表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道連れ転生  作者: 凡鳥工房
13章.目指すはスローなセカンドライフ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/157

13-12.対価の完済



 秋分祭週の夜、年に一度の振り返りも、三人の組転生発覚から実に20回目を迎える。


「あと半年で30歳、か」

「レベル93から98。といっても、成長のオーブのおかげだけど」

「まさか一気に6レベル分も手に入るとは」


 我々も驚いたよ。本当に女神様の御意思でも働いたのかと。



   ☆



 秋季始まりのクラン年度会議には、無事に卒院したコーティにアリッサをはじめ、『アリッサ姫の騎士団』パーティ仲間も暫定オブザーバー枠で参加した。


「クラン『アスタリスク』は、俺たちの色が強すぎるからなあ」

「でも、後ろ盾のコンステラリス伯爵家との関係も悪くはないのだし、引き継いでいけばいい」


 メンバーの子どもたち、今年度の学院進学者は、幼年科に3人、本科に6人。

 年度内で5人の祝福の儀を控え、順当ならば来夏に3人が卒院する。


 クリスは、今がまさに子どもたちの将来をも左右する分岐点だと熱弁をふるう。

 自分の長男、コーティの前であることも背を押しているのだろう。


 存続派の事前の根回しも功を奏し、子どもたちが望むならば、クラン員として迎え入れることは決定した。


 だけど、『家族のクラン』はどうすべきか。

 こちらも、極力守った方がいいと結論。


「だって、人が増えると面倒も増えますよ?」

「それなぁ」


 納得しない子には、マックスたちのクラン『終末の角笛の護り手ガーディアン・オブ・ザ・ギャルホーン』との定例会に参加させて、大手の苦悩を赤裸々に聞かせてもらうのもいいだろう。

 それでも大クランがいいと言うのなら、それこそマックスたちに引き受けてもらう方向で。


「ただなコーティ、ダンジョン・ダイブなんかの行動は別になるぞ」


 レベルが違いすぎるので、一時的指導ならともかく、一緒にパーティ活動はできない。


 また、取り置き品のような資産は現行世代で処分、子どもたち世代は別に管理することとした。



   ☆



 秋のダンジョン活動(ダン活)、予想通りガーディアン6体に増量の第6回戦。


 微妙にタフくなった気もするが、特に問題なく倒し、うっきうきで開けた宝箱には、合計で6レベル分になる成長のオーブが入っていた。


「神は言っている!」


 言ってない……はずなんだけど。


 これで、いつでもレベル100にできる安心感は大きい。

 でも、最後くらいは自力とのこだわりから、転生三人組は組み合わせて1.5レベル分を使用、レベル99になった。


「……上がらんかったな」

「レベル99から100までの経験値、半分も貯まってなかったってことだもんなあ」

「ちょっとは期待していたんですが」


 着実に進展しているのは間違いないんだし、切り替えていこうと励ましあって冬季、あっさりレベル100に到達。


 おめでとう!

 君たちの転生にまつわるあれやこれやの対価、徴収完了です。



   ☆



 領地貴族化は成ったとはいえ、まだまだ開発は必要だ。

 貯えを吐き出す、カネを使って見せる必要性もなくなってはいない。


 そんな折、今年もスキルオーブが欲しいなぁというコンステラリス伯爵家からのご依頼に、ついでという形で陞爵の提案があった。

 準貴族の騎士ではなく、ちゃんとした貴族の男爵へ、口利きをしようかというお話だ。


 確かに、名目上の領地の広さに騎士爵では貫目かんめが足りない。


「カネで片がつくならいいんじゃね?」

「それが、魔道具などを献上し、その功績をもってというお話で」


 オークションに出せず、かといって自分たちでは使い道のない魔道具、あるね。


 可能であれば、ジュスティーヌが男爵に陞爵し、クリス、アドルフ、フィアフ、マリエルの4家に従士爵を願う。ついでに三人組は騎士爵に。


 陞爵後の男爵の裁量枠で、自身の臣としての騎士爵・従士爵を与えることもできるが、国王陛下の直臣のネームバリューは捨てがたい。


 ジュスティーヌ側からみると、制度上、国王に引き抜かれても文句言えないデメリットは、どうせ力ずくなら陪臣でも同じだし。

 国王側からみると、差し出される献上品が、わざわざ名目上の直臣の地位をくれてやるだけに見合うかどうか。



   ☆



 たとえば騎士に取り立てるには、戦場で一騎当千の働きをしてみせた、のような相応の功績が要る。


 それを献上品でまかなうとなると、どの程度の品、価値として見積ればいいのか。


 王国とクラン『アスタリスク』の間で仲介交渉役に立ったのは、口利きを提案してきたコンステラリス伯爵様と、懇意のアクヤの街の代官様。

 連絡を取り合い相談し、お上の御内意を示してもらう。


 準貴族な従士叙爵や、騎士爵への陞爵は、庶民感覚ではお高く感じるが、そんなものかなと納得もする。

 だが男爵は格が違った。


 代官様・伯爵様、さすがに厳しいかと思っていれば。


 じゃあ、これこれでどうでしょうと、一発で城壁に穴をあける爆弾に、洪水や地震、局所的に魔力を枯渇させる魔道ほかあれこれ16個。

 加えて、なにかとお骨折りいただいている仲介交渉役への謝礼を少々。


 クラン『アスタリスク』にしてみれば不良在庫処分セールだが、お出しされる方にしてみると、ちょっと待てと言いたいブツが出てくる。


 しかも、まだあるんじゃないかと、代官様と伯爵様は懸念を抱いてしまった。


 だが、確認しなければ、真相は闇の中。

 蛇がいそうなやぶは、他人がつつくなら遠巻きに見守ればいいが、自分はそっと放置しておくものだ。


 強力な対魔術の護符を懐にしまい込み、代官様とコンステラリス伯爵様は老獪な政治家としての手腕をいかんなく発揮なされたのである。



   ☆



 そういうわけで名乗りが変わったり、家名を付けたりの必要が生じた。


 新たに従士爵を賜ったクリスティアンのホーム家、アドルフのワイス家、フィアフのナイン家、マリエルのアトール家ってなところである。


 ただし、れきとした貴族、男爵ともなると、代理人が叙爵というわけにはいかない。


 ボーヴァルディ男爵家の始祖となるジュスティーヌは、書類上はすでに男爵らしいが、公の手続きというものもある。

 具体的には王都で行われる秋の叙勲式典へ出席し、国王陛下に拝謁する栄誉を賜る予定だ。


 ついでに各所・有力者へのご挨拶まわりや付け届け。


「まーた披露宴を主催とかよりはマシよね」

「「「それな」」」


 新領主就任の際のドタバタは、ヴィオラお姉ちゃんほかトラウマものになっているからね。



   ☆



「今年度でわたしたちは30歳になります。この先も、みんなで元気にやっていきましょー」

「「おー」」


 春恒例のお誕生日おめでとうの会、ジュスティーヌの合図を待ちかねた子どもたちが歓声を上げる。


 冬季、転生三人組はレベル100に到達。

 お祝いのパーティを、お誕生会にまとめて1回で済まそうとなったため、例年になく盛大に御馳走が並んでいる。


 そりゃあ、お子様たちも大はしゃぎだ。



   ☆



 余生は全力でスローライフを送っていいはずなのだが。


 探索者組合の汗かきおじさんからのオークション出品まだですかの催促に、引退して領地運営に軸足移すんじゃいと言いはしたものの、手持無沙汰感が酷い。


 というわけで、春季・夏季もガーディアン・ボーナス狙いの2週間だけのダイブを敢行。

 途中の第八層でオークション品もゲットしちゃう。


 年度始まりの秋季から夏季終了までの通年リザルトを見ると、転生三人組はレベル100に、メンバーは全員94で横並び。


 陞爵仲介とは別件の、コンステラリス伯爵家の定例のご依頼にはスキルオーブ4点をお出しし、金貨1440枚をいただいている。


 オークションには59点を出品。総額で金貨8125枚。

 ガーディアンのお宝以外の特記レアもんでは、収納の腕輪1つに、魔法鞄マジックバッグ4つ。


 なお、ガーディアンの宝物は、逸脱している方の逸品が悩みの種だ。


 武具類はいい。だいたいはまともな装備だ。

 ちょっとえっちい『ロイヤルバニースーツ』や『踊り子の服』は別の意味で実用的だし、『ガンバンテンイ』なんて名前の剣だって【天地返し】で攻防一体の使い勝手を誇る。


 特殊なアクセサリや魔道具も、性能・効果を知られなければなんとでもなる、と思う。


 スキルオーブ【亜空間収納インベントリ】は死蔵か、あるいは子どもたちに使わせてしまうか。


 『蘇生薬』だの『若返りの秘薬』だのTSポーション『一夜の夢』だのは、死蔵するしかないだろう、こんなもの。



   ☆



「秋の叙勲後は、探索者引退でいいよな」

「「いいよー」」


 ヨッシーの呟きに、オルレア、ジャルマリスが答える。


「みんなが引退なら、ダンジョンに潜りようなくなるんだよな」

「そりゃあね」


 アドルフにはフィアフが反応。

 パーティを組めなくなるし、単独ソロでうろつくほどの執着もない。


「いきなりだと組合や伯爵家がうるさそうなので、徐々にフェードアウトって、無理でしょうか?」

「季に1回だけ、ボーナス回収くらいは続けても、それだってせいぜいあと数年だろ」

「そんなところよねぇ」


 ジュスティーヌの懸念に、ラッドが妥協案を示す。

 そっけないヴィオラの返答に、マリエルにユイ、プリムローズも頷いている。


「30歳、こえましたしね。今はともかく、身体がついていかなくなりますよ」

「で、ありますな」


 クリスが自分の肩をもみ、ウィスタリアは大きく伸びをした。


「しかしまあ僕たち、人生の半分はダンジョンに潜ってたんじゃないですかね?」


 セバスが大きく息を吐く。


「自分たち、アクヤのダンジョンに関しちゃ、いっぱしの“顔”だしな」

「俺らこそが真にダンジョン・マスター、なんちゃって」


 はいはい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ