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かたるひと  作者: 紅葉
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 学校の授業の一環で一年生は職業体験に行くことになった。


 行き先は高校からさほど遠くない範囲にある市内の養護老人ホーム、幼稚園、保育所、それに図書館、観光案内所。どれも市の運営している施設だ。

 第三希望までアンケートを取られたが、人気のあるなしなどで結局先生に割り振られ決められてしまうのだろう。


 私の行き先は市内のとある幼稚園だった。同じところに行くのは、クラスが別々で、全く面識のない四人だったが、事前の説明会で顔合わせだけは済んでいた。


 背が低くて可愛らしい印象の一組の桃枝亮子ちゃんは保育士志望らしく、希望通りの実習先に、この体験授業がとても楽しみだと話していた。

 あとは二組の黄檗里美ちゃん、三組の私に、五組の大澤怜人くん。黄檗さんと大澤くんは幼稚園での体験授業はあまり楽しみそうではなかった。希望と外れたのかもしれない。

 そういう私は、希望通りであったものの、桃枝さんのようにやる気満々というわけでもなかった。


 私たちが体験授業に当たっているのは、くしくも今日は水曜日だった。3時までの体験授業を終えて学校に戻り、翌日にはグループでレポートを提出しなければならない。おはなし会にはとうてい間に合わない。

 

 そして当日の朝、私たちは学校で一度おちあってから体験先の幼稚園へと向かった。

 


「白河真心です。よろしくお願いします」


 四人並んで、まずは園長先生や他の先生方と顔を合わせ、自己紹介をした。

 私立幼稚園を出た私にとって、市立幼稚園は何もかもが驚きの連続だった。先生たちは朗らかで優しそうで、園舎はボロいけれど掃除が行き届いていた。


 桃枝さんと黄檗さんは年中さん、大澤くんと私は年長さんを担当することになった。もっとも担当とはいっても、一介の高校生に大したことができるはずもなく、また期待もされていないのか、「子どもたちに怪我がないように、十分気をつけてください。あとは子どもたちとたくさん遊んであげてください」と言われただけだった。

 

 次に園長先生と一緒に門の前にずらりと立ち、園児が登園してくるのをお迎えした。


 元気に挨拶をする子、私たち学生にすごく興味を引かれる子ども、朝から元気がない子、挨拶もそこそこに門を走り込む子ども、道でみつけて来た虫について熱く語る子ども。性格も興味もみんな違う。


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