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『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

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4/18

「死に戻る者、視る者」

グールの爪が空を裂く。


 だがレナは、紙一重でその軌道から外れていた。


 まるで攻撃を“知っていた”みたいに。


「え……」


 ユウは目を見開いた。


 レナ自身も驚いている。


「見えた……」


 彼女の青い瞳が揺れる。


「次にどこへ来るか……全部……!」


 グールが咆哮した。


 怒っている。


 獲物に避けられたことを理解したのか。


 怪物は床を砕きながら突進する。


「右!」


 レナが叫ぶ。


 ユウは反射的に動いた。


 直後、爪が横を通り過ぎる。


 風圧だけで肌が裂けそうだった。


「まだ左後ろ!」


「くっ……!」


 未来視に合わせて動く。


 まるでゲームの回避みたいだ。


 だが、一歩間違えれば死ぬ。


 グールは連続で腕を振るう。


 速い。


 重い。


 普通なら絶対に避けられない。


 それでも。


 レナの未来視と、ユウの身体強化。


 二つが噛み合っていた。


「今ならいける!」


 ユウは叫び、机を踏み台に飛び上がる。


 グールの肩へ着地。


 怪物が暴れる。


「うおっ!?」


 振り落とされそうになる。


 だがユウは、さっきの戦闘で気づいていた。


 この怪物。


 顔面の赤い光を殴った時だけ反応が違った。


(あそこが弱点か……!)


「白峰!」


「三秒後、暴れる!」


「十分だ!!」


 ユウは金属パイプを握り直した。


 怖い。


 手が震える。


 でも。


 ここで逃げたら、また誰かが死ぬ。


 なら――。


「終われぇぇぇぇ!!」


 全力で振り下ろす。


 ガァァァン!!


 赤い光に直撃。


 一瞬。


 世界が止まった。


 次の瞬間。


 グールの身体にヒビが走る。


「グ、ォォォォオオオ!!」


 絶叫。


 怪物が狂ったように暴れる。


 ユウは吹き飛ばされ、床を転がった。


「げほっ……!」


 痛い。


 全身が痛い。


 だが。


 グールの身体は崩れ始めていた。


 黒い粒子となって。


「倒した……?」


 レナが呆然と呟く。


 怪物は最後に低い唸り声を漏らし――消えた。


 静寂。


 ユウとレナの荒い呼吸だけが響く。


「はぁ……はぁ……」


 生きている。


 本当に。


 さっきまで死ぬと思っていた。


 その時。


 スマホが再び震えた。


【初回討伐成功】


【経験値を獲得】


【レベルが上昇しました】


【Lv1 → Lv2】


「……は?」


 ユウの身体が光に包まれる。


 疲労が少し消えた。


 筋力も増した気がする。


 レナも画面を見つめている。


「ゲームみたい……」


「笑えないけどな……」


 ユウは壁に寄りかかる。


 だが。


 まだ終わっていなかった。


 廊下の向こう。


 悲鳴が聞こえる。


 複数。


 そして。


 “銃声”。


 パンッ!!


「……え?」


 学校で銃声?


 二人は顔を見合わせた。


 すると次の瞬間。


 校内放送が、突然ノイズ混じりに鳴り響いた。


『――生存者へ告ぐ』


 知らない男の声だった。


 低く、落ち着いた声。


『今から十分後、この学校は“安全区域”ではなくなる』


 ノイズ。


『生き残りたければ、第一体育館へ向かえ』


『繰り返す』


『選ばれた者たちよ』


『死にたくなければ――“覚醒しろ”』


 放送が切れる。


 沈黙。


「……何なんだよ、これ」


 ユウの呟きに、答える者はいなかった。


 だがその時。


 教室の外。


 廊下の奥から、“人影”が現れた。


 黒いコート。


 銀色の拳銃。


 そして。


 赤く光る片目。


 男は、静かにこちらを見つめていた。



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