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『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

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2/18

「最初の死を越えて」

 黒い亀裂が、教室の中央に走る。


 空間が裂ける音。


 悲鳴。


 机が倒れる音。


 ――全部、さっき見た。


「逃げろ!!」


 ユウは反射的に叫んでいた。


 教室中の視線が集まる。


「は?」


「天城、急に何――」


「いいから逃げろッ!!」


 直後。


 裂け目から黒い腕が飛び出した。


 最前列の男子生徒の首を掴む。


「ぎっ――」


 血が飛ぶ。


 女子が悲鳴を上げた。


 教室がパニックになる。


 だが、今回は違う。


 ユウは既に知っている。


 この後、何が起こるのかを。


「窓側行け! 廊下は危ない!!」


 混乱の中、ユウは叫び続けた。


 自分でも分からない。


 どうしてこんなに冷静なのか。


 いや、違う。


 冷静じゃない。


 怖い。


 足は震えている。


 心臓も壊れそうなくらい速い。


 それでも、“知っている”だけで動けた。


 未来を。


 死を。


 化け物を。


「天城くん!」


 声。


 振り返ると、白峰レナがいた。


 まだ怪我はしていない。


 だが顔色は真っ青だった。


「な、何なのこれ……!?」


「説明してる暇ない! 一緒に来い!」


 ユウはレナの手を掴んだ。


 柔らかい感触。


 だが意識する余裕はない。


 二人は教室を飛び出した。


 廊下では既に逃げ惑う生徒たちがぶつかり合っている。


 遠くから悲鳴。


 ガラスの割れる音。


 何かを噛み砕くような、不快な音。


 地獄だった。


「……っ」


 ユウの脳裏に、前回の記憶が蘇る。


 この先の階段で、犬型の怪物が現れる。


 そして自分は死ぬ。


「こっちだ!」


 ユウは進路を変えた。


「え?」


「階段はダメだ!」


 空き教室へ飛び込む。


 ドアを閉め、机を押し当てた。


 直後。


 廊下を何かが高速で駆け抜けた。


 ガガガガッ!!


 鋭い爪が壁を削る音。


 レナが息を呑む。


「……今の、何……?」


「化け物だ」


「は……?」


「信じられなくても本当だ」


 ユウ自身も信じたくなかった。


 だが、現実だった。


 レナは震えていた。


 いつもの近寄りがたい雰囲気は消えている。


 一人の、怯えた少女だった。


「どうして……天城くん、こんなに知ってるの?」


「それは――」


 言葉が詰まる。


 “死に戻りした”なんて言って信じるのか?


 いや、その前に自分でも理解できていない。


 すると。


 スマホが震えた。


 画面が勝手に点灯する。


【適合者確認】


【初回生存報酬を配布します】


「……は?」


 次の瞬間。


 ユウの脳内に、何かが流れ込んできた。


 体の使い方。


 力の流れ。


 知らないはずの感覚。


 そして。


【スキル《身体強化 Lv1》を獲得しました】


 全身が熱くなる。


 筋肉に力が満ちる。


「何これ……!?」


 レナもスマホを見ていた。


 顔色が変わる。


「私も……変なの出てる……」


「お前も?」


 レナは震える指で画面を見せた。


【スキル《未来視断片》を獲得しました】


 二人は顔を見合わせた。


 意味が分からない。


 だが一つだけ確かなことがある。


 この世界は、もう元には戻らない。


 その時。


 廊下の向こうから、“足音”が聞こえた。


 重い。


 ゆっくり。


 一歩ごとに、床が軋む。


 ズン。


 ズン。


 ズン。


 ユウの背中を冷たい汗が流れる。


 前回にはいなかった。


 こんな化け物は。


 足音が、教室の前で止まる。


 静寂。


 レナが小さく息を呑んだ。


 そして。


 ドアに、“巨大な影”が映った。


 直後。


 バキィン!!


 鉄製の扉が、内側へ吹き飛んだ。

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