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偶然?

ご覧いただき、ありがとうございます!

「やあ、奇遇だね!」


 遊園地に到着すると、何故か益村の奴が入口にいやがった……。


「あ! 益村くん!」


 すると、優奈の奴が嬉しそうに笑顔で手を振って挨拶した。


「星崎さん、結局僕達のグループも遊園地で遊ぶことになってね」


 益村はチラリ、と後ろへと振り返ると……おーおー、確かにクラスの連中がいやがるなあ。

 つっても、どうせ益村の奴の仕込みなんだろうけどな。


「という訳でさ、せっかく合流したんだし、一緒に……「いや、遊ばねえぞ?」」


 益村が言い出す前に、俺は言葉を遮ってハッキリと断った。

 つか、益村なんかと一緒に遊んで四条が嫌な思いしたらどうすんだよ。


「へえ……どうしてかな?」


 にこやかに益村は尋ねるが、その視線からは不機嫌な様子が窺える。


「当たり前だろ? 俺達は、『甘エン』で結ばれた絆を深めるためにこの遊園地に来たんだ。『甘エン』に明らかに興味がないお前達と遊んで、俺達に何のメリットがあるんだ?」


 俺は真顔でそう答えてやった。

 何一つ嘘じゃないし、それに、益村と一緒に遊ぶことでデメリットになる奴が俺達の過半数いるんだよ。


「……そうなのか? 滝川さん」


 益村は滝川を見やると、そう問いかける。

 まあ、この中じゃ滝川が一番与しやすいと考えたんだろう。


 だが。


「あー、うん……今回はちょっとパスしたいかなー……」


 滝川は苦笑しながら指で頬を()いた。

 そりゃそうだろ。もし合流なんてしたら、せっかくの君島と二人っきりになるチャンスがなくなっちまうからな。


「クク……そもそも僕なんて別のクラスなんだし、親睦を深める理由はないからね。絆を深めるなら、このメンバーがいいよ。ね? 滝川同志」

「あ、う、うん……!」


 君島も俺の意見に賛成し、滝川に同意を求めた。

 すると滝川の奴、嬉しそうにはにかみやがった。良かったな、オイ。


「四条もそのほうがいいよな?」


 俺はしたり顔で四条にも同意を求める。

 つか、四条の性格だったら。


「当然ですわ」


 ホラな? 四条はすました表情で益村を一蹴しただろ?


「という訳だ。俺達は俺達で楽しんでるから、お前達もお前達で楽しんで来いよ」


 そう言うと、俺は面倒くさそうに手をヒラヒラさせた。


「……星崎さんは? 彼女の意見を聞いてないけど?」


 益村は優奈をチラリ、と見た後、再度俺へと向き直る。つか、しつこいな。


「わ、私は、その……」


 気まずそうにしながら、優奈は俺の顔を見やる。

 だけど優奈よ、俺の顔を見たところで、俺達の意見は変わらんぞ?


「はあ……分かった。今回は(・・・)諦めるとするか」


 益村は溜息を吐いて肩を竦めると、クラスの連中の元へと戻って行った。


「やー……アイツ、しつこかったな」


 俺はみんなへと振り返ると、少しおどけてみせた。


「まあ、そうですわね。というか、私達を誘わなかったくせに偶然出会ったら一緒にだなんて、少々虫がよろしいんじゃないではなくて?」


 うむ、四条の言うことはいちいちもっともだ。


「あはは! 確かに! だったら最初から誘えってんだよねー!」


 滝川がニシシ、と笑いながら、四条の肩にポン、と手を置いた。

 四条も、そんな滝川に笑顔で頷いた。


「あー……まあ、確かにそうだよねー……」


 四条の言葉で思い至った優奈は、乾いた笑みを浮かべた。


 ……アレ?


 俺はそんな優奈の様子に違和感を覚える。


「な、なあ優奈」

「? どうしたの、かっちゃん?」

「や、あのさー……優奈が益村の奴に俺達が遊園地で遊ぶ話、言ったんだよな?」

「へ?」


 そう尋ねると、優奈の奴はキョトンとした表情を浮かべた。


「いやホラ、おととい優奈が益村を誘おうって言ったじゃん? あれって、アイツに教えたってことじゃないのか?」

「んー、正確にはちょっと違うかなー」

「というと?」

「実はね、アタシは益村くんに遊園地に誘われたんだよ。かっちゃんがアタシを誘ったすぐ後に」


 おおっと、それは少し意外だったな。

 俺はてっきり優奈が益村に言ったんだと思ったのに。


「だから、それだったら益村くんも一緒に、って思っただけなんだよね」

「そうかー……」

「でも、アリサちゃんも誘われたんじゃないの?」


 優奈が滝川にそう尋ねると。


「ん? 別に誘われてないけど?」

「え? そうなの?」

「うん、そう」


 なんだよ、結局滝川は誘われてねーんじゃん。


「ま、ドッチにしても益村クンと一緒に遊ぶ気はなかったけどねー」


 そう言うと、滝川はチラリ、と君島を見た。

 ま、そりゃそうだよな。滝川は、タイムリープ前は嫉妬で四条をイジメちまう程に君島のことが好きなんだ。

 だったら、君島を最優先にしないなんてことはありえねーからな。


「それより、優奈こそ滝川クンの誘いに乗らないじゃん?」


 滝川が優奈を見ながらニシシ、と笑う。


「う……ま、まあ、アタシもそのー……」


 ん? 優奈の奴、なんで俺を見るんだ?


「ま、とにかく! 益村達は放っておいて、俺達は俺達で楽しもうぜ!」

「「「「「おー!」」」」」

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 優奈の動きが不穏…… 益村……リア充なら回りくどいことしてないで堂々と来いよー!(笑) 高校生なのにドロドロしてるなぁwww 折角の甘エンデートが!!(ちがう
[一言] 益村瞬殺。さて、どうしてそこまで絡んでくるのか。 幼馴染狙いに見えるけれど、だとしたら3つカップル作って泣きを見るのは幼馴染だけ、で最大多数の最大幸福組めそうなんだけれど。 きっとそう単純じ…
[一言] ユナはちょっと雰囲気を台無しにしている。仕事に感謝します。
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