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10.預言

「そうだよね。私もこの情報を見るまではそこまで考えなかったから」

「この情報って?」


 と、僕の発言を聞く前に鏡野はパソコンに向かった。インターネットを立ち上げ『ファティマ第三の秘密』と打ち込んだ。そして、ページを開いた。そこにはファティマの聖母と書かれてある。聖母? いったいなんの関係があるんだ。


「不振がらないで。宗教とは関係ないと思って読んで見て」


『ファティマの聖母……ポルトガルの小さな町ファティマでの聖母の出現……他の伝説との違いは、これをローマ教皇庁が奇跡として認め、第三の予言を長年にわたり秘匿した。何万もの群衆を前に太陽が狂ったように回転して見えたり、水源のないところから水が湧き、飲む者に奇跡的な治癒があったりしたこと……』


 僕は宗教っぽくないところを読んで行く。

 何だこの内容は。何万人も見てるのか? 続きに目が行く。


『千九百十六年春頃ファティマに住む……三人の子供の前に……天使があらわれ、……その後も訪問は続いた。千九百十七年年五月十三日、……三人の子供達の前に「聖母マリア」と名乗る婦人が現れて様々なメッセージを託した。メッセージは三つ。

 地獄の実在……聖母は少女ら三人に地獄のビジョンを見せ……。

 第一次世界大戦は、間もなく終わること。……さらに大きな戦争が起き……その前兆として、ヨーロッパに不気味な光が見えるだろう。』


 注釈があったので、僕はそのまま操作して注釈を見る。


『川九百三十八年、ヨーロッパで巨大なオーロラが観測された直後に第二次世界大戦が勃発している。』


 嘘だろ。だがこれでまだ二つ目。あとの一つに戻る。


『聖母マリアは千九百六十年になったら公開するように、それまでは秘密に、と厳命した。その内容は「ファティマ第三の秘密』と呼ばれ、教皇庁に伝えられたが千九百六十年が過ぎても教皇庁は公開せず、千九百八十一年五月十三日に発生した暗殺未遂事件と発表。』


 秘密にするほどのこととは思えないな最後の暗殺未遂事件。他の二つとは比べられない規模の事件じゃないか。

 僕はまだ続きに目をやる。


『千九百十七年十月十三日、集まった一万人の群衆は雨で濡れていたが、太陽がくるったような回転を繰り返し猛烈な熱で彼らの服は乾いてしまった。世界各国の天文台で当時こうした太陽の異常行動は観測されておらず、群衆全員が同じ幻覚を見たことになる。居合わせた新聞記者たちも目撃しポルトガルのあらゆる新聞に大々的に掲載された。』


 はじめに書いてあった太陽の話はこれのことか。同じページにある写真には太陽の様子が写っているものはなかったが、たくさんの人が集まっている写真があった。

 そこからは宗教的な記述があるので飛ばして読み進めた。鏡野が僕に見せたいのはそこではないのだろうから。


『聖母は……手を広げた。その両手からは眩しい炎は、地を突き刺すかのようにみえた。そして、三人は火の海を見た。この火の中に、サタンと人間の形をした魂とが閉じ込められていました。……』


 何だかすごい意味深な表現だな。人間とサタンが閉じ込められているか。僕たちみたいだな。人間と人間を超えた能力をもつ僕たち。


『ファティマ第三の秘密……二千年に発表された文章は二つの預言に比べると小さすぎる点、長期間隠され六十年代の教皇が絶句したりした点、……第三の秘密は未だ本格的には未公開とされる。』


 どう言えばいいんだろう。これをどう解釈すれば。


「第三の秘密は第三次世界大戦っていうこと?」


 鏡野は僕が興味を示したからか安心した様子だ。そして、少し笑を含んだ声で答えた。


「そう、普通はそう思うよね、順番的にも話の規模的にも。わざわざビジョンで見せたと言われてるの。前の二つの戦争の預言とは比べ物にならない話でしょ。しかも聖母は千九百六十年になるまで、第三番目の預言は発表してはならないと言ったのに、法王庁は二千年になってやっと発表してるし。この預言や奇跡を宗教的な意味から見ないで、私達の様な力を持つものがやったと想定したら、この話この能力で実現可能だと思わない? 過去に行く能力とか未来を見る力とか人を惑わすかビジョンを見せる力や」

「あ……」


 そうだ過去に戻るなら未来を預言するのは簡単だ。未来を見る力は鏡野の母親が持っていたようだし。そして、奇跡や預言をビジョンで見せる。そんな能力があれば簡単に預言者が出来る。


「でも、そんな昔にもいたのかな?」

「そこまで強い力を一人でしかも複数持つか、何人か強い力を持つ者達が集まって、その当時にあそこまでのことをやるのは無理なんじゃないかと思うけど、否定はできない。でも、さっきも言ったけど、この力は力を持つもの同士の子供にさらに強い力が受け継がれる。だから、当時にこんな事が出来る程の能力を持つ者がいた可能性は低い様にも思える。それよりも、今かこれからかはわからないけど、過去に行って戻って来る方が自然だと思うの。この力を持つ者で私達ぐらい力が強い人間が特別に多いのは世界で日本の関東地方、厳密には富士山の周りなの。他にも居ないことはない訳じゃないけど、日本があまりにも多いのよ。飛び抜けて」


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