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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
3章.学院編Ⅰ・学院パーティ編成

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3-01.夜コミュ解禁!



 『トモダチと一緒にファンタジーかつゲームっぽいわかりやすさのある異世界に転生でチートでスローなライフをしたい』


 ヨッシーの願いは(だいたい)すべてかなえられ、ラッド、セバスを道連れに転生した。


 しかし、何事にも対価が必要なのが世の習い。


 この世界の管理者の配下を名乗る『まばゆい人影』から示された対価は、三人が今後獲得する霊格の天引き徴収。

 完済できなかった場合はペナルティあり。


 三人は、完済条件であるレベル100の達成を目標に掲げ、手段として探索者を選んだ。

 さらに一段掘り下げて、学院探索科にて知識や技術、ツテ・コネを獲得することを目指す。


 このムーブメントに、ヨッシーと同じく養護院育ちのワルガキ衆、日焼け肌のオルガ、筋肉を慈愛するアズクル、特徴のないグラムが巻き込まれ、ニュービー探索者としてデビューした。


 無事に学費等を稼いだ面々は、夏季の終わりに学院探索科寮の部屋に陣取った。



   ☆



 転生三人組やオルガたちが正式な学院生となるのは、秋季に入り年度が切り替わってからになる。

 ただし、探索科寮に入居したことで事実上のプレ学院生活がはじまる。


 寮の食堂でお代わり可能な麦がゆと煮豆、煮カブ、キャベツの漬物の夕食をいただき、自室に戻ってラッドの【通信販売】で入手した手羽先にシリアルバーで補食を行い、PETボトルの天然水を飲み干す。


 空きボトルなどポイントにリサイクル可能なものはすみやかに処分し、骨はダンジョン内で投棄用の小袋に入れておく。


「メシは養護院と大差ないな」


 探索科寮メシへのヨッシーの感想に、ラッドとセバスも自分の家も同様だと返す。


 ただちょっと、そうほんのちょっとの差はある。

 麦がゆの麦の種類が大麦かライ麦か、みたいな差。


 おかゆ以外にもごった煮のスープやパンの日もあるが、肉は週に1回あるか無いか。

 特別な日でもなければ庶民の食事などそうそう変わらない。


「セバス、肉の日、あるのか」

「格差や。格差社会や」


 たまにスープの具材として混じることはあれど、中層以下の庶民がまとまった肉らしい肉を食す機会は少ない。

 例えば養護院だと、春分祭週で冬越しのための保存食肉が腐り切る前の処分放出品だけが望みみたいな。


 大規模な畜産業が行われていないし。残念だけど当然だよねと言うしかない。

 手土産の手羽先がフィーバーするわけでもある。


 季節上はまだ日の長い夏とはいえ、すでに外は薄暗くなっており、木戸を閉めた室内には天井付近にセバスの浮かべた光の輪から、おぼろげな明かりが降り注いでいる。


「魔法の効果、この場合は持続時間ですが、消費MPと素直な比例関係にないんですよ」


 光魔法の【小光プチ・ライト】をベースに、持続時間の拡大のみを試行中だとセバス。


 もともとの消費MP2で10分程度のところ、消費MP5で40分くらいまで伸び、消費MP10だと2時間くらい。


 発現させるまでの部分と、持続させる部分で魔力消費が違うのかと推測している。



  ☆



 ラッドは、徹底的に掃除し、配給所で貰ってきた藁に入れなおしたベッドに腰をおろした。


「明日からまた狩りでいいんだよな?」


 セバスとラッドの学費・寮費は親が出すが、孤児であるヨッシーはすべてを探索者活動で稼ぎださないといけない。


 仮にお金を稼ぐ必要がなくなったとしても、三人の目標がレベル100必達である以上、魔物を狩れるときに狩れるだけ狩るのは了解事項だ。


 第十一週の残りは4日。

 明日の風の曜日は様子見で遠出狩り、土・闇の曜日で一泊狩りし、無の曜日を休み。


「当面の狩りスタイルは変わらん。いかに主食のコウモリにありつくかが第一層のカギだ」


 コウモリの残念レアドロップの『被膜』は、圧倒的供給量と、そもそも小さいことで粒銅1枚の買取。

 革製品に加工され、三人も愛用のお安い革の小袋の原材料もこれ。


「コウモリと言えば、病原菌の媒介もしているのかな」


 厚手の服で肌を覆っていれば、最悪でもひっかき傷程度ですむコウモリも、対策をしていなければ傷だらけになる。


 下手をすれば発熱し、数日動けなくなる人も出る。

 熱が原因とは言い切れないものの、時にはそのまま死ぬことだってある。


「倒せば消えるのに?」

「コウモリと病原菌は別カウントで、病原菌はその場で倒してないから消えないで、体内で免疫系との戦いを展開とか」

「難しく考えずに、『そういう毒』でも通じる話だわな」


 とはいえ、病原菌仮説も捨てきれず、免疫のために一度はかかっておくべきかと話が進み、いや、傷が残るような大けがはしてないが引っかきに噛みつきはそれなりに食らってるよねと。


「もしかしたら、荷運びの疲れと思ってたダルさが、その毒あるいは病気の症状だったのかも」

「あー、ありうるか」


 仮定に仮定を重ねた仮定の話にどのくらいの信を置くかはともかく。

 そういう考えもできる、確認しようがないことを確認する、こういったプロセスを重ねていくのが彼らのスタイルだ。


「歩かない方のファンガスは半固定湧きの可能性ありだが、狙って巡回している人たちがいるっぽい」

「そのへんもノウハウなんだろうな。でもなあ、しょせん第一層なんだよ」

「極論、ファンガス農園くらいでないと、効率としてはねえ」


 歩く方のファンガスは、セバス兄の情報では面倒なので逃げてもいいとなっていたが、これは当たり所次第で胞子をまき散らすことが原因。


 臭い。

 身体に悪そうな気もする。


「転がして胴体部分を滅多打ちでなんとかなっちゃったからなあ」


「『香りのよいキノコ』狙いで積極的に行きたいところですね」

「「異議なし」」


 なんせ4万2000ポイント、手羽先やシリアルバー(チョコ味)換算210本ですから。


「スライムは、数人で囲んで叩き続ければ倒せなくはないそうですが」


 ニュービーが疲れきるまで叩いて叩いて叩いてなお倒しきれずに泣いて帰るのも季節ごとの風物詩。

 負けず嫌いが、リベンジは一度やれば十分だと何かを悟るころには、晴れてニュービー卒業なんだとか。


 狭い通路で遭遇しても、ひょいとまたげば避けられるし、ゴミの掃除屋さんだしで放置推奨。

 なので割と見かける、


「コアとかないんか! お約束やろ!」


 転生業界のお約束を主張するヨッシーだが、そんなこと言われても困る。


「魔石的なコアがどうこうっていうのじゃないからなあ」


 泡っぽく見えるどれかがコアではない核だったりミトコンドリアだったりする可能性はあるが、2つに切ったくらいだと別々の2匹として動き出す。

 生物の類推を当てはめるならば、粘菌や群体生物よりかはアメーバ的な単細胞生物が近い。


「うーんプラナリア」

「確立している倒し方が凍らせて砕いたり、鍋に入れて死ぬまで煮込んだり」


 燃料費だってタダじゃない。

 試したものは皆、割が合わないと悟った目をする。


 拠点のゴミ処理でご活躍のスカベンジスライム君が『育ちすぎた』場合の処分依頼は、より深く潜るパーティが行きがけの駄賃的に請けてます。


「セバスぅ、凍らせるの無理?」

「無理ぃ」


 氷属性がないからねとセバス。

 氷結の魔術は、風と水の複合属性あたりかとヨッシーも応じる。


「しかし、倒す数増えたら、今度は魔石ひろうのも手間になったな。しゃがんで立ってで足腰にくる」

「『ゲーム』では描写しない、リアルゆえの不便さやなあ」


 まずドロップしたかどうかの確認をしないといけない。


「魔石的なコア持ちのスライムなら、鉄パイプで刺してそのまま回収する物語があったんだが」

「別口かな。焚き火用のトング突っ込んでコア引っこ抜く物語なら知ってる」

「なるほど、トングか。鉄製は無理だが、ちょっと考えてみるか」


 寮生活、初めての夜は駄弁りで過ぎていった。




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