訪問
裁判所の外に出ると、空は異様なほど澄んでいた。
雲一つない青が、まるで何事もなかったかのように広がっている。
「助かったぁ……」
ユーノが小さく呟いた。
「巻き込んでごめん。」
「気にしないで。」
「でも……」
「これで貸し借りチャラにしよう、ね?」
「ありがとう。」
連はそう答えたが、胸の奥にまだ引っかかっていた。
ユーノを巻き込んだこと。
そしてアナーシャの言った――“死者”。
その言葉が、まだ耳に残っている。
「ここに居たのか。」
そう言いながらアナーシャが近づいてきた。
「無罪放免おめでとう。」
「また歴史が進んだね。」
笑顔でそう言った。
「死人ってどういう意味だよ。」
「ちょっと連、この人は十書だよ?そんな態度で話したら無礼だよ。」
ユーノが慌てて言った。
「十書って何だ?」
「簡単に言うとね、偉い人の集まりだよ。」
「十書って呼ばれてるくらいだから十人いるはずなんだけど……」
「四人しか分かってないんだ。」
「説明ありがとう、でも今のままでいいよ。」
「契約を交わしたんだ、公平にいこう。」
「何はともあれ、行くところもないだろう?私の家に来ないか?」
「ここだよ。」
それは都市からかなり離れたところにあった。
「でっか。」
家というよりちょっとした城のようだった。
「昔の貴族の家でね、都合がいいんだ。」
「私は物が多いから収納できるスペースがあってありがたい。」
「ゆっくりしていってくれ。」
そう言って門を開けた。
「凄いな……」
庭から玄関までの道の周りにもいくつもの物が置いてあった。
「あれなんだろう……」
ユーノが指をさした。
「戦車……?」
「あれは歴史の闇に消えたんだ。」
「作ったはいいが使われなかった。」
「あるいは隠蔽された。そういう物もここにある。」
「博物館みたい……」
「博物館は勝者の歴史だよ。」
「負けたものは影に埋もれている。」
「私は、歴史だけは忘れない。」
「中で少し話そう。」
家の中もたくさんの物があった。
「ゆっくりしててくれ。」
「今何か持ってくる。」
そう言って部屋を出ていった。
「ねぇ連……」
「さっきの審判の話。」
「連ってこの世界の人じゃないの?」
ユーノはまっすぐこちらを見ていた。
「死んでるって言ってたけど、連は私を助けてくれた。」
「おれはこの世界の人じゃないよ。」
「ノクサに誘われて来たんだ。」
「そうなんだ、ありがとう。」
少し安心したように微笑んだ。
「話してくれて。」
「一個質問していい?」
「連ってなにか能力持ってるの?」




