表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/14

姫に誓う 4

やっと完結です。

【8月10日】

 僕はキスの相手――こと、綾女さんに連絡する。キスしといてよかったと思った。なんだか頼みごとをしやすい、これがキスの仲ってやつか。

彼女に頼んだのは、百合さんの鞄から隙を見て携帯電話を盗んで、履歴を見てほしいと言うこと。

「そんなこと……百合ちゃんって目を光らせるタイプですよ!そんな隙をみてだなんて」

「絶対大丈夫。彼女は自分が鞄を置いた場所を忘れるよ。僕が保証する」

百合さんから鞄を置いた記憶を消して、彼女の成功をサポートする。

 綾女さんから百合さんの履歴を写真に撮って送ってもらい、それを確認。

「これでよかったですか?」

「完璧です」


僕が向かったのは花純さんが入院している病院だった。

 花純という名の所為か、カスミソウのような女性だった。

「すみれさんの知り合いです」

と一言言えば、それ以上聞かれなかった。

「すみれさんが、貴女に言いたいことがあると」

「……すみれが?怒っていたでしょ?」

「いいえ。あの日窓際に立っていたのはあなたを拒絶するためではないって」

 虚ろだった花純さんの目が少し見開かれる。

「だってすみれは、窓を閉めたわ。私が入れないように」

「百合さん――あなたたちの『仲良し』グループのリーダーは彼女だったんですね」

 かわいくないものを褒めていたらリーダー、静井さんのセリフが決めてだった。

「百合さんが6時15分少し前にすみれさんに電話していたんです。内容まではわからないけれど、きっと、窓際に来い、窓を閉めろ、だったんでしょうね。普通下の階から人が上がってくることなんて想像しないから、すみれさんは下から登ってくる貴女を確認せずに窓を閉じた。それが、すみれさんに元々負い目を感じていた貴女には拒絶に思えた」

つまり、真犯人というべき人物は百合さんということだ。彼女には登ってくる花純さんが見えていて、すみれさんに窓をしめるよう指示したのだ。

ただの悪意。

花純さんが絶望するように。

すみれさんが罪を負うように。

ぽろぽろと涙を落とす花純さんをみながら、どれもこれも「女の子の機微」かと思った。


【8月10日 夕方】

 病院を出て、どこに向かうべきか迷って、大原事務所へ向かった。

 はっきりと見える、少し猫背なカレンが、すこし怒ったように

「遅かったじゃない」

と、迎えてくれた。

「何が正解だったのか知りたいし、何か食べに行くわよ」

「肉だろどうせ」

 そしてきっと俺のおごり。

「もちろんよ。あんたが不正解したせいで私が迷惑被ったんだから」

「はいはいごめんよ」

「すごいさみしかった」

「もうしわけない」

「ちょー不安だった」

「かたじけない」

「もう見失わないようにしててよ」

 そういってカレンがスキップで前を行く。

 ああ絶対に、とカレンに誓う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ