場から退場した。

 いつもより早歩きで、逃げるように家に帰る。


(由夏ちゃん……)


 どうしても、頭の中が由夏のことでいっぱいになる。


(もう由夏ちゃんとと仲良くしないほうがいいのかな……)


 由夏と佑月は友達ではあるが、はたから見れば姉妹というくらいに仲がいい。それこそ、由夏が軽率に佑月にハグしたり頭をなでたり、逆に佑月が体育の後の昼休みに「疲れたー」なんて言って膝枕してもらったり、男性教諭と話すときは由夏の手を握っていたり。そんな関係が、佑月にとっては心地よかった。


「ただいま」


 帰宅早々、佑月は心春の膝に倒れこみ、太ももに顔をうずめる。


「お兄お帰りー……ってなんかあったの?」

「なんもない」

「なんかあるからこんなことしてるんでしょ。なにがあったの?」

「一穂と由夏ちゃん、付き合うんだって」

「悔しいの?」

「ううん、違う。なんか……なんだろうね」

「寂しいんだね」

「…………そうかも」


 心春に言われ、ようやく由夏が一穂と付き合ってしまうのは寂しいのだと気づいた。

 佑月にとって由夏は初めてできた女友達だ。悩みを聞いたり聞いてもらったり、放課後遊びに行ったり、勉強を教えたり。人と話すのに緊張した時助けてくれるのはいつも由夏だった。茜と仲良くなれたのだって、由夏が居たからこそだ。

 着替えという例外を除き、佑月が由夏と一緒にいるときは「女子同士」という認識だった。

 しかし、一穂の彼女となるとその認識は変わる。

 佑月は元男、一穂から見れば肉体は小柄な女子でも、中身は佑月という男子高校生だ。そんな奴が彼女と仲睦まじくしているなんて考えたら——そう思うと、どこか壁ができたように感じてしまう。


「辛いポジションになっちゃったんだね、お兄。それでさ、お兄は由夏さんのこと好きだった?」

「わかんない。女子に対して好きなんて感情抱いたことないから……」


 もともと女子が苦手な佑月には恋愛経験が全くなく、そんな佑月に好きか嫌いかなんてわかるはずもない。

 ただ、今までの関係は確かに心地よかった——それだけは、佑月にもわかる。


「その、由夏ちゃんに甘えるの……もうやめたほうがいいのかな。それに、一穂と今までみたいに遊びに行ったり朝までゲームするのも……」

「そう、だね……。お兄、どっちといるのもちょっと気まずいよね」


 一穂からすれば佑月は男子、逆に由夏からすれば女子だ。その認識を統一するなんてことは出来るはずもなく、そんな立場にいれば当然ストレスだって溜まる。

 二人のことなど気にしなければ早いが、佑月にそんなことはできない。


「私、どうするのがいいんだろ」

「それは私にもわかんないな〜。でも、いきなり距離置いたら由夏さんもかず兄も寂しいって思うんじゃないかな。だから、今はこのままでいいんじゃない? すぐに変えるなんて無理だからさ、ゆっくりと。私も手伝うから」

「心春……」

「大丈夫だよ。私もいるから……」


 心春は優しく頭を撫でながら、今にも泣いてしまいそうな佑月を慰める。


(自分の周りから人がいなくなるかもってなったらそりゃお兄も私に頼るよね……)


 佑月が心春を頼ることなどほとんどない。それは、兄としての、たった一人の家族としての責任があると思っているからだ。そんな佑月がなぜ自分に頼ってくれたのか、そんなことくらい、一瞬で理解できる。

 けれど、それほどのことがないと頼ってくれない。妹としてしか見てくれないことに、少し寂しさを覚える心春だった。


※ ※ ※


 その日の夜、佑月は一穂に誘われ、FPSゲームをしていた。

 楽しんではいるものの、いつもに比べて口数は圧倒的に少ない。


「……ありがとな、佑月」

「うん……」

「その、別に今後由夏と仲良くするなとか、そういうことは言わないから」


 心春から話を聞いた一穂は、ゲームをしながらこれからも由夏と一緒にいてもいいと告げる。もちろん、学校での様子を知ったうえでだ。


「うん」

「だから佑月、あんま思いつめないでくれよ?」

「うん、ありがと……。それでその、私と由夏ちゃんがすごいイチャイチャしてるの、なんとも思わないの?」

「まあ女の子同士だしなぁ。むしろ佑月、話を聞く限り完全に妹扱いだけどいいのか?」

「まあ、由夏ちゃんならね」

「じゃあ実質俺の妹でもあるな」

「は? 一穂の妹になるくらいなら心春にバブバブしたほうがましだし」


 一穂の一言で、佑月の緊張と不安が吹き飛んだ。


「心春ちゃんにバブる佑月とかめっちゃ想像できるな」

「想像するなー。一穂だってもしかしたら授乳プレイとかしてるかもしれないじゃん」

「……いいなそれ」

「うぁ、ば、バカ!」


 予想外の返答に、佑月自身が顔を赤くしてしまう。


「ははっ、AIM荒ぶってんぞー」

「うるさい!」

「佑月、下ネタ言う割には返されるとクソ雑魚だよなー」

「し、仕方ないでしょ!」


 佑月はうぅ~とうなりながら、一穂の報告を聞きつつ敵を倒していく。一穂の無意識な反撃のせいで、ゲームに全く集中できていないが、しっかりとキルは取っている。


「ふぅ、GG」

「GG。この調子だと由夏ちゃんと一緒にやっても普通に勝てそうだね」

「だな。でもハード持ってないって言ってたしなー」

「買ってあげるとかダメだよ? 由夏ちゃん、プレゼントはうれしいけどいい値段だし返せるものもないって悩んでるんだから」

「マジかー。でも一緒にやりたいしなー」

「明日私から言ってみるよ。だからソフトとハードセットで送るとかしないようにね! じゃあ私寝るから。おやすみ」

「おう、おやすみ」


 一時は悩んだが、一穂と話して由夏に関しては吹っ切れたのか、その後佑月は悩んで眠れないということもなく、ぐっすりと眠ることができた。

 

 翌日も由夏は学校を休み、そして佑月も放課後家に寄った。


(今日は一穂いないのかな)


 一穂と由夏が二人になると妙に居心地が悪いので、一穂が来なさそうなことに安堵しつつ、佑月は家に入った。


「いらっしゃい、宮野さん。今日もありがとね」


 一人暮らしの由夏は少ししんどそうにしながらも、いつもの笑顔で佑月を迎え入れる。


「今日、一穂は来ないの?」

「なんかコラボ配信するんだってさ。だから来れないって」

「そういえば配信してたもんね、一穂。そっか、来ないんだ……」


 一穂が来ないことが確定して、佑月は胸をなでおろす。


「じゃあちょっと食器とか洗ってるから、プリントに目通してて」

「うん、ありがと」


 まだ疲れて一日中横になっている由夏の代わりに、佑月がたまった食器を洗い、ついでに風呂も掃除する。


「一人暮らしだとさ、こういうときって寂しくならないの?」

「なるよ。だからその、できれば一緒にご飯食べて行ってくれたらいいなって」

「もちろんいいよ」

「ありがとう、宮野さん」


 珍しく頼ってくる由夏の若干申し訳なさそうな笑顔にときめいた佑月は、夜道が苦手にもかかわらず承諾した。


(なんだろ、これ……)


 いつもとは違う妙な感覚に疑問を抱きながらも、佑月は由夏に授業内容を教えたり、茜からの伝言を伝える。


「宮野さんがいて助かったよ。授業のことも理解できてるし。それで、ちょっとお願いがあるんだけど……背中、拭いてもらっていい?」


 話を聞いているうちに、若干の熱が残っている由夏は汗をかいていた。暖房のせいもあってか、服も濡れている。


「いいよ。タオル持ってくる」


 佑月がタオルを取りに行っている間に、由夏はゆっくり服を脱ぎ、女子同士だからと下着も脱いだ。

 たゆんと大きな胸が露わになった瞬間が、佑月の目に入る。


「ゆっ、由夏ちゃん⁉」

「いやー、脱いだら涼しいね」


 耐性のない佑月には、汗で湿ったきれいな背中と普段制服越しに押し当てられている大きな胸が色っぽく、性的に見えてしまう。

 下着姿までならどうにか耐性を付けられたが、さすがに裸はまだ早かった。

 しかし、うろたえているわけにもいかないので、恐る恐る近づき、背中の汗を拭きとる。


(由夏ちゃん、生だとこんなにおっきいんだ……)


 どうしても後ろからちらりと見える横乳に目が行ってしまい、佑月の頭はそれでいっぱいになってしまう。


「宮野さん、今おっぱい見てるでしょ」

「みっ、見てない……」

「あー、見てた反応だー。いいでしょ、結構育ってるの」

(あ、うん、そうだよね。女の子同士だもんね)


 男子に向けられた「今おっぱい見てたでしょ」とはまた別のニュアンスの物で安心したのもつかの間、由夏はそれを見せるように佑月のほうを向いた。


「いやー、肩凝っちゃうんだよねーこれ。宮野さんも結構大きいよね?」

「まあ、背の割には——ひゃんっ」


 佑月の不意を突いて、正面から胸を揉む。


「あっはは、宮野さん可愛い悲鳴上げるんだねー」

「やっ、ちょ、んっ……お返し!」


 恥ずかしさのあまり何が何だか分からなくなった佑月は、仕返しに由夏の胸に手を伸ばした。


「ぁ——」


 由夏の大きな胸を一揉みしたところで我を取り戻した佑月は、耳まで顔を真っ赤に染めて、ショートしたかのようにその場で固まった。


「あらら」


 固まった佑月に微笑みながら、由夏は新しい下着を身に着け、その上に薄めのTシャツだけ着てもう一度ベッドで横になる。


「ちょっと休憩。宮野さんも一緒に寝る?」

「ご飯作るから寝ない!」


 からかわれたことに怒りながらも、夕飯はちゃんと作る。


「……とりあえず買い物行ってくるね」


 ぷりぷり怒りながら冷蔵庫を見てみると、夕飯に使えそうな食材が何も入っていなかったので、佑月は先に買い物に行くことにした。


(そうだ、心春に言わなきゃ)


 スーパーまでの道でふと思い出し、佑月は『夕飯由夏ちゃんちで食べるから今日は作れない』とだけ送った。

 今までは佑月が毎日夕飯を作っていたが、最近心春の受験勉強もひと段落つき、部活も落ち着いてきて自由時間ができたので夕飯やその他家事を任せても問題はない。

 こうして放課後の自由時間が増えるなら家事を分担して部活に入るのもいいかなと思った佑月だが、そもそも気になる部がないことを思い出し、その案は没となった。


(放課後……男子校のときはみんなでバカやってたな)


 男子だった頃は、一穂や他の友達と川に入ったりゲームセンターに行ったりカラオケに行ったり、よく外で遊んでいたが、女の子になってからはもっぱら家で家事と勉強、たまに一穂とゲームをするくらいだ。

 佑月が女の子になって女子高に通い始めたとはいえ、中身の根本的な部分は変わらない。今でも小学生の様な下ネタで笑うことも、ゲームで大爆笑することも、男子同士特有の盛り上がりをなつかしく思うことだってある。


「おっ、七海配信始めてんぞ!」

「マジか、見るしかねぇ!」

「カーッ、コラボ相手がゆずちゃんとかうらやましすぎだろ!」

(あ、浜田たちだ……)


 数ヶ月まであれば佑月もあの輪に混ざって盛り上がっていた。しかし、今の佑月の姿を彼らが見たのは数か月前の一度だけ。佑月だと気づくはずもなく、まるで赤の他人かのように、真横を素通りしていった。


「今の子可愛かったな」

「あれ星女の子だろ? うわー、俺も星女いきてー!」

「でもあそこガチのお嬢様学校だろ? お前にゃ無理だろ」

(私のことわかるわけ……ないよね)


 佑月だと認識されるはずもなく、浜田たちはそのまま過ぎ去っていった。


(そりゃそうだよね……)


 高校からの仲とは言えクラスの中で特に仲の良かったグループのメンツだっただけに、仕方ないとはわかっていてもどうしても寂しいと思ってしまう。



「ただいま」

「おかえりー。買い物ありがとね——おっと、どうしたの?」


 買い物を済ませ由夏の家に戻った佑月は、荷物を置いてベッドで横になってスマホを見ていた由夏の背中にぴったりとくっつき、顔をうずめた。


「……なんでもない。夕飯作るね」


 気持ちを切り替えた佑月は、髪を後ろで束ねてち料理を始める。


(静かだしBGM欲しいな……そういえば一穂が配信してるらしいし、見に行ってみようかな)


 由夏は起きているとはいえ話しかけるのは気が引けると静かに夕飯を作っていたが、静かすぎて落ち着かないので一穂の配信を見に行くことにした。


(そういえばどこで配信してたんだっけ……)


 しかし、そもそも生配信に興味がなく!それを全く見ない佑月はどのサイトで配信しているのかすらわからず、とりあえず直接LINEで聞くことにした。


『配信どこでしてるの』と送ってすぐ、一穂からURLが送られてくる。


(瑞鳳……そいやそんな名前だったな)


 もはや一穂が配信で使っている名前すら忘れていた。


『づほさん身バレしてるんですね』

『まあ昔は出演もしてたしな。あ、やべぇなんか変な武器持ってる!』

(相手は……真央ゆずって子か。誰とやる時でもうるさいんだ、あいつ)


 ゲーム中誰とやっていてもうるさくなる一穂に若干感心しつつ、そのうるさい声とコラボ相手の可愛い声をバックに、料理を再開する。


『づほさんうるさい。これあげるんで落ち着いてください』

『おー、ありがとな!』

『あ、づほさん後ろ——ああいえなんでもないです。やりました』

『ゆずさんうまいなー。もはや介護じゃんこれ』

『ゆーてづほさんも結構キルとってますよね』

『さっきLINEしてきた幼馴染に毎晩扱かれてるからな』

(私のことあんま喋らないでって言ったのに!)


 一穂の「幼馴染」発言の後当分佑月の話題が続き、ついに恥ずかしくなった佑月は配信の視聴をやめた。


 

 それから数十分ほど経ち、夕飯を作り終えた佑月が食器を持って部屋に戻ると、ベッドの方から『おっほおおお気持ちいいいい!』という一穂の声が聞こえてきた。


「お待たせー……って、由夏ちゃんも一穂の配信見てたんだ」

「うん、なんか暇だったから。でもこう、モヤモヤする」

「そっか……」


 佑月も配信を見ていたので、由夏のそのモヤモヤの理由をすぐに察したが、理由に見当がつくからこそ何も言ってやれなかった。

 罪悪感を覚えながらも二人でご飯を食べる。どうも気まずくて、学校の昼休みの様に佑月から話しかけることはできない。


「ごめんね、宮野さん。仕事ってことも、宮野さんのは幼馴染ってことも分かってはいるんだけど……。あーなんかモヤモヤするから今日は私が宮野さんを独り占めしちゃう!」


 夕飯を食べ終えてどうやって気分を晴らそうか少し考え、そんな結論に至った由夏は今日も佑月を抱きしめる。


(断りたいけど断れない……。ごめん、一穂)


 しかし、一穂の代わりの様な気がして、流石にそれは申し訳ないと罪悪感に押しつぶされながらも由夏を受け入れる。


(ドキドキする……。一穂に申し訳ない……とは、違うよね)


 由夏と密着しているこの状況に、佑月は興奮の様ななにかを覚える。

 しかし、その感情の正体はまだわからない——

VTuberデビューしました葉月乃亜でございます。

ってのはどうでもよくて、実は課題の締め切りまでまだ少し余裕ありました。

これからはまた執筆速度戻るかもです。

進捗などは活動報告とツイッターを参照してくださいな( ˘ω˘)スヤァ

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