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陰魔が消えた瞬間、家を覆っていた赤黒いドロドロは徐々に消滅していく。
そして、両親の拘束も解け……
「父さん!母さん!」
「……将吾、か……?」
「……将吾……無事、だったのね……」
「うん!僕は大丈夫だから……!」
父さんと母さんは拘束されていた分少々苦しそうではあったが、命に別状は無さそうだった。
「さっきまで陰魔に取り憑かれてたんだ。ゆっくり寝かせてやれェ」
「う、うん……分かった。父さん母さん、部屋に行こう。とりあえず今は疲れを取って」
神々廻さんに言われるがまま、僕は父さんと母さんを寝室へと連れて行き、寝かせることにする。
「これで、父さんと母さんはもう、喧嘩せずに済むかな……」
「あァ。陰魔が長いこと憑いてたみたいだし、おかしくなってたンだろ」
「そっか……良かった」
神々廻さんの答えに僕は安心して座り込む。
そして彼はその場に寝転んだ。
「えっ……そこ、床なんだけど」
「それがどうしたァ」
「いや、せめてソファーに寝るとかさ」
「俺ァホームレスだぜ。何処で寝ても一緒だ」
凄い説得力だが、流石に家なんだからソファーで寝転んだ方が良いと思う。
それとも、僕の家だから遠慮しているのだろうか。両親の命を救ってくれた訳だし、気にしなくてもいいのに。
「あの陰魔は……消滅したの?」
「いや。成仏させてやったんだよ。まァ、あの罪状じゃほぼ間違いなく地獄逝き確定だろうがなァ」
「……そっか」
完全に自業自得で、父さんと母さんは巻き込まれてしまっただけとはいえ、ただ消えるだけではなく罪を償って欲しかったのでほっとする。
まあ、これは両親が無事だったからこそそう思えるのだろうけど。
「……疲れた。寝る」
「え!?そこで!?」
「はァ?おい、ゴショー。俺は命の恩人だぞ。寝床くらい貸しやがれェ」
「いや、そうじゃなくって……って、寝るの早っ!!」
目を閉じた瞬間、もういびきをかき始めた。どれだけ寝つきが良いんだ。
寝るんだったらベッドでも貸してやったのに。そんなわざわざ硬い床で寝なくても。
というか《ゴショー》って何……?ひょっとして僕のこと?
だとしたら僕の名前は《将吾》なんだけど。
「陰魔を成仏させるのって、疲れるの。だから寝かせてあげて」
「いや、そうじゃなくってさ。寝るならベッド貸してあげるのにって思っただけ」
「……将吾は、優しいんだね」
別に、普通だと思う。
そもそも彼は両親の命の恩人な訳だし、ちゃんとした待遇をしてあげたいじゃないか。
……でもこれは、暫く起きなさそうだなあ。
しかしこれは、まだ物語の序章に過ぎない。
僕はこれからこのならずものの祓い手に幾度となく巻き込まれていくことに、まだ気づいていなかった……。
第二話に続く……




