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37.ヒント*アリス*

 私は立ち上がり部屋を出た。皆は驚いたが私について来た。私は指差した。母のした事はどこまでもこの為だったんだ。


「あ、あれって!」

「そういうことか」

「雪の絵がどう言うこと?」

「アリスちゃん。僕にもわかるように教えてくれる?」


 皆はそれぞれの反応を示した。あの絵が何の絵かわかってる柏木君と桃李はわかったようだけど。


「あれは雪の絵だけど、太陽の光の絵でもあるの」

「太陽の光……!」

「あ、本当だ」




 私は皆を部屋に戻り話し始めた。


「そして、聖母も太陽を示してる」

「そう言えば、ファティマの聖母の奇跡で、一万人が目撃した奇跡は……」

「太陽が近づいてきて熱で服が乾いったっていう……」

「じゃあ、必要な数値は千九百六十年に起こった富士山の動きの数値とその日の太陽……」

「熱だと思う。持ってる人が圧倒的に少ない。動いた瞬間の太陽の熱を浴びた人だけ」

「でも、そんなのいっぱい居るんじゃないのか?」


 九条君が言う。そう普通の日であればそうだろう。その日は……私はパソコンに入れていた情報を開いた。そして、必要な情報を集めた。


「千九百六十年に富士山に動きがあった日、日本は八月二十八日その日は日曜日だった。それでローマオリンピック開催の三日後だった。当時テレビはあった。そして、ローマとは時差があったけど中継放送は出来なかった。だから、録画放送だった。さらにその日はすごく暑かった。その瞬間の時間はお昼だった。だから、多分……」

「その瞬間に外へ出て日に直接当たっていた人の数は少なかった……と言うこと?」

「もしかしたら遺伝子自体に抵抗する力がある人がいるのかもしれない。そうじゃないとそれでも多すぎるように思う。本当ならこの遺伝子が優勢になるから増えていく計算だし……」

「でも、この遺伝子の人間は力を持てば破滅が待っている。だから、もしかしたら増えてはいかなかったんじゃないかな。最近は子供の数も減っているし。ここに雪の結晶と聖母が描かれている。やはり太陽事を指してるんじゃないのかな?」


 八雲さんの言葉に安心した。私はずっと一人でこの絵を見て考えた、考えに考え、調べに調べた。その結果を推測するしかなかった。でも、今はこれしかない。やるしかないんだ。桃李が言っていた通りに。


「そう言えば聖母の第三の預言はわからないけれど、皆が見たり聞いたりしてる事は……」

「千九百六十年、太陽……」

「預言は預言じゃなくて、奇跡や他の事がヒントってこと?」


 九条君の疑問に私が答え、柏木君がさらに答えを出した。


「重要なのは第三の預言であるようにみせて、本当の答えはまるで大事ではないように表面に出していたんだ。第三の預言はこの話が本当で重要な預言であり、人々の注目をずっと引きつけておくように仕組まれていたんだじゃないか。これも仕組まれていたってこと?」

「俺たちのしていることは誰かの引いた道なのか?」


 わかればわかるほど、誰かの思惑を感じる。どうしよう? 私は不安になってくる。


「まあ、そこはいいんじゃないのかい? とりあえず全てを解こう」


 八雲さんの言葉で私が集めた資料を元に八雲さんが最後の絵が描かれているページの横を埋めて行く。カリカリという音だけが響く。もう少しだよ、お母さん。これからどうなるの? 見えてたんでしょ?



 

 八雲さんが鉛筆を置いた。


「出来た」


 私達はノートを覗き込んだ。八雲さんの式は何ページにもおよんだ。


「あ」


 最後八雲さんが答えを出した少し下に線が、母が解を出した時によく書いていたアンダー線があった。あの絵が描いているページに気を取られてその後の数ページ後にこんな線があるなんて見ていなかった。母の声が聞こえたようだった。『証明終了』と。


「ここに最初から線があったんだ。ちょうどここで終わりだってことだね?」

「はい」


 これで決まりだろう。母はこれを伝えたかった。


「俺たち見ても意味わからないんですけど……」

「僕にも」


 桃李の言葉に九条君も頷いた。私もだ。あのまま四人でいくら額を寄せてもどこにもいけなかったんだと再確認した。解を見ても全くわからない。


「ああ、僕もこの力に関係しそうな事を勉強し続けていたからね。鏡野清華さんが亡くなったって知っていたから、論文にするのは危険だと判断して、発表は一切せず一人で研究や勉強を続けていた。一見なん関係もないような研究ばかりだけど。でもそう考えると君のお母さん、僕を助けてくれてたのかも?」

「母の見ていた未来はどこまでだったんだろう。このアンダーラインまでか、それとも最後の日までか……」


 一瞬訪れる沈黙。最後の日はどちらなのか……この力が消えた日か……それとも世界の終わりか……


「とにかく、今日はここまでですね。明日からはこの力を生み出す装置の試作品を作りマウスで実験ってことでいいですか?」


 桃李が仕切る。部屋の窓から赤と青の混じった空が見える。もうそんなに時間がたってたんだ。


「ああ、その君たちは装置を作ろうとしてるみたいなんだけど……この解を見る限り……ん、ちょっと考えさせてくれるかい? あ、あとマウスは別の実験室から借りてくるよ。命を落とす実験じゃないから借りるだけで充分だろう。なんで、明日と明後日はいろいろ検証したいんで月曜日でいいかい?」

「わかりました。俺たちももそのほうが」


 桃李と顔を合わす。そうなのだ。父や母がいる可能性の高い土日に九条君や柏木君なら一緒にいても怪しまれないが八雲さんはさすがにマズイ。

 今までは私と柏木君の間に桃李が入ってるという構図で済ませていた。桃李のお母さんは何度も桃李に注意をしたが、父は桃李の行動を応援しているようで、いつもまあいいじゃないか、で終わらせていた。九条君は移動で来ているので一人増えても気づかれてはいなかった。まだ間もないからだけど。


「ここまで進んでるし父や母にバレるのも困るので平日だけってことにしませんか?」

「そうだね。僕もそうしてもらえると助かるよ」

「じゃあ、そういうことで月曜日に。時間は部活があるんで六時になるんですが……」

「わかった」


 ということで、これからの方針も決まった。

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