第15話「ミティスVSキマイラ」
ゼルたちが飛行船で闘いを繰り広げている間、ミティスもまた凶暴なキマイラとの闘いを続けていた。
「くっ……!」
ミティスの体を喰いちぎらんと牙を剥いて突進してくるキマイラ。紅いオーラを纏ったミティスはその攻撃を真正面から受け止めた。
その僅かな隙を見逃さず、尾の毒蛇が鎌首をもたげた。牙から毒液を滴らせて、ミティスに食らいつかんとする。
「この!」
ミティスは間一髪の所で毒蛇の攻撃を躱すと、その蛇体を両腕で抱え込む。
そのままジャイアントスイングの要領で豪快に回転すると、遠心力を利用してキマイラの巨大な体を投げ飛ばした。
投げ飛ばされたキマイラは何とか体勢を立て直すと、口から火炎のブレスを吐き出した。
「火まで出すのか!」
ミティスも対抗して、両腕から紅くゆらめくエネルギー波を放出し、ブレスにぶつける。
拮抗する2つのエネルギーの波であったが、ジリジリとミティスの方が押されていく。
「くっ!」
ミティスは渾身の力でキマイラのブレスの軌道を逸らすと、一気に間合いを詰めて獅子の頭部に強烈な蹴りを叩き込んだ。
「まだだ!」
キマイラが怯んだ隙を突いて上方へ跳び、後頭部の山羊の頭に飛び乗ると、ねじ曲がった角を握りしめて力を込める。
「この……あぁ!」
能力によって強化された腕力によって、角は鈍い音を立ててへし折れる。
尾の毒蛇が噛みつこうとするも、それより先に喉元が折れた角によって刺し貫かれた。
獅子の頭部と山羊の後頭部、毒蛇の尾の3箇所に深刻なダメージを負ったキマイラは、悲鳴を上げて地面に突っ伏した。
「……」
もはや低く唸ることしか出来なくなったキマイラに歩み寄るミティス。そして——
ズッ……
尾に突き刺さった折れた角を引き抜いた。トドメを刺されるものと考えていたのか、キマイラは驚愕したような素振りを見せる。
「まだ暴れ足りないって言うなら……とことん付き合ってやるけど」
ミティスの言葉を聞いたキマイラは数秒固まった後、静かに唸りながら目を伏せる。怪物とは言え、敗北を認める程度の知能は保っていたのが双方にとって幸運な事実だった。
——第16話に続く。




