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2.委員長は友達が少ない

 ……はぁー。やっと終わった。


 放課後。俺は随分と疲れてしまった身体で、帰りの用意をしていた。えっと……コレは明日もあるから置いてていいな。コレも……


「ね、ねぇシュン君!」


 ふと、ヒナノが俺に声をかけてきた。


「……」


 黙ったまま俺は、周りから見えないようにクラシックパーム (カードを隠し持つコト)をしつつ、ヒナノにだけ見えるようにカードを見せた。もちろん種類はハートのエース。


 こんな目立つ所で……しかもあんな出来事の後で、ヒナノと会話をする訳にはいかないのだ。


 それでヒナノは「はっ」と理解したのか、すぐさま口を閉じて、教室から出て行った。察しの良い子で本当に助かるよ…………よし、準備終わり。


 それじゃあ俺も屋上に向かうとしよう。


 思って俺はカバンを手に取った……その時。


「……ちょっといいか。藍野」

「え?」


 俺の名を呼ぶ、クールな声がした。こういうのをダウナー系と呼ぶのだろうか。分からん。


 そんなことを思いつつ振り返ってみると、そこにはさっきまで教卓にいたメガネの女の子が立っていた。


「あっ、えっと……君は……?」

「……もしかして私の名前、知らないのか?」

「おっ……おっしゃる通りで……ごめんなさい」


 というか、ヒナノと喋るのに慣れていて忘れていたけど……俺ってかなりのコミュ障だったわ。


 そして少女は無表情で、何も言えなくなった俺に視線を向けてくる……いや、ホントごめんって。昼に食べなかったおにぎりあげるから……どうか命だけは。


「……そんな怯えるな。私の名前は二宮ニノミヤ莉音リオン。ここのクラスの委員長だ」

「あ……委員長なんだね」

「そう。それで文化祭の実行委員も任されてる……いや、雑用押し付けられたって言った方がいいかもな」

「は、ははっ。そうなんだ。ははっ!」

「……」


 多分、ここは笑う所じゃなかったみたい。


「ええっとそれで……俺に何か?」

「ああ。さっきの藍野の発言に、お礼を言おうと思ってな」

「えっ、お礼?」


 言われて俺は目を点にする。だって俺はそんなお礼を言われるようなことなんて……


「私も良くないと思っていたんだ。特に人の容姿をイジるような発言は特に……な」

「あっ……ああー」


 ここでやっと、さっきの出来事の話だということに気が付いた。


「本来ならああいう場面は、私が注意しなければならないが……藍野が代わりに言ってくれた。その勇気に感謝するよ。ありがとな」

「い、いやいや! そんな褒められるようなアレじゃないですよ!」


 ただ……ただ俺はヒナノをイジってるゴミ共が気に入らなくて……怒りに身を任せて机を蹴っただけなんですよ!


 だから本当に褒められるようなことしてないんだよなぁ……


 ……というか、ヒナノの所に早く向かわなくちゃ。委員長には悪いが話を切り上げて、とっととこの場から離れよう。


「え、えっと、そうだ。俺、もう帰らなくちゃ」

「……待ってくれ。そんな藍野に相談したいコトがあるんだ。少しだけ時間を貰えないか?」


 相談? 何で俺に……?


「でも俺、結構急いでて……ほら、他の人とかに頼めないの?」

「……私は友達が少ないんだ。あまり恥ずかしいことを言わせないでくれ」

「……」


 あっ……ごめんなさい。


 確かにこの子は美人さんだけど、喋り方に少しだけ棘があるからな……ちょっと怖い。だからあまり人が近付いては来ないのだろうな。


「それで……いいか?」


 ……ここまで言わせておいて断れるヤツは、勇者にでも転職した方がいい。


「……い、いいですよ?」

「助かるよ。藍野」

「……お安い御用です」


 ごめんヒナノ。少しだけ待っていてくれ。

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