31.そして真実*アリス*
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私達はあれから毎日パソコンの前でノートとにらめっこし続ける日々を過ごした。もう今日で二週間たった。それでも私達は今日もこうして私の部屋でパソコンを立ち上げしばらく画面を見つめ続けるという行為を続けている。九条君が自分の力で真実と向き合い何らかの決着をつけると信じて。私は彼の言葉を信じて彼を見るのをやめている。彼がどんな決着を迎えようと必ず報告してくれると信じて。もうそろそろノートに取り掛かろうかと誰も何も言わずテーブルに向かおうとした時、ソフトが勝手に立ち上がった。
「おい! どういうことだ?」
桃李が声をあげ画面を指差している。私達の誰もが驚いた。そこに写っているのは前より明るい雰囲気だが彼の部屋にいる九条君だけど、彼の服が私達を驚かしたのだ。彼は私達の学校の制服を着ている。つまり桃李と柏木君と同じ格好なのだ。どういうこと? 彼ははじめて見せる笑顔でこちらに手を振っている。
「か、柏木君お願い」
「う、うん」
私達はみんな意味がわからず、混乱していた。とりあえず柏木君に移動を頼んだけど。ただ彼の笑顔で問題は解決したんだとわかるぐらいだった。柏木君が画面の彼を見て私の部屋に目を移した途端に九条君が私の部屋に来ていた。そこには間違いなくさっき見た制服を着ている九条君がいた。
「皆ありがとう」
彼はそう言って頭を下げた。
「九条一体なんで俺らの学校の制服を着ているんだよ?」
桃李が一番の疑問を口にした。他のこともどうなったのか知りたいけれどそれが一番の疑問だった。
「僕、明日から君達の学校に通うんだ。」
「えっ!なんで?」
「あれから父さんと母さんと三人で話をする機会を伺っていたんだ。兄貴は何も知らない可能性があったから。で、三日後にその機会がやって来た。時間が出来たんで僕は自分の身に起こったことを整理できたし冷静に話ができた。父さんと母さんは話してくれた。僕の本当の父親に兄貴の命を救われたんだって。父親は異常なまでの身体能力を持つ力の持ち主だった。まだ赤ちゃんだった兄貴をベビーカーに乗せてて不注意で手を離したら坂を駆け下りていった、そこを僕の父親に救われて力を目の当たりにしたんだ。父に二人は感謝してそこから繋がりが出来た。だけど、父はそのすぐ後に亡くなった。その時母のお腹には僕がいた、だから二人は母を心配してくれた。兄貴の恩もあったしね。母は父を亡くして力を手に入れた。二人に見せたんだ、父のホログラムを。どうしても会いたいと願ってホログラムを作り出せるようになったみたいだ。だけど、母は僕が一歳になる前に病気で死んだ。母も父も親類とは縁を切っていたようで誰も僕の引き取り手がなかった。母は二人に頼んだんだ、僕を育てて欲しいって。そして、二人は僕を引き取ることを母と約束したんだ」
「そう……だったんだ。だから、九条君に力をみても騒がないし他人に言わなかったのね」
「父も命を狙われてたようだ。兄貴を救ったのを見られていたのかも。あの電話番号は母の実家の番号だった」
「かけたの?」
九条君は首を振った。
「ううん。番号の書いた紙を探したんだ。番号の書いた紙と写真も入っていた。僕を抱いた母の写真。それを二人に見せて僕の両親は誰かと聞いたんだ。それで全部言ってくれた。兄貴と比べてたのは、僕の方が兄貴よりなんでもできたからだって。自分達の子が優秀じゃないと言われてるようで、いけないと思いつつも僕をけなし兄貴を褒めることで自分達を慰めていたって。それに、僕がいつか力を手に入れてどんどん引き離してどこかに行くんじゃないかって怖くなったって。僕が部屋にこもってからは、もっとどう接すればいいかわからなくなった。今まで本当に済まなかったって謝ってくれた。命の恩人にお返しするつもりで引き取ったのに本当に申し訳なかったって」
「そう。ご両親も苦しんでたのね」
「うん。だから、僕も謝った。実の子でもないのに今までの育ててくれたのに、二年も無視を続けていたんだから。それから、お礼も言った。今まで育ててくれてありがとうって」
「で、さっきから気になってたんだけど、どうして僕達の学校にくるってことになるの?」
柏木君の質問に九条君はさっきの辛そうな顔から一転破顔した。
「そう。学校に行くって。話をしたんだけど、やっぱり前の高校は行きにくいから、転校したいって頼んだんだ。すぐに同意してくれて、今までとレベル変わらない君達の学校に行くことにしたんだ。時間がかかったのは転入試験や手続きのせいだったんだ。驚かせたくって。待たせてごめん」
「それって、まさか……」
「うん。僕も参加するよ。この計画に。何ができるのかはわからないけど」
九条君はあの自信のない態度から一変していた、表情はいきいきしている。きっとずっと比べられていた兄よりも自分の方が劣っていた訳ではなかったと知ったからだろう。家族の関係がギクシャクしていたのもなくなり、自分に自信を持てるようになったんだ。良かった。これなら新しい環境でもやっていける。ん? あ、九条君一年生だ。同じになるんだ。
「ううん。大歓迎だよ。きっと何か突破口があるんじゃないかな? このページでなくても。それにしても、明日からは同級生だね!」
「鏡野さん一年生なんだ。同級生なんだね」
「僕もだよ」
柏木君はなぜか私の前に出るよう言った。




