ダレスの家
中規模の街ラロタウンは大都市スカイシティで働くものが多く住む街だった。
「ねぇねぇ、西のロガリア王国で伝説の剣が盗まれたってよ。白昼堂々と。今度の新王は無能なのかもねぇ。」
ラロタウンに着いたカイトとダレスに井戸端会議をしている主婦達の声が聞こえてくる。
「さっきから同じ話で持ちきりだな。伝説の剣って何だ?」
ついに気になったカイトはダレスにそう尋ねる。
「そんなことも知らんのか。伝説の剣とは1500年以上前から西のロガリアに伝わる剣のことじゃ。」
「へぇー、強いなら欲しいな。」
「やめとけ。西のロガリアからも追われるのはゴメンじゃ。」
カイトとしては全然気にしないのだが。
「それにわしが教える剣術は剣を自由自在に出し入れすることも強みの一つじゃ。実物の剣を持つのはただのお荷物じゃ。」
この中規模の街が騒々しいのは伝説の剣のせいだけではなかった。軍服を着た男が多数徘徊しているのだ。
「しっ!気をつけろ。エレノアの私兵じゃ。面倒事はなるべく避けるのじゃ。」
カイトとダレスは顔を隠すようにそっと道の端に寄る。
そして周りの様子を伺いそろそろいいかと思いカイトはダレスに言う。
「なぁ、どこで剣を教えてくれるんだ?」
「わしの家じゃよ。この街にある。」
ダレスの家にはすぐに着いた。
いたって普通の二階建ての木造建築だった。
一つ特徴を挙げるとするなら庭がある事だろう。
「6年ぶりの我が家じゃ〜。」
ダレスは久しぶりの我が家に目頭を湿らせる。
「小さいの家だな。」
「失礼な奴め。これでも長年苦労してローンを払い続けた家じゃぞ?」
カイトは興味なさそうに答える。
「あっそ、んで?何から教えてくれるんだ?」
「せっかちなやつじゃの。まずは剣の出し入れを完璧にするところなのじゃが、お主は既にできておる。しかし、剣の扱いがまだまだじゃ。そこからじゃな。」
ラロタウンの隣の大都市スカイシティでは1人の両手のない女が病院で目を覚ました。
「ここは?」
「目が覚めたか。」
ベッドの隣の椅子にエレノアが座っている。
「お前はあのふざけた男に敗れ両手を失いこの病院へ運ばれた。憶えているか?」
「はい。」
「私の計画はあの男のせいでめちゃくちゃだ。だから、私の威信にかけてあの男は必ず殺す。」
「エレノア様、私はこの両手の仇をとります。どんなことをしても。」
「そうか頼もしいな。」
エレノアはその言葉に満足したのか病室を出て行った。
1人になった部屋でホワートはぽつりと呟く。
「両手の仇はエレノア様、あなたですよ……。」




