エピソード:11『波乱の出港、荒ぶる渦潮!』
お待たせして申し訳ありません、第11話です。
この間仮面ライダー展に行ってきました…………めちゃくちゃ良かったです。たまらねぇぜ。
ブレイズ達に別れを告げ、次の目的地に旅立つ宝笑達一行。
快適な船旅を楽しもうとした矢先、巨大な魔物の襲撃を受けてしまうのだった。
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「くれぐれも気を付けて。君達の幸運を祈っている」
「はいっ!」
マッハバロンくんとの一件があった翌日、俺達は次の街に向かうために港に来ていた。何でもアリディアは水上都市らしく、陸路より海路の方が道のり、時間共に遥かに楽とのこと。
肝心の船はとんでもなく豪華で立派な客船で、これは王様がわざわざ用意してくれたものだった。
「ここでお別れ、ですね。そう簡単にここを離れるわけにはいかないので…………でも、何かあれば直ぐに駆け付けます!ーー皆さん、お元気で」
「ブレイズさんもお元気で。また会いましょうね」
「ホーショーさん、また来てくださいね!僕、待ってますから」
「もちろん!絶対また来るよ。マッハバロンくんも元気でね!」
「国王様、船を用意していただき感謝します。なんとお礼を言えば良いか……」
「この街を幾度も救ってくれたことに比べたら安いものだ。ここからアリディアまでは数日掛かる、快適な船旅を楽しんでほしい」
「ありがとうございます!皆さんお元気でっ!」
手を振って王様達と別れ、俺達は船に乗り込んだ。
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「行っちゃいましたね…………」
「そうだな」
「…………ホーショーさん達、また来てくれますよね」
「あぁ、きっと来てくれるさ」
「きっとそう遠くない内にまた会えますよ。
…………………………………………皆さん、どうかご無事で」
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部屋に入った直後、ベッドに倒れ込む。フッカフカのベッドに体重を預けると包み込まれるように体が沈み、その心地よさに思わず顔がにやける。
「あ゛ぁぁ~……!すっっごいフカフカだこれぇ……」
思いきりゴロゴロしてだらける。人数と性別の問題で俺は一人部屋であり、ヒノカさん達の目を気にせずダラダラすることが出来た。
こっちに来て一人でゆっくり出来る時間なんて無かったから、正直ありがたい。
「しっかし船に乗るなんて久々だな~~ここまでデッカくて立派なのはそうそうないや」
ひたすらベッドでのんべんだらりとしているとドアがノックされ、向こうからフィーニアスさんが声を掛けてきた。
「宝笑聞こえる?もし疲れてなければ色々と船の中を見て回りましょう」
「あーい、ちょっち待っててくださいねー」
部屋を出てみんなと合流して船の中を散策し始める。
内部は外観から想像できる以上の広さで、俺の世界のそれとは趣きや雰囲気は違うが内装から飾りまでとにかくきらびやかであり、乗っているのもそれに相応しい身なりの良い人達ばかりだった。客が集まっている大広間に至ってはさながらお城の舞踏会のようである。
「いやぁ~~俺の場違い感がすごいなぁ」
「堂々としていればいいじゃないですか。国王様から戴いた勲章は身に付けて……ますね」
勲章は上着の見えやすい位置に付け、アピールする。
「これ、勲章が無かったら自分白い目で見られてたかもしれないっすね…………」
「俺とフラムちゃん普段着だもんね……なんなら現在進行形で「なんだあいつら」って感じでちらちら見られてるし……」
「ナハトさんの言う通り堂々としていればいいわ。
ここで気後れしているとかえって舐められるわよ」
フィーニアスさんに喝を入れられて引き続き船内を見ていると、ふといい匂いが漂ってきた。
「…………お腹、空きましたね」
「えぇ、とっても」
ヒノカさんが頷く。早めに出発したためにバタバタしていて朝ご飯を食べ損ねており、匂いを嗅いだことで急速に空腹を感じ始めた。あるよね、こういうこと。
「確かにお腹空いたっすね、朝ご飯食べましょう!」
「…………そう、ですね。体に良くないですし、姉様がお腹を空かせているのは問題なので」
そうして食堂に入り、バイキング形式の料理を思い思いに取って食事を始める。
「そういえば…………ブレイズさんと同じ聖剣使いって、どんな方なんでしょうね~?」
「あ、確かに」
そう、これから向かうアリディアにはブレイズさんと同じ聖剣使いがいる。ブレイズさん曰く『ふんわりしていて優しい女の子』で、名前をラメールさんというらしい。
「ふんわりしてて優しい、というとヒノカさんみたいな人なんですかね?」
「あらまぁ」
「そうであって欲しいわね。ブレイズさんのように話の通じる相手であることを祈るわ」
ローストビーフサラダらしき料理を食べながらフィーニアスさんは言う。食べ方が超キレイ。
「食べ終わったら外の景色でも見に行こうかなー、こういう船なら一望出来るデッキがある筈だし」
「いいっすねー、折角だからゆっくりしたいっす!」
「のーんびりしたいですねぇ」
それから食事を終えてデッキに出ると、そこには青い空と海がどこまでも広がっていた。空も地も美しい青、海面は太陽の光を反射してキラキラと輝いている。
ハワイ、イタリア、ギリシャ、タヒチにパラオ……海が綺麗な国は母ちゃんやじいちゃんばあちゃんと何回も行ったことがあるけど、それを思い出す絶景だ。
「………………凛ちゃんも一緒に行ったことあったっけな」
「宝笑、どうかしたの?」
「あぁ、ごめん。ちょっと昔のこと思い出して」
「…………そう」
フィーニアスさんは一瞬何か言いたそうにしたが、直ぐにいつもの表情に戻り、海を眺める。
「綺麗だねぇ」
「そうね。とても綺麗」
「フィーニアスさんは髪の色とか服装とか、よく映えるよね。すっごい綺麗」
「…………急にどうしたの。お世辞?」
「あ、ごめん。でも本当にそう思うよ」
「そう、かしら。よく分からないわ」
「そもそもが美人さんだからめちゃくちゃ絵になってるよ。深窓の令嬢かお姫様って感じ」
「…………………………………………そう言う貴方も素敵よ。少なくとも私はそう思うわ」
微笑みながら言われたフィーニアスさんの言葉に何とも言えない気恥ずかしさを感じ、顔を反らす。
「あら、自分から言ってきたくせに恥ずかしいの?
ふふっ」
「お恥ずかしい…………」
「? お二人共どうしたんですか?なんだか顔が赤いようですが」
「ん?んーん、何でもないよ」
「えぇ、何でもないわ」
怪訝そうなナハトさんを誤魔化して再び海に視線を戻した時、突如船が大きく揺れた。
「うおぉっと!?」
「ナハト、大丈夫っ?」
「すみません姉様!」
「みなさんあれっ!!」
フラムちゃんが指差した先を見る。そこには大きな渦潮が渦巻いており、中には禍々しい目と巨大な口が浮かんでいた。
「なんだありゃあ…………!!?」
「〝カリュブディス〟!!
暴食の渦と呼ばれる魔物よ!!」
「カリュブディス!?伝承の時代の存在ですよ!?
何故そんな魔物がここに!?」
「どっどっどっどうしましょう!?自分達で相手になるっすかねこれ!?」
俺達も他の乗客もパニックだった。今まで戦った敵と比べてもあまりにスケールが違い過ぎる。
「とにかくやるしかない……魔人転生!!」
魔修羅に変身してジャンプ、グリップを引いて必殺の斬撃デモニックブレイクを放つ。しかし高めた魔力と共に放った斬撃は全く効果がなく、それどころかカリュブディスは魔力ごと斬撃を〝喰らってしまった〟。攻撃を食べるというまさかの行動に恐怖する。
「ウッソだろおいっ……!?」
「破邪清弓っ!!」
急いで弓矢を取って戻ってきたナハトさんが俺と入れ替わりで矢を放つ。戦祓巫女の力で多少はダメージがあったようだが、それも微々たるものだった。
「ブオォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「ヒノカさんナハトさんの力でもダメか……!」
「この調子では倒す前に矢が尽きますね…………効果が薄いのではなく、体力が凄まじく多いような手応えです」
「かと言って私やフラムちゃんだと……」
「リーチが足りないっす!魔法も自分のじゃあんなにおっきいのには効きそうにないし……」
攻めあぐねているとカリュブディスは咆哮を上げ、ウォータースパウトのような激流の竜巻を複数生み出す。それによって海は荒れ、船体が更に激しく揺れる。
「うわぁぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「倒れる!倒れるぅぅぅぅっ!!!」
「マズいっ……!」
船から飛び下り、傾いて倒れそうになった船体を殴って無理矢理元に戻す。俺はそのまま海へと落ちた。
「宝笑さん!!……きゃっ!」
「姉様っ!」
「マズい…………船が渦潮に捕まった……!」
大きく渦巻く渦潮は船を捕らえ、カリュブディスへと運び始めた。海に落ちた俺も同様に流されていく。
カリュブディスはギィイと笑い、大口を開けて待ち構える。
「ドラゴンちゃん頼むっ!」
『バーニングドラゴン!』
魔我魂からドラゴンを召喚し、足に掴まって飛翔。船上へと戻る。
「宝笑、大丈夫っ?」
「大丈夫!ドラゴンちゃんのおかげ!それはそうと、この状況ヤバいよね?このままだとアイツに飲み込まれるんじゃ……!」
その時、カリュブディスが吠え、それを合図に激流の竜巻が一斉にこちらに向かって襲いかかってきた。
ドラゴンの背に乗って竜巻に突撃し、デモニックブレイクで竜巻を全て撃ち破る。
しかし次の瞬間放たれた新たな竜巻をモロに受けてしまい、勢いよくデッキの壁に叩き付けられた。
「宝笑さん!」
「いっ…てぇ……」
「イグニス・ピュロボルス」
フィーニアスさんが唱えた瞬間、イグニスやイグニスフランマとは比べ物にならない業火球がカリュブディスの大口目掛けて放たれた。
業火球が大爆発を起こし、絶叫するカリュブディス。驚く俺達を余所に更に雷の槍を放ち、カリュブディスを貫く。
「エレクトリック・ランサドール」
「オ゛ォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「すごい…………」
「魔力量に物を言わせているだけよ、大したことじゃないわ」
「どちらも高位魔法ですよ、魔力量だけでどうこう出来るものでは…………」
「そうか体内からなら……ドラゴンちゃん行こう!」
『バーンアップ!ファイヤーオブブレイブ!
バーニングドラゴン!!』
バーニング魔修羅にチェンジし、潮の中……カリュブディスの口へと飛び込んだ。
「宝笑!!」
「宝笑さんが食べられたぁぁぁぁ!!」
「一体なにを…………」
カリュブディスの体内、激流渦巻く巨大渦潮の中でグリップを二回引く。
「業火爆裂!ドラゴニックダイナマイト!!」
『バーニングドラゴン!デモニックバースト!!』
高めた魔力を炎に変えて一気に全方位に解き放ち、大爆発と爆炎がカリュブディスを跡形もなく消し飛ばした。
衝撃は船を大きく揺らし、海に大穴が空く。俺が飛び立つのとほぼ同時に穴は塞がり、さっきまでの穏やかな海に戻った。
「ひぃ~疲れたぁ…………」
船上に戻った瞬間へたり込み、変身が解ける。とにかく肉体的な疲労感も精神的な疲労感もすごかった。捻り出せる魔力を全部ぶっ放したせいだろうか?
「宝笑さん大丈夫っすか!?」
「へーきへーき。魔力使うのってこんなに疲れるんだねぇ、ははっ…………」
「ご無事なら何よりです、食べられた時にはどうしようかと…………」
「薬は飲むに限る!ってヤツですね。あれだけ大きくて実体がない相手だとあれが一番有効かなって。外から攻撃しても食べられて終わりですし」
我ながら無茶をしたとは思う。まぁ、なんとかあのとんでもない魔物を倒すことが出来たので結果オーライだろう。
「考えなし……ではないにしろ、流石に無茶をしすぎです。自分から飛び込んでいくなんて……」
「うん、正直バカやったなって思う」
笑う俺に呆れるナハトさん。
「まぁまぁまぁ!倒せたんだから問題なしっすよ!」
「だよねぇ!?」
「宝笑さんは黙ってください」
「ヒョエ……理不尽…………」
「…………先行き不安、かしら?」
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ーーーーー
「はいはいお疲れ~~」
戻ってきたカリュブディス……の魂を魔我魂に戻す。
「派っ手にやられたね~、現時点だとちょっとレベル高くて危ないかなーと思ったけど…………まさか倒しちゃうとはなぁ。あの子が着いてるとはいえちょっと予想外」
遠くに見える客船を見る。
「この前酒場で会った時はそんな風に見えなかったけどなぁ……流石旦那、慧眼が冴えてる。
…………もっと強くなってくれよ、宝笑くん」
閲覧ありがとうございました。
そういえば、僕の作品を読んでくださってる人達は何に惹かれて読んでくれてるんだろう?とふと思いまして、やっぱり特撮やヒーローっぽい作品を求めて来てくれたんでしょうか?
なににしろありがたいことです。




