職員視点・二幕
警報が鳴った。
「違反者か……」
「どんな厄ネタを持ち込んだんだか。」
「扉に向かっているのか、見逃すわけにもいかないな。」
滅多に使われない執行杖を持って立ち上がった。
違反者は二人だった、地球人に金色の髪と紫の瞳の女だった。
よりによって地球人を、そう思った。
「止まってください。」
「嫌だね。」
「地球人を入れるのは規則違反です。」
「それで?」
「地球に帰してきてください。」
「やだよ、せっかく連れてきたんだし。」
「そうですか。」
思った通り言う事を聞こうともしなかった。
出来ないことは分かっていたが言った。
「強制退場してもらいます。」
「それ以上私の暇つぶしを邪魔しないでくれない?」
苛ついているのが分かる言い方だった。
「ヴェールシアに行くおつもりでしょう?」
「まあそうだね。」
「なおさら通すわけには行きません。」
「しつこいなぁ、殺すよ?」
今日は厄日だった。
紫の瞳には確かに殺意がこもっていた。
職務を全うするのに集中することにした。
「あなたと本気でやり合ったら私に勝ち目はないでしょう。」
「そうだろうね。」
「時間を稼がせてもらいます。」
時間が稼げるとも思わなかった。
「仕方ないさ、こうなるだろうなとは思ってた。」
「連れ込んだ建前は聞くかい?」
「ヴェールシアに行くと答えた時点で無駄でしょう。」
ヴェールシアその単語が出た時点で通すのは無理だった。
「それもそうか。」
「じゃあ、通らせてもらうよ。」
「位相固定」
放ったはずの魔法はノクサの前で落ちた。
ノクサは異質な杖を向けてきた。
頭が理解する前に吹き飛ばされていた。
やはり理には勝てるわけがなかった。




