事実
「能力?」
「うん。ある人とない人がいるんだけどね。」
「なんであると思ったんだ?」
「無警戒で近づいてきたからよっぽど自信があったのかなって。」
「おれは特に能力なんてものは無いよ。」
「そっか、私の話もしていい?」
「うん。」
ユーノは少しずつ話始めた。
「私は能力があるの。大したものじゃないんだけどね。」
「名前はスコルピア・サジテラ。」
「触れた相手にね、スコーピオっていうのを付与するの。」
「スコーピオ?」
「うん。最初から能力の効果と名前だけ分かってるの。」
ユーノは不思議そうに首をかしげた。
「それでねスコーピオを付与した相手を狙うと弓が確実に当たるの。」
「確実に?」
「うん、でも普段から弓を持ったりしてないから使うことは全然ないんだけどね。」
「ヴェールシアに言ったときは持ってたんだけど……」
「壊されちゃって。」
「能力があるからっていう理由で半ば無理やり生かされてたけど……結局見捨てられちゃったし。」
「壊されたって原生生物に?」
「うん。あのときはもうダメだと思った……」
そのとき、扉が開いた。
「紅茶でいいかい?」
ティーセットを載せたお盆を手に、アナーシャが現れた。
「ごめんよ。聞くつもりはなかったんだけど、聞こえちゃってね。」
そう言って、静かにカップを置いた。
「……私も、能力を開示しようか?」
「いいのか?」
「別にいいよ。」
「公平に行こうって言っただろう。」
そう微笑んだ。
「いくつかあるんだけどね。」
「クロニクルを使えば歴史に名を残す可能性のあるものが分かる。」
「それとレコードを使えば十分に“歴史的価値のある物”なら、時間を止めることができる。」
「時間を?」
「まあ、物限定だし条件も多い。そこまで大したことじゃないんだけどね。」
「外の物も風化してなかっただろう?」
「本題に入ろうか。」
「君が聞きたいのは“死人”と言われたことだよね?」
「そうだ。」
「君の元々住んでた部屋で君の遺体が確認されている。」
衝撃を受けると同時に思い出していた。
ノクサが少し部屋を出るのに時間があったことを。
「ノクサがやったのか?」
「確証はない。」
「でも間違いなく君は生きている。」
「だが、同時に死んでもいる。」
そう告げた。




