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退屈の殺し方  作者: 夜凪
第一章 来訪
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出発

ノクサは、部屋に入るなり靴を脱がなかった。


「私は嬉しいよ。君が選んでくれて。」


そう言って、靴のまま踏み込んだ。


「やっぱり退屈な部屋だね。」


開口一番に、そう評価を下した。


連はまだドアから一歩も動けずにいた。


「人の部屋に入っておいて失礼だな」


「ホントのことでしょ?」


「……」


「靴、脱げよ」


「どうして?」


本当に理由が分からない、という顔でノクサは首を傾げる。


「常識だろ」


「“常識”ねぇ」


ノクサは心底どうでもいいように繰り返した。


「常識に囚われるなんて、一番つまらないからね。」


底冷えするような声だった。


「まあ、いいさ」


「ぐずぐずしてても仕方ないし、出発しよう。」


「今用意するからさ、ブレスレット持って外で待っててよ。」


「分かった」


扉が閉まってから一分ほどで、ノクサは満面の笑みで出てきた。


「よし、行こうか。」


そう言うとノクサは、金属質な鳥を模した何かに石を食べさせた。


カチ、と乾いた音がして、嘴が閉じる。


「まずはゲートに行こうか。」


次の瞬間、鳥の眼が淡く光り、翼を広げた。

空気が、一段と重くなる。


「――な」


連が声を上げるより早く、眼の前の景色が変わった。


ビルの上だった。


「まだここは地球だよ。」


「正確に言えば、東京都足立区千住三丁目九十二番地の屋上だね。」


「この時間は誰もいないから、都合がいいのさ。」


ビルの上だからか、やけに風を感じた。


ノクサは下を見下ろしたかと思うとポツリと呟いた。


「……ここ一撃入れたらどうなるかな。」


風が吹いているのに、やけにはっきりと聞こえた。


「もちろん冗談だよ?」


「こうして君も来てくれたしね。」


来なかったらやっていた。そう言われたように連は感じた。


「お話しはここまでにして行こうか。」


「ゲートってめんどくさいんだよね。」


「許可証がないといけないし。」


ノクサは許可証を取り出しながら言った。


「――勝手にやると、色々うるさいんだ。」


「ふぅ――『境界管理権限、行使。ゲート、開放。』」


そう言い放つと同時に扉が現れた。


「じゃあ、地球とお別れしよっか。」


ドアノブに手をかけながらそう言い放った。

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