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笑わないキミの笑顔を探そう  作者: 無色花火
136/137

135話 PK

先月は急遽休載となってしまい申し訳ありません。

現在は諸々安定しておりますので、今月から投稿再開します。


では、以下より本編です。

「くぅー、PKか~」


 先ほど1点を決めて危機を救い、1回戦での名誉挽回を果たした菱谷くんが、喜びもそこそこに伸びを交えながら零す。

 そう、ここも本来のサッカーと同じ。試合で勝敗が決しなければPK戦となる。


 ルールは試合に出ていた人の中から代表者を5人選出しての5本勝負。5本やっても勝負が着かなければサドンデスが行われる。

 サッカー部員については5本勝負には出られるが、サドンデスには出ることができない。


 時間も限られているため、速やかに代表者の選出が行われ、各々の配置につく。

 なお、俺は5人の中に入っていない。なのでコートの外から見守っている。

 代表者によってコイントスで決められた先攻は俺たち4組。そしてこちらの最初のキッカーは、我らが満島くんだ。


「満島ー、頼むぞー!」


 外からの声も気にした様子は無く、ボールとゴールに集中している。

 ホイッスルが鳴り、その残響も消えてからひと呼吸置き、助走を始める。

 そしてその勢いのまま放たれたシュートは、鋭く、速く――


「っし!」


 キーパーが反応する隙も与えず、見事に点をもぎ取った。


「っしゃー! ナイスシュート満島ー!!!」


 幸先のいい1点目に2組の生徒たちから歓声が上がり、満島くんは軽くサムズアップをしながらこちらに戻ってくる。

 それぞれハイタッチを交わすが、時間も限られているのでその余韻も短く。流れるように攻守交替し、相手のひとり目は新条くん。

 体や視線の向きとは反対に放たれたシュートが、キーパーがつられて反応したことでガラ空きになったゴールに吸い込まれた。威力こそさっきの満島くんよりないものの、サッカー部ならではのテクニカルなシュートだ。

 まずは1-1と、サッカー部員の2人が堅く得点してPK戦が幕を開けた。




 この後も、決めて決められ、止めて止められ、時に外しの攻防が続き、遂にはサドンデスにまで縺れ込んで、スコアは4-4。




 そして合計8戦目の先攻――キッカーは水方くんだ。


「じゃあ、行ってくるよ」


 深呼吸をしてからコートに入っていく。

 始めは賑わっていた外野も、回が進んでいくごとに緊張が伝播し静かになっていき、今では見ている誰も静かに行く末を見守っている。

 そんな緊張の中心にいる水方くんは、普段の柔らかい雰囲気はなく真剣な眼差しでボールの前に立つ。さすが元運動部というべきか、空気に飲まれた様子はない。

 ホイッスルの後、数秒間の静寂ののちに助走を始めた水方くんは、渾身の一撃を蹴り出す。大きく横に振れたボールは、右側のゴールポスト……そのすぐ後ろのネットに突き刺さった。


「よしっ、ナイス水方!」


 相変わらず、今日は予想以上の活躍をしている。さっき3人目で蹴った時もしっかりと決めていたし。1回戦で点を決めていることも考えると、満島くんを除けば現状最も活躍しているのではないだろうか。

 なにはともあれ、先攻で得点したことにより一旦の猶予が生まれたと同時に、相手にもプレッシャーを与えられただろう。

 一度は緩んだ空気も、攻守交替するとまた緊張感に包まれる。

 相手のキッカーは名前も知らないが、さっきの試合で先制点を決めた生徒だ。つまり、フォワードを任せられるほどには信頼を置かれているということだ。


「……」


 サドンデスに入ってこれでもう3本目。

 参加していないとはいえ、さすがにここまで縺れ込むとは思っていなかっただけに俺も緊張で息を飲む。

 開始のホイッスルが鳴り、キッカーが助走をつける。放たれたボールは、ゴールの右上へ。

 キーパーは大きく跳んだが、反応が僅かに遅れてしまいボールに触れたのは指先だけ。


(ダメか……っ!?)


 惜しくも捕えきれず通過していったボールは……




 ――ガンッ!




 上のゴールポスト――後から教えてもらったが、クロスバーというらしい――に命中し、大きな衝突音が鳴ったと同時に、真下に跳ね返った。……いや、正確には少し前(・・・)に跳ね返った。




 ――ピーーーッ!




 そして、長いホイッスルが鳴る。

 それが意味するのはつまり――


「っっしゃあぁぁ!!」


 菱谷くんの雄叫びを皮切りに、クラスメイトたちが勝利の歓声を上げる。

 接戦の試合を繰り広げての1-1の引き分け。そして雌雄を決するPK戦ではサドンデスにまで縺れ込んでの計8回戦の末、5-4というスコアで、俺たち2年4組は2回戦を突破し準決勝に駒を進めた。




 ◆◇◆◇




「やったね織宮くん!」

「うん。水方くんも、ナイスシュートだったよ」


 最後の整列も済み、コート外に出てから、改めて水方くんと軽くハイタッチして喜びを分かち合う。

 他のクラスメイトたちも互いの健闘を称え合っている。


「それを言うなら、織宮くんがいなかったら引き分けにも持っていけてなかったよ」

「あはは。そう言ってもらえると嬉しいよ」


 あれは、我ながらよくやったとなと思っている。ラインスレスレで強引に突破……あんな奇跡的なドリブル、もう二度と成功しないだろう。


「そうだぜ~。織宮がいなかったら俺の完璧なヘディングも見せられてなかったからな~!」


 と、今回の救世主である菱谷くんが、後ろから俺たちの肩に腕をまわしてきた。

 凄いな。俺を褒めてくれるのと同時に自分の成果をアピールしている。


「なーにカッコつけてんだよ。目ぇ瞑ってたの見えてたからな」


 だが高くなった鼻をへし折るように、満島くんが追い越し際に真実を暴露していった。


「満島お前言うんじゃねぇよ! ってか見てたのかよ!?」

「バッチリ見てたぞ~」


 菱谷くんは慌ただしく、満島くんを追いかけていってしまった。嵐のようだったな……

 今まで気に留めていなかったが、このクラスも遠柳の頃のクラスに負けず劣らずの愉快なクラスだ。


(何はともあれ、なんとか勝てたな……)


 こんなにスポーツで頑張ったのはいつぶりだろうか。それこそ、中学時代に水泳の猛特訓をさせられた時以来じゃないだろうか。

 俺も今回は、この球技大会で初めて明確に仕事をしたという実感が得られて、心から満足のいく結果だ。

前話投稿時に焦りすぎて前書きに書いてたメモ消し忘れてアップしてました……w

大して重要なものでもありませんが、念のため見た人は取り合えず記憶を消しておいてください。まぁ、2ヵ月前なので覚えてる人もいないでしょう。

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