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暗殺者の恋  作者: ザクロ
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何故こうなった

状況が全くわからず、思考が追いつかない。

何がどうしてこうなったのか、理解不能だ。

こういうとき、わかる範囲の状況から少しでも情報を得ないといけない。

慌ててとり乱しては駄目だ。


そう思い周りを見てみると、この部屋がかなり質の良い造りになっていることに気づいた。一目で高価だとわかる絨毯に調度品、部屋の奥には本がぎっしり詰まった大きな本棚がある。

私が寝ているベッドのシーツと毛布も大変肌触りが良い。 窓を見るとレースがあしらわれた上品なカーテンが閉められており、外の様子は見えなかった。

部屋を出るためのドアは一つだけだ。



それに、青年も宿屋で会ったときとは違い貴族らしい装いをしている。違和感を全く感じない。おそらく、着慣れているのだろう。



だが、これ以上の情報はわからない。

私が馬車に引かれた後どうなったのか、この男は誰なのか……。

王族と言っていたが本当なのだろうか?普通に考えて、私のような出会ったばかりの人間に身分は明かさない。明かしたところでどこにメリットがあるというのだ。


「お前、何者だ。俺を殺しに来た間者じゃないのか?」


急に思考の中断を知らせる声が聞こえてきた。

しかもその声、かなり私を疑っている。

私は間者では無い。いや、ある意味近い存在なのかもしれないが、美青年を狙っているわけでもない。寧ろ逃げているところだったのだ。



「貴方命を狙われているの?生憎だけど私は間者じゃない。第一、私は貴方のことを何も知らないし、今日初めてあったのよ。貴方こそ誰なの?」


「先程言った通り俺は王族でこの国の第二王子、アルグウェンだ。大体、髪色を見れば予想はつくだろ」


上から目線な物言いが癇に障る。

確かに金髪は王族の特徴的として知られているがーー


「信じられない。髪色は偽物なんじゃないの?そもそも、街の宿屋に王太子殿下がいるものなのかしら」


「黒髪の方が偽物だ。それに、これを見てもそう言えるのか?」


そう言って人の悪い笑みをもらした自称王太子殿下は、自分の腰から剣を外し私に見えるよう手に取った。

その剣の鞘に刻まれていたのは葦の蔓に鷹ーー


「王家の…紋章……」


葦の蔓と鷹の紋章は青白く輝いている。間違いない、本物だ。王家の紋章が青白く輝く技術は王族の秘術とされている。他では真似出来ない。

自称王太子殿下ではなく、本当に王太子殿下だったのか。そう思い気づいた。私、かなり失礼な態度をとっていた気がする。敬語すら使っていなかった。かといって、今更取り繕っても遅いだろうが……。

ーーもうこのままでもいっか。


「これでわかっただろう。俺は嘘などついてない。お前の方こそ間者でないと言うなら暗殺者か?お前の持っていた荷物からは暗器と毒が大量に出てきたぞ」


続いて告げられた言葉に愕然とする。

最悪だ。あの荷物の中身を見られたのか……。完全に暗殺者だと思われただろう。あんなものを見られたら言い訳も出来ない。


「人の荷物を勝手に覗くなんていい趣味してるわね。それに私はもう……暗殺者じゃない」


実際には組織を抜けただけだけど。


「もう、か。まあ、その髪色からしても訳ありなんだろう。ーー貴族絡み、指し図め訳ありの生まれか何かじゃないのか」


それを聞いて又もや驚愕した。宿屋の食堂で会った時から思っていたが、随分と頭がきれるようだ。

恐ろしいくらい、察しがいい。



「あら、わざわざ説明しなくても殿下なら全部わかってしまいそうね」


「いいや、わからない事だらけだな。そもそも、お前がどうして俺に接触してきたのかもわかっていない」


「私が殿下に声を掛けたのは偶然よ。王太子殿下だと知っていたら関わりなんて持ちたいとも思わないもの」


「それを信じろと?」



信じてもらう以外にない。無論、事実なのだし。

大体、関わりを持ちたいと思ったところでそろそう関われる相手では無いだろう。

とういうか、何故街の宿屋に来ていたのだ。王太子殿下が宿屋にいるなんて予想出来ないだろう。否、あえて予想が出来ない行動を取っていたのか?

間者を疑っていた事からして、命を狙われているようだし。もしかしたらそれが理由であんな宿屋に居たのかもしれない。


そこまで考えて、小さく溜息を吐いた。

こんな事を考えたところで、今の状況ではどうにもならない。


「信じてもらうしかないわ。その前に、もっとこの状況について教えて貰えないかしら?あれからどうなって、今がどういう状態なのかが、全くわからないわ」




「奇遇だな、俺もお前には聞きたい事が沢山ある。では、こうしようか。お前が俺の質問に答えるだけ、俺もお前の質問に答える。どうだ?公平だろう」



そう言って、不敵の笑みを浮かべた。この状況からして上位に立っているのはそちらだろう。返答によっては自分の扱いが変わる。私を生かすも殺すも殿下次第なのだから。

かといって、これ以外に良い方法も思いつかない。


「ええそうね、それでいいわ」


そちらの質問が先と言うところに不満を感じるけれど、それは言はなかった。

殿下は未だに人の悪い笑みを浮かべたまま、こちらを見ている。

ーーあの顔、非常に腹が立つ。



「では、質問といこうか」


そうして、私の未来がかかった質問(私には尋問にしか思えない)時間が始まった。























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