第二百二十話
「その声は・・・。タツゴロウ叔父さん・・・?」
「誰かと思えばお前・・・。トキ坊か?親父と似てきたな」
「こんなところで会えるとは思っていなかったよ」
タツゴロウはトキノリの叔父で忙しい両親に代わってよく面倒を見てくれていた。
職業柄、周囲は避けていたがトキノリにとっては優しい叔父さんでしかなかった。
「てめぇ。俺らに喧嘩を売っておいて余所見とはいい度胸じゃねぇか」
そう言ってトキノリ達に突っかかってきた男達が騒ぎはじめる。
「おう。威勢がいいじゃねぇか。ここが桐生組の縄張りだってわかってるんだろうな?」
「桐生組だぁ?そんなもん知るか」
「オジキ。ここは俺達に任せてください」
「おぅ。そういうならお前達に任せるぞ」
そう言ってタツゴロウの連れてきた人達は指をボキボキと鳴らしあっという間に絡んできた連中をぼこぼこにしてしまった。
「オジキ。こいつらどうします?」
「適当に捨てて来い」
「了解です」
そう言って絡んできた連中は連れていかれてしまった。
「トキ坊。ここで話もなんだからついてきてくれ」
「わかったよ」
タツゴロウに連れてこられたのは見事な屋敷だった。
「タツゴロウ叔父さん。ここは?」
「今。俺が世話になってる桐生組の本部だ」
「前は他のところだったよね?」
「色々事情があってな・・・。まぁ、細かいことはいいじゃねぇか。上がってくれ」
「お邪魔します」
トキノリ達はタツゴロウの案内で屋敷の中に入る。
移動する傍らタツゴロウが聞いてくる。
「それにしても偉い別嬪さんを連れてるな」
「こっちも色々あってね。全員奥さんなんだ・・・」
「奥さん?お前結婚したのか?」
「うん」
「知らせてくれれば駆けつけたのに。薄情な奴だな」
「ごめんごめん。でも、来なくて正解だったと思うよ?」
何しろ列席していたのはエニュー帝国を治める皇帝陛下に有力な貴族が参加していたのだ。
そんなところに招待しては胃がいくつあっても足りないだろう。
「タツゴロウ。戻ったのか?」
そう言ってお爺さんが話しかけてくる。
「桐生の親父。勝手に客人をあげてすいません」
「いや。お前の知り合いだろ?あんなに楽しそうに話しているのは久しぶりに見たぞ」
どうやら気分を害しているわけではないようだ。
「ハラヤマトキノリと申します。叔父さんがお世話になっております」
「なるほど・・・。親戚だったか。好きなだけゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます」
「トキ坊。こっちだ」
そう言ってタツゴロウは広い部屋に案内してくれた。




