癒し:魔能力
------------------【リンセル視点】
…最近、気を失ってばっかりだね、ラン君。
今、私は寮の中の、ラン君の部屋にいる。
ベッドに倒れて、寝ているイケメンさんはラン君だ。
…私を、この前も助けてくれた人。
…たまにもう、目覚めないんじゃないかと心配になって。
泣きそうになることもある。
ずっと、そばにいてほしいから。
でも、彼は私に笑いかけてくれるから。
いつか、私のことを見なくなるんだろうなって、勝手に妄想して。
絶望しようとして、この前もプロポーズして、肉体的な関係を持った。
「…バカなのにね。…ラン君を信じられない、私がバカなのにね。」
「今信じられなかったら、これから信じていけばいいさ。」
「ひぅ!?」
…変な声出ちゃった。
…よく見たら、ラン君が薄目をあけていた。
む、手…。
「リンセル、何かあったのか?」
「ううん…ちょっと、今の自分が嫌いになっただけ。」
ラン君が怪訝な顔をする。
そして起き上がって、ぎゅっと私を抱き寄せた。
はわわ…。
…暖かい…。
「俺はリンセルが好きだぞ?」
ぼふっ。
…そんな音が聞こえそうなくらい、顔が一気に熱くなったのを感じる。
…ラン君、無意識に言うの、やめよーよ?
「…ねえ、それよりも…。何で禁術なんて使ったの?」
「…リンセルを、守りたくて。」
申し訳なさそうに、彼は呟く。
その代わりに、自分が死んでも、貴方は構わなかったの?
私は、そっと彼の頭を撫でた。
「…結局、守りきれなかった。」
「ううん、今ちゃんと、私は貴方の向かい側にいるよ。…もう、大丈夫だよ…。」
なにを、貴方はそんなに責任を感じているの?
何で、貴方はそんなに優しいの?
分からなかった。
でも、そばにいたい。
「傷だらけだね、ふふっ?」
「…リンセルは…怪我…ないか?」
彼の手、足を確認する。
…まだ、血が止まってない傷もいくつかあるから。
『愛しき人の傷よ、癒えよ』
ラン君が無傷な状態を想像して、『魔能力』を使う。
「…ありがとう。」
うまく成功したみたい。
あと、もう一つ聞きたいことがあった。
「…【光】属性、使えるんだね。」
「…ああ、使える。…リューに分けてもらった。」
その言葉に、絶句した。
リュー君…が、関係してる?
…嘘。
だって、リュー君はもう死んだ。
私たちの前で、死んだから。
「…その顔、頼むからやめてくれないか。…不安なんだ。」
「ご、ごめん。」
よっぽど悲しい顔をしていたんだろうか。
…あわてて、シャキッとしてみる。
「ま、時が来たら話すよ。」
「…うん。」
リュー君の名前を出さないで。
…貴方のことしか考えたくないのに。
貴方が大好きなのって、叫びたいな…。
お姉ちゃん記憶喪失で覚えてないし、いいかな。
「ラン君…愛してる。」
「俺も愛してるよ。…リンセル。」
だって、格好いいんだもん。
歯の浮くような言葉を、彼は大まじめに話すから。
しかも、自覚がないから。
…ほんとーに、大好きって!
…一回でも、いってみたいなぁ…。
これで第4章は終了です。
読んでくださった方々、誠にありがとうございました。
感想等、いつでもお待ちしております!




