サタナエル編1-3
セリオンは旧軍基地に再び訪れた。そしてサタナエルを見つけた。サタナエルの髪は風でなびいていた。
「生きていたのか、セリオン。残念だな」
「俺はおまえを止める!」
「巨大隕石はエーリュシオンに近づきつつある。巨大隕石が落下すれば、この星の生命は死に絶える。私の目的はこの星を死の星へと変えることだ」
「そうはさせない!」
「やってみるがいい。できるのならばな」
双方武器を取った。サタナエルがすばやく突っ込んできた。刀が振るわれる。
セリオンはガードしてそれを止めた。セリオンは力でサタナエルを押した。連続で斬りつける。
サタナエルは刀で防いだ。
双方横に疾走する。サタナエルは刀で一閃を放った。さらにセリオンに斬りかかる。
セリオンは大剣でサタナエルの斬撃を受け止めた。
「ほう、前より強くなったな。いったい何をした?」
「あんたには関係ないね!」
セリオンは大剣で薙ぎ払った。サタナエルは浮遊してそれをかわした。セリオンはサタナエルに追撃した。
大剣を振るっていく。サタナエルは力強い斬撃でセリオンに攻撃した。
「うっ!?」
サタナエルの一撃でセリオンは吹き飛ばされた。セリオンは立ち上がる。
サタナエルはセリオンに襲いかかってきた。刀でセリオンに斬りつけてくる。
セリオンは大剣で弾いた。武器が弾かれ合う金属音がした。
セリオンとサタナエルは同時に斬撃を繰り出した。大剣と刀が交差する。
セリオンは後方に跳びのいてサタナエルと距離を取った。
すかさずサタナエルが攻めてくる。セリオンはサタナエルの攻撃を必死に防御した。
サタナエルの猛攻。
セリオンは耐えきれずにまた吹き飛ばされた。
「うおあ!?」
セリオンは地面にバウンドした。
「くっ!?」
セリオンは立ち上がる。サタナエルは鋭い刃でセリオンを攻撃した。セリオンは大剣を斬りおろした。
サタナエルは浮遊した。セリオンはその隙をつき、サタナエルに斬撃を叩きこんだ。
「何!?」
サタナエルは地上に落下した。
「ばかな……この私が……」
サタナエルは倒れ、息絶えた。
セリオンは巨大隕石を見た。巨大隕石は元の軌道に戻り、やがて見えなくなった。
エーリュシオンは、この星は、この世界はセリオンによって救われた。
ヒエロス・ガモス Hieros Gamos ――聖なる結婚
聖堂では結婚式の準備が進められていた。
今日はセリオンとエスカローネの結婚式だった。この結婚は聖堂の騎士団と兄弟姉妹によって祝われた。
セリオンは騎士団の正式な軍装である青い軍服を着用していた。出席者はスルト団長をはじめ、アンシャル、ディオドラ、アリオン、シエル、ノエル、クリスティーネ他に騎士たちと関係者だった。
アンシャルがセリオンに話しかけた。
「とうとう、おまえとエスカローネの結婚だな。私はこの結婚式を祝福するよ」
「アンシャル、ありがとう」
「今日はとても良き日だ。おまえとエスカローネがとこしえに共にあるように」
そこにディオドラがやってきた。
「セリオン、今日の結婚式おめでとう」
「母さん、ありがとう」
「フフフ、なんだか私は自分のことのようにうれしいわ。とても喜んでいるの。セリオン、エスカローネちゃんのこと、幸せにしてあげてね」
「ああ、誓って。俺はエスカローネを幸せにするよ」
「セリオン、それだけではだめよ。あなた自身も幸せにならなくちゃ」
「ああ、分かってる」
「セリオンとエスカローネちゃんに主の祝福がありますように」
「ありがとう」
セリオンは心から感謝した。
「エスカローネはまだ来ないのか……」
「セリオン、気が早いぞ」
「女の準備は長いものなのよ。もうしばらく待っていなさい。ウフフフ」
「分かった」
その時、エスカローネが聖堂の入口に現われた。エスカローネはきれいな白のウエディング・ドレスを着ていて、頭からベールをかぶり、長い髪を結いあげていた。エスカローネはセリオンのもとにやってきた。
「セリオン、遅れてごめんなさい」
「エスカローネ、とてもきれいだ」
「ウフフ、ありがとう、セリオン。うれしいわ」
「エスカローネ、今日はいつもより美しいな」
「エスカローネちゃんの姿はすてきよ。本当に今日はすばらしいわ」
アンシャルとディオドラが祝辞を述べた。
「お二人とも、ありがとうございます」
エスカローネは二人に礼をした。
「新郎と新婦の準備はできたようだな。ではこれより結婚式を行う!」
スルト団長が告げた。
人々から拍手が起こった。
アンシャルとディオドラ、この二人は兄と妹であったが――も拍手を送った。
結婚式が始められた。
セリオンとエスカローネは聖堂の入口から奥の祭壇に向かって、ゆっくりと共に歩いた。両側に列席者が連なる。列席者からは次々と祝いの言葉が投げかけられた。
「セリオン、エスカローネ、おめでとう!」
アリオンが大きな声で言った。
「お兄ちゃん、すてき!」
シエルが言った。
「二人とも、幸せにね!」
ノエルが言った。
聖堂は祝福の言葉で包まれた。セリオンとエスカローネが列席者に見守られて歩く中、聖堂の中ではパイプオルガンと音楽が奏でられた。
パイプオルガンはクリスティーネが演奏していた。
祭壇の前にはスルト団長がいた。セリオンとエスカローネは騎士団総出で祝われた。
二人はスルト団長のもとに到着した。シベリア人にとって、結婚は宗教的な式典であり、神聖な儀式である。
「セリオンとエスカローネよ、今日この結婚を私は心から祝福する。二人のあいだに大いなる愛と幸せがあるように」
スルトが二人に祝辞を述べた。
「セリオン、おまえはエスカローネを生涯愛すると誓うか?」
セリオンは自分の大剣・サンダルフォンを取り出し、自分の前にかざした。
「俺はこの剣にかけて誓う。エスカローネを生きている限り愛しぬくと」
セリオンは高々に宣言した。この結婚式は荘厳さに満ちていた。
「エスカローネ、おまえはセリオンを愛すると誓うか?」
「はい、私はセリオンを夫として、いつまでも愛し続けます。私はセリオンを愛しています」
エスカローネが自分の思いを述べた。
「それでは誓約の証として指輪を」
スルトは式典を滞りなく進めた。セリオンは大剣をしまうと、スルトから指輪を受け取った。
セリオンは指輪をエスカローネにはめた。エスカローネはほおを赤らめた。
「エスカローネ、愛してる」
セリオンはエスカローネにキスをした。満場の出席者から大きな拍手が巻き起こった。
スルトはまるで息子と娘を見守るような穏やかな目で拍手を送った。
「神よ、この二人にとこしえの祝福あれ! 神がこの二人を永遠の絆で結びつけてくださいますように!」
この日、セリオンとエスカローネは兄弟姉妹たちに見守られて結婚した。
この日は二人にとって忘れられない日となった。すべての出席者たちが二人に祝福を送った。
若い二人はみなに見送られて、新しい人生を歩みだした。
「フフフフ」
アンシャルは拍手をしながら笑った。
「どうしたの、兄さん?」
ディオドラがふしぎそうに尋ねた。
「いや、おまえの母親としての仕事も終わったと思ってな。さびしくはないのか?」
「何か、嫌味な響きを感じるわ、兄さん?」
ディオドラは不信の目を向けた。
「フフフ、確かにな」
「さびしい……そうね、少しはそう思うわ。だってあの子がこうして私の手から離れていったんだもの。母親としてはさびしいわ。でも、私はあの二人を、今日本当に、祝福し、うれしいと思っているのよ」
ディオドラの言葉は母としてのあたたかさと、ぬくもりに満ちていた。
「おまえは今日、この日までセリオンを育て上げた。おまえの息子は立派になったな」
「それは兄さんやスルト団長があの子を気息的にも肉体的にも鍛えてくれたからでしょう? 兄さんは兄として、スルト団長は父としてあの子に大きな影響を与えてくれたわ。だから今のあの子は、アンシャル兄さんや、スルト団長のおかげでもあるのよ」
「そうだな、『兄』としては誇らしいよ。きっとスルト団長も同じ気持ちに違いない。ディオドラ、母としてご苦労だったな」
「ありがとう、兄さん。あの子は主が私に与えてくれた子だから。私はいつまでもあの子の母であることにかわりはないわ。それは私の喜びよ」
ディオドラは自分のおなかを両手で押さえた。ディオドラは超自然的な力によってセリオンを、愛する息子を身ごもった。それは人知を超えた神秘であった。ディオドラは昔のことを思い出した。
「それに兄さん? さびしいのはむしろ兄さんのほうじゃないの? セリオンをエスカローネちゃんに捕られてしまって」
ディオドラは皮肉でアンシャルに返した。
「ははは、まいったな。正直そのとおりだよ。私は父というより、兄としてあいつに接してきたが、今日のこの結婚式は喜ばしくもあるが同時にさびしくもあるな。こうしてセリオンは私たちの手元から離れて独立していく……」
「それが結婚でしょう、兄さん?」
「そうだな」
アンシャルの瞳には、さびしさが伴っていた。
「今日この時から、あの二人は新しい一歩を歩みだした。新しい未来を目指して。それはあの二人にしかできないことであり、今までなかった未来なんだろう。今のあの二人には希望に満ちている。私たちはあの二人にただ祝福を送ろう」
「そうね、兄さん。ありがとう」
「ん?」
「あの子の兄でいてくれて」
「別に感謝されることではないさ。私はセリオンの兄であってうれしい。さあ、改めてあの二人に祝福を送ろう」
「そうね」




