暴走
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誠にありがとうございました!
これからも、よろしくお願いします!
「…アンセル。」
銀髪の少女は、静かに目を閉じていた。
ここは、隔離病棟だ。
何もかもが白い部屋で、白い少女は、ベッドの上で息をしていた。
…それだけだった。
「…だめですね。…目覚めません。」
担当医が、俺を哀れな目で見ながら呟く。
哀れむな。
「…触ってもいいのか?」
「手を握ろうが、無駄ですよ。…まあ、拒否はしませんが。」
アンセルの手をそっと握る。
祈りを込めるようにして、彼女に話しかける。
そうすれば、起きるような気がしたから。
「…起きろよ、アンセル…。」
「……………………んぅ?」
「はぁ?」
…起きた。
さっきまで俺を哀れな目で見つめていた医者は、突然のことに頭の思考回路をショートさせる。
しかし、アンセルの意識ははっきりとしていなかった。
俺を見つめ、リンセルを見つめ…。
いきなり、俺に抱きついた。
「リュー君!?」
「…アンセル?」
完全に、俺のことをリューだと思っているアンセルに。
俺は、彼女の名前を呼ぶことしかできなかった。
「お姉ちゃん落ち着いて!」
「リュー君…だよね? リュー君だよね!?」
「……。」
俺が知っているアンセルでは、なかった。
リューの名前を呼んで、感情を露わにして。
…アンセル…?
「なんで…返事してくれないの?」
「危ないっ!」
リンセルが俺の手をアンセルから、引き剥がす。
とほぼ同時に、アンセルがいきなり、氷の玉を乱射した。
ほぼ、全方位に向かって。
「アンセル!?」
「ラン君! 近づいちゃだめ!」
リンセルの制止の声を聞かず、俺はアンセルを抱き寄せる。
「アンセル、大丈夫だよ。」
「リュー君じゃない…。誰か、助けて…。」
アンセルは、泣いていた。
俺の身体に、いくつもの『魔能力』が直撃。
直撃部分が凍傷になって、痛覚が遮断されるのが分かる。
しかし、俺はアンセルを離したくなかった。
「このままじゃ…死んじゃう…!」
「リンセル…わがままだけど、俺を止めないでくれ。」
そして、暴れ回るアンセルを抱きしめる。
「リューはお前の心の中で生き続けているだろうが! …俺じゃ、いけないのか? 俺だったら、アンセルを満足させてやれないのか?」
「…誰?」
アンセルは、いっそう強く抵抗した。
しかし、俺が離すわけには行かなかった。
アンセルの防護幕はすでに発動しており、一瞬でも気を抜いたら吹き飛ばされそうだ。
しかし、俺は諦めるわけには行かなかった。
リューと、約束したから。
「アンセル…思い出せよ! …俺が、リューの代わりでも良いからさ…。」
元に、戻ってくれよ。
自分の頬を、何かが通過したのを感じた。
水のようだ。
すこし、しょっぱい。
涙だと気づいたのは、その後すぐ。
「…なんで、泣いてるの?」
「アンセルとリンセルのことが、愛しいから。」
リンセルが俺に聞いてくる。
アンセルが、攻撃を中断して俺の方を向く。
「…リュー君じゃないのに、何で私に優しくするの?」
「俺の彼女だから。」
「…私が、あなたの?」
…本当に、覚えていないのか。
しかし、アンセルは俺を見つめ続けていた。
…本当に、静かで。
綺麗だった。
「…思い出せるかな。」
「…関係が壊れてしまったんだったら、もう一回やり直そう。」
ダメだ。
意識が朦朧としてくる。
「…えっと、お名前は?」
…丁寧すぎるな。
…リンセルみたいな性格だったんだな、元々。
「ラン・ロキアスだ。」
そういって、俺は今シーズン何回目かもう分からないけど、気を失った。
次回で、第4章が終了します。
ありがとうございました。




