決別
理解が追いつく前に、爪が振り下ろされる。
パリンという音と共に爪が弾かれた。
「あとは任せて。」
ノクサが立っていた。
「ブレスレットあってよかったでしょ?」
「魔力量に応じたシールド。それがなきゃ死んでたよ。」
「ここで待ってて。」
「遊んでくるから。」
原生生物は、ゆっくりと首を巡らせた。
蒸気のような白い息が、鼻孔から噴き出る。
「アイテム喰ってるね。しかも、相当」
原生生物が一歩踏み出すたび、床にヒビが入った。
「外、出ようか。」
言い終わると同時に間合いを詰めていた。
「冗談だろ……」
原生生物が反応するより早くガラスを突き破って外に出ていた。
「わ、私のせいで……!」
ノクサが原生生物を叩き落とした。
「み……みんな、あいつにやられた……」
「落ち着いて、ノクサは強さは確かだから。」
「どうして……信用できるの?」
「何で?」
「だってそのブレスレット……」
彼女はブレスレットを指さして言った。
「硬いなー。単純な暴力じゃ無理か。」
殴りつけただけではびくともしていなかった。
そう言いながら、ノクサは楽しそうだった。
「これはハンデ、減らしてもいいかな。」
「ここなら上は大丈夫そうだし。」
連達がいる方を見上げながら言った。
「いやー、ブレスレット渡して良かった。」
「おかげで良いのが釣れた。」
「そのブレスレット……攻撃をガードしてくれるけど、その分原生生物を呼び寄せるでしょ?」
「なっ……」
驚いてる連に続けて言った。
「人をおびき寄せる餌にされてた私が言えることじゃないけど、あなた餌にされてるよ?」
「ただいま。」
ノクサが窓枠を超えて入ってきた。
「結構強かったよ、スクラップになっちゃったけど。」
「なんで説明しなかったんだ?」
「何を?」
「ブレスレットの効果だよ。」
「ああ、バレちゃった?」
「その方が面白くない?」
「は?」
何を言われているのか理解できなかった。
「おれはブレスレッドがあるけどこの子はないんだぞ?」
「そもそもいるのを知らないし面白いかも分かんなかったし……」
「ふざけるなよ!」
「暇つぶしをするにしても人に迷惑をかけるなよ。」
「人を巻き込まない平和な遊びにしろよ。」
「凄くつまらないことを言うんだね。」
ノクサの声は冷たかった。
「君の言う平和は、私の退屈だよ。」
「平和を保ちたいならさ、私の退屈を殺してみなよ。」
ノクサは淡々と続けた。
「殺してやるよ。」
「じゃあ私は本気で壊しにかかる。」
「また会おうね。」
声をかけるよりも早くノクサは窓から飛び降りた。
「余計なことを言ったみたいでごめんなさい……」
少女が申し訳無さそうに言った。
「気にしないで。」
「あなた名前は?」
「おれは連、君は?」
「私はユーノ。」
「そっか、よろしく。」
「あ、あのよかったら私手伝うよ。」
ユーノはそう遠慮がちに言った。
「私、仲間に見捨てられるし……仲違いの責任、少しは私にある気がするし。」
「ユーノがいいならありがたいけど……」
「うん、とりあえずリミナリアに戻ろう?」
「リミナリアってどこだ?」
「どこも何もリミナリアから入ってきたでしょ?」
「あそこリミナリアって場所だったのか……」
「国名は常識じゃない?」
「戻って来たけど、どうする?」
「私帰る場所もないんだよね……」
その時怒号が響いた。
「そこのお前、止まれ!」
「お前を連行する!」
職員が連を掴んだ。
「なんで連を?」
ユーノが困惑して言った。
「まだ共犯がいたのか。」
「お前も来い!」
連とユーノは連行された。




