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オムニバースの英雄 ~ゲーマーがゲームの腕で異世界を救う物語~  作者: 西一
最終章 セカンド ワールドウォー
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最終話 そして ひとつになる

 合同軍の一翼を担うオシリス艦隊が一瞬のうちに消滅した。

 パーシアス連邦(超銀河団)に攻め入った連合軍と交戦中の合同軍の盟主であるアルゴル星は、オシリス艦隊が全滅したとの報を聞き、撤退を余儀なくされる。

 開戦以来、初めての敗北に衝撃を受けたアルゴル星の代表・アルセスは、勝てないと見るや、すぐさま連合軍に停戦を求めた……。



 大戦争は一気に終息へと向かい、オメガのメンバーが地球に帰る時がきた。

「ご免なさいね、なんの手土産もなくて。小宇宙とのパワーバランスが崩れるのを恐れて、首を縦に振ってくれないのよ」

 エマが申し訳なさそうに言うと、

「そりゃぁそうだろ、ちっぽけな地球に、最強部隊・オメガがいるんだから、疑心暗鬼にもなるよな。まあ、この世界に来て、色んな面でスリルを味わえたし、人間として成長させてくれたんだ。見返りなんて、ハナっから期待してねえよな、みんな」

 そうノアがエマを庇うに言ってチームメイトを見渡した。

「戦友・ハンガンとの別れは辛いけれど、狭い地球に閉じ込めるのは可哀そうだよ。僕は、この経験を生かして、韓国eスポーツのオリンピック代表選手として、金メダルを取ります」

 自信を持ってジュンが言った。

「俺も、夢を追い掛けるよ。諦めていたプロサッカー選手、もう一度、チャレンジしょうと思うんだ」

 つられてウーゴも言った。


「私は、経済大国・中国が世界のリーダーとして認められるように、エニフ星の効率的な経済学を取り入れ、みんなが豊かで、格差の無い世界を目指したなぁ」

 ハオユが言うと、

「俺は、技術立国ドイツの誇りに懸けて、地球人だけの力で光速のロケットを造りたい。かつてドイツは、ロケットの最先端を走っていたんだ。こっちの世界に来てから、戦闘の合間に技術者から推進装置の構造を教えてもらって、ある程度の原理は頭の中に入っている。いつ完成するか分からない夢だが、きっと実現してみせるよ。恒久的な平和のためにも、人々の関心事を地上ではなく宇宙へと向けさせるんだ。宇宙には無尽蔵の資源があるからな」

 レオンが言うと、ナタンも続けて言った。

「じゃあ俺は、国内の電力の80%を原子力発電に依存してきた、世界一原子力発電の割合が高い国という不名誉を改めたい。危険な原発に頼らない、重力エネルギーを利用した未来の発電装置を造る。完成すればレオンさんと同じ、尽きることのないエネルギーが手に入るから、人類は、悩まされ続けてきたエネルギー問題から解放されるんだ。夢のような話だろう」

 ナタンとレオンがそれぞれの夢を語った。


「それにしても、なんで一番危険なイバンだけが、アームキャリーの所有を認められたんだよ。しかも、地球には無い最新鋭機」

 不満そうにノアが言って、背後に一機だけ立っているツァーリを見上げた。

「だって、仕方ないでしょう、イバン君との約束なんだから、彼だけは特別よ。敵でありながら、一緒に戦ってくれたんだし、ツアーリはイバン君にしか乗れないアームキャリーだから、ね」

「だってよ、アメリカもん。あれさえ手に入れば、地球を監視する四つのシールドを破壊して、世界はロシアのもんだ」

 イバンが勝ち誇ったように言うと、

「本当にいいのか? エマの権力で、ツァーリを没収すればいいんだよ」

 ノアが苦々しく唇を噛み締めた。

「なぁーんてな。最初はそう思ってたんだが、思い知った、目が覚めたんだよ。なんてちっぽけなことにこだわっていたんだろうと。でも、何をすべきか分からなかった。だから、あえてお前と争っていただけなんだ。でも、やっと、すべきことが分かったよ。エマさんと接し、話を聞いているうちに、強く思ったんだ。貴重な経験をした俺達だからこそ、今だに迷走を続ける地球を守っていかなければってな。軍事力を競い合うんじゃなく、人類にとって、どれだけ貢献するかを競うこと。強い者が弱い者を助ける。簡単なことに気付かされたんだ。強き者は何をすべきか? もちろん、弱い者を救うことだと。ハオュが経済力で格差を無くし、レオンさんは資源、ナタンさんはエネルギーと、それぞれ争いの火種を無くそうとしている。なら俺は、争いのもととなる喧嘩の仲裁に、あのツァーリを使いたい。アメリカや中国はもちろんのこと、祖国ロシアも大人の対応を求められているんだ、恥をかきたくはないからな。各国から恐れられる存在じゃなく、尊敬される国へと変わらなきゃ。頭の固い軍のお偉いさんを説き伏せるのに、時間が掛るだろうけどな」

 気持ち良さそうに語るイバンに、

「チェツ、最後に、良いところ持って行きやがって」

 とノアが言って笑った。


 そんなノアに、エマが心配そうに声話を掛ける。

「本当に一人で大丈夫? 地球に帰ったら無職だし」

「お、俺を心配してくれるのか? ひょっとして、俺のこと…」

「当然でしょう、幼馴染なんだから。それに、私のこと好きだって言ってくれたんだもん、余計に心配になるわよ」

「心配ないよ、お前の親父さんのところで、一緒に働くことになっているから」

「本当! 良かったわね」

「オレも一応、エース級パイロット、テミスを操縦出来るから重宝してくれるらしいんだ。お前の親父さんと一緒に、災害からの人命救助に力を注ぎたい。オレも早く人の役に立ちたいよなぁ。それにしても……あぁ~、とうとう来なかったな、あいつ。少しは期待していたんだけど……残ったのは、この狸のようなペットだけかぁ。まあ、オヤジの汚名は晴らせたし、一端のヒーロにもなれたしな」

 落ち込んだノアが気を紛らわすように、抱える猫の頭をなぜた。

「あっちに帰っても、ちゃんと世話するのよ、珍しくあなたになついているんだから……あっ! 肝心なこと忘れてた。あなた一人じゃないわよ。ユイナさんよ、ユイナさん、患者の治療が済んだら、地球に行くって言っていたの、すっかり忘れていたわ」

「お前! そんな重要なこと、普通忘れるか? 俺がどんだけ落ち込んだと思ってんだよ。ペットの話より、そっちが先だろ、全く」

「ユイナさん、地球での生活を楽しみにしていたみたい。それと伝言、生きていてくれてありがとう、百点満点って伝えて下さい、だって。いつの間に、そんな関係になっていたのよ。あなたも、案外、プレイボーイなんだね」

 少し嫌味っぽく言ってノアの顔をのぞき込む。

「何かと点数を付けたがる几帳面な性格の子でな。そうか、百点満点かぁ、始めて言ってくれたよ。でも、オレの目の前で言って欲しかったのに。まあ、あいつらしい伝言だな。患者の治療が済んだら、か。自分の幸せより他人の幸せを一番に考えているような子だからな。最初はお前に似ているから気になっていたんだが、違っていた。人はそれぞれ違っているんだな。そして、生きている。そう考えさせられたよ。楽しみにしているからって、いつまでも待っているから、気の済むまで看病しろよ、そう伝えておいてくれ」

「うん、分かった。ちゃんと伝えておくわ」


「オレのことより、そっちはどうなんだよ。このまま、こっちに残ったんじゃあ、跡取りのいないライアン家は途絶えるだろう。親父さんや、頑固な爺ちゃんを悲しませないためにも、子供を一杯作らないとな」

「そこは任せといて……って、私が言う言葉じゃ、ないわよね」

 思わず本音が出てしまい、気まずくなったエマが肩をすくめながらリアムの方を見た。

「ワタシは……」

 リアムはこういった話が苦手なようで、相変わらずモジモジして言葉が出ない。

「おいおい、こんな美人からお前を誘っているのに、男らしく、任せとけって言えないのかよ」

 呆れ顔のノア。

「慌てないでいいから。あなたのタイミングで。私はあなたの誘いをいつまでも待っているからね。まあ、私達の子供でなくてもいいじゃない。子供はこの世界には沢山いるんだし、私の意志を継いでくれる人が適任だと思うの」

「お前は無欲だなぁ」

 ノアが言うと、即座にイバンが言った。

「そんな無欲さが慕われてるんだろ。それこそ、エマさんの魅力じゃないのか、お前、何年付き合ってるんだよ」

「ま、まあな」  

 突然、イバンに握手を求められ、

「な、なんだよ、急に、照れるだろ」

 ノアがガラにもなく照れるが、

「お前じゃないよ、エマさんとだよ。お前とはいつでも会えるだろうが」

 相変わらず憎まれ口をきくイバン。

「全く、ムカつく奴だ」

「争うほど仲が良いて言うじゃない」

 エマが言うと、

「まあ、親友には違いないがな」

 笑みを浮かべ、イバンが言った。

 エマが気を利かせて、イバンの握った手をノアの手に渡し、力強く握り締める。

「さぁ、行こうか、地球へ」

 そう言ってイバンがツァーリに乗り込み、オメガのメンバーが輸送船へと向かう。


「待ってぇー!」

 彼らの背後から女性の声がした。

 息を切らしながら走って来た女性はメラー、彼女がハルトを呼び止める。

「私、私も連れて行って欲しい……」

 黄泉の世界で会ったメラーとは少し違っていた。

 若く、幼く見えた。まるで女子高生のように。

「私、ハルトと一緒にいたくて、人間になったの」

 ハルトとは目を合わさず、うつむいたままのメラー。

「人間になっただぁー! そんな馬鹿な。最も優れたオシリスの科学技術をもってしても、アテン神を人間には出来なかったのに……まさか、オレ達は洗脳されたんじゃ……」

「いいえ、洗脳なんかしていない。私は正真正銘の人間よ。だから…だから、私も連れて行って欲しい。駄目、かな……」

 そう言いながら、ゆっくりとハルトに手を差し伸べる。

「も、もちろん! そのつもりだよ」

 差し出されたメラーの手を、ハルトが力強く引っ張った。

 メラーが嬉しそうにハルトの胸に飛び込む。

 触れることが出来なかったメラーの肌の温もりが伝わってくる。ハルトはメラーを力強く抱き締めた。

「お前のために人間になったんだ。と言っても、まだ人間になりきれてないんだろう、未だにデッドの威圧的な雰囲気だけは残っている。でも、そんな彼女の誘いを断れないよな。もし、断ろうものなら、俺達が許さないからな」

 ノアが脅しを掛ける。

「分かっているよ。でも、父さん(ヒロト)こと、今でも好きなんじゃ」

「ヒロトさんは私の憧れの人、好きとは、少し違うの」

「俺が生まれる前から、こうなる運命だった気がするんだ。メラーさんと結ばれるっていう運命」

「やれやれ、複雑な関係だな。うまくやっていけるのか、あの二人。でも、神に好かれるなんて、スケールが違う。どんなイケメンの家系なんだよ、ハルトは」

 ノアが呆れた口調で言ったあと、振り返り、エマとリアムを見た。

「お別れだな……エマのこと頼んだぞ、リアム。なんせ優位一の幼馴染なんだから。ああ見えて、打たれ弱いからな。エマの足りないところをお前が補ってやるんだ。いつ会えるか分からないから、言っておく。二人の相性はバッチリ、お似合いだよ!」

 二人にエールを送った。

「おーーい、早くしろよ! 船が出るんだ。もう直ぐワームホールが閉じられる。帰れなくなるって船長が心配しているんだぞ」

 いち早くツァーリで輸送船に乗り込んだイバンがノアをせかす。

「全く、うるさい奴だ」


 最後になったノアが船に乗り込むと、船は音も無く一瞬で消えた。

 それぞれも持つ目標を胸に、チームメイトが地球へと帰って行った。

「みんな、行ってしまったね……こうして、二人きりになるのは、久しぶりじゃない」

 エマが色目づかいでリアムを見詰める。

「私のこと好きでいてくれるのは分かるんだけれど、その~、私を女として見てくれているのかなぁ~って。いつも一緒にいるのに、その気が無いんじゃないかって気にしていたの」

「ワタシも一応、男ですから、その…」

 ぎこちない二人の背後から、「あの~う」と声がして、

「――えぇ~!」

 思わずエマが身をすくめた。

 気まずそうにユウトが二人に声を掛けたのだ。

「い、いたのぉ!」

「いたのって、酷いなぁ、俺はずっとそばにいたよ。親密な話をしていたから、いつ話し掛けようかとタイミングを見計らっていたんだ」

「そ、そうなんだ……で、どこまで聞いていたの?」

「どこって、二人きりになったとか、その気が無いだとか、なんの話?」

「ま、まあ、いいじゃない、そんなことは」

 とホッとしたエマが慌てて話題を変える。

「サクラ、行ってしまったよ、いいの? 好きなんでしょう、サクラのことが」

「……知っていたんだ」

「姉弟なのに、あんなにくっついていちゃ、誰だって気付くわよ」

「ああ、好きさ、姉さんのこと、思い悩むほどに。でも。俺達、姉弟きょうだい、好きになっちゃいけないんだ」

「姉弟だからって、好きになっていけないことはないわ。当分会えないわよ、きっと後悔するよ」

「いいんだ、もう決めたから。姉さんも分かっていると思うんだ、このままじゃいけないって。姉弟だからこそ、それが分かるんだ」

「そう、強いのね、ユウト君は」

「実は、ナタンさんが姉さんのことが好きらしいんだ」

「本当! 確か、ナタンさんは好きな人がいるって言っていたけど、その好きな人がサクラのことだったんだ。色男と美女、相性は良さそうだし、お似合いなんだけれど、肝心のサクラの気持ちはどうなの?」

「それとなしに、姉さんにナタンさんのこと聞いたんだけど、良い人だね、って言っていた。だから、二人が付き合うのなら応援するよ」

「チーム同士のカップルだなんて、素敵ね」

「実は俺も、しつこく迫って来る子がいるんだ」

「まあ、ユウト君、ストーカーされていたの?」

「そんなんじゃないよ、良い子だよ。姉さんのことがあったから、避けていたんだ。気の強いところが、何か母さんに似ているんだ、その子」

「良いじゃない、避けばかりいては、何も進展はしない、勇気を出して合ってみることね。会話することで、彼女のちょっとした仕草や特徴が気になって、好きな気持ちが芽生えるかも知れないし、そうやって愛は育むものなんだから」

 仲間との別れは辛いものだったが、こうして嬉しいこともあった。


「俺なんかのことより、エマさんの方こそ大丈夫? 王様になるんだろう」

 ユウトにそう言われ、

「そう、そうだった。あの時、勢いで言ってしまって……私に、出来るかな」

 急に不安になる。

「頼りないけど、俺に出来ることがあるんなら、なんでもするよ」 

「ワタシも、ずっとエマさんのそばにいて、支えますよ。きっとエマさんは見えている筈、理想の世界像がね」

 ユウトとリアムの二人に言われ、

「今の私には、あなた達は強い味方、だから、いつまでも私を見守っていて欲しい」

 もう迷わないと、二人に約束した。


「あ~あ、しばらく、パパやママ、大好きなお爺ちゃんに会えないのよね。それが一番、辛いわ」

 無理して作った笑顔のエマに、リアムが言った。

「何言っているんですか、地球とホットラインを繋げば、いつでも会えますよ。なんたって、エマさんはワタシ達の王様ですから」

「その言い方はやめてよ、私はなんにも偉くはないんだから」

「それ、初めてエマさんと会った時に言いましたよね」

「あ、そうだった。確かに、言ったわね」

「エマさんは、あの頃と、なにも変ってないんですね。あの頃の純真無垢のまま、そこがエマさんの魅力なのかも知れません」

「それ、褒めているのか、けなされているのか、複雑な気持ちだわ」

「その謙虚さが人々を魅了するんじゃないかな」

 ユウトが答える。

「でも私、変わったりしないかな。だって、叱ってくれる人がいないんだもん」

「その時は、ノアさんに来てもらいますよ。幼馴染のノアさんなら、遠慮なくエマさんを叱りそうだから」

 リアムが笑いながら言いうと、

「そうね、今から、大臣のポストでも用意しておこうかしら、ね」

 エマも笑みを浮かべながら嬉しそうに答える。

 どんな未来が待っているんだろう、と三人は期待に夢膨らませた。


  

 両陣営の代表が、戦争の締結を宣言する合意文書に調印すると、一気に復興が進んだ……。


 エマの戴冠式に向けて、銀河連合の中心となる王都星の建設が急ピッチに行われた。

 オメガのメンバーが初めて足を踏み入れたマイア星は、あしが生い茂る荒涼とした湿原地帯だったが、エマがこの星を理想郷、ユートピアにしてみせると誓った言葉通り、大宇宙・オム二バースの中心にふさわしい王都星へと変貌を遂げた。


 惑星・マイアに銀河連合の政治の中枢を移し、完成したばかりの宮殿で、盛大な戴冠式が執り行われようとしていた。 

 見渡す限り雲一つ無く晴れ渡った青空、沖の小島には、エマを模して造られた大な像が建っていた。それは、エマ以外のチームメイトが話し合って、密かに建設を頼んでいたのもで、まるで自由の女神ように、空を、宇宙を見詰めている。争いを無くそうと監視しているようにも見えた。


 花の都と称される王都の中にあって、質素な造りを、とのエマの希望とは裏腹に、完成した宮殿は絢爛豪華で荘厳な建物となり、不満顔のエマ。

 純白のロングトレーンドレスを着用したエマが、戴冠式に挑む。

 裾の長いスカートを引きずらないように、メイド・オブ・オナーと呼ぶ、付き添い人である六人の若い女性がドレスのすそを持っていてくれた。

「どうしてもやらなければならない儀式なんだって。ご免ね、少しの辛抱だから」

 とエマが彼女達に声を掛けるが、

「いえ、エマ様とお供が出来て光栄です」

 名誉なことだと嬉しそうに返事した。


「ところで、リアムは?」

 数日間、オシリス星に戻ると言ったまま帰って来ないリアムを心配して、不安そうにエマが尋ねる。

「向こうで、エマ様をお待ちしていますよ」

 案内人がそう答えた。

「そう、良かった。てっきりオシリス星で、ずっと暮らすんじゃないかと思っていたから」

 ホッとしたエマ。

 きっと、会場の後方で待っていてくれているのだとエマは思った。

「そろそろ、行こうか、エマさん。みんなが待っているから」

 同行するユウトが声を掛けると、

「うん、ユウト君がいてくれて、心強いわ」

 笑顔で言った。


 戴冠式が行われる大広間の会場に向かって、長い廊下を案内人に先導され、ゆっくりと歩いて行くエマ。

 今までの出来事が、走馬灯のようによみがえってくる。

 エマはその出来事を思い出しながら、今ここに立っている自分に、その出来事が繋がっていたのだと気付いた。みんなの助けがあったからこそ、この場所にたどり着けたのだと、エマはゆっくりと、一歩一歩踏みしめながら長い廊下を進んだ。


 大広間の扉が開き、エマが会場に入った途端、会場内がざわついた。

 銀河連合の各銀河の代表や元首を始め、多くの要人が参列している。

 壇上には三公の元首がいた。

 一人はアルゴル星の代表、アルセスであり、エニフ星の代表、グランド。そして何故か、リアムがいた。

「恥ずかしながら、ワタシがオシリス星の代表に選ばれました」

 申し訳なさそうにリアムが言った。

「そう、代表に。リアムは、オシリス星の英雄だもんね」


 エルナト星の代表スィニと、外宇宙の代表として、ボーデア星の住人であるユウトが選ばれ、彼ら五人がエマの後見人となる。

 これ以上ない頼もしい人選であった。


 エニフ星の代表グランドが、光り輝く王冠をエマの頭上にいただいた。

 王冠を授けられた瞬間、集まった人々が、

「オーー!」「女王万歳!」「女王陛下、万歳!」

 と各々が歓声を上げる。

 会場が割れんばかりの声援に包まれた。

 彼らの熱気に、思わずエマが後退りする。

 エマが愛するリアムの方を見ると、彼は笑みを浮かべ、そして、大丈夫と言わんばかりに小さく頷いた。

 リアムの笑顔を見て落ち着きを取り戻したエマも頷き、リアムに応えるように笑みを浮かべた。


 女王となったエマは、広大な大宇宙の中心にいて諸銀河の不平や不満を聞き入れ、世界平和のために、この人生を捧げると誓う。

 女王の誕生と共に、繰り返されてきた争いに終止符が打たれた。

 

 そして、エマ女王の下、オム二バースは、ひとつになった。



                       了


戦争、平和をテーマに、少々堅苦しい内容になってしまいましたが、勉強する暇があったらゲームしろ、と言われる世界、ニンマリと読んでくれれは本望です。また、実際にある星の名前を使っているので、夜空を見た時、この小説を思い出してくれれば嬉しく思います。

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