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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第4章 課題を出されました。…しかし、その前にもっと大きい問題が発生しました。これから、それを叩き潰しに行ってきます。 
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暴走

累計 PV105,127アクセス、ユニーク13,412人

誠にありがとうございました!

これからも、よろしくお願いします!


「…アンセル。」


 銀髪の少女は、静かに目を閉じていた。


 ここは、隔離病棟だ。

 何もかもが白い部屋で、白い少女は、ベッドの上で息をしていた。

 …それだけだった。



「…だめですね。…目覚めません。」


 担当医が、俺を哀れな目で見ながら呟く。

 哀れむな。


「…触ってもいいのか?」

「手を握ろうが、無駄ですよ。…まあ、拒否はしませんが。」


 アンセルの手をそっと握る。

 祈りを込めるようにして、彼女に話しかける。

 そうすれば、起きるような気がしたから。


「…起きろよ、アンセル…。」

「……………………んぅ?」

「はぁ?」


 …起きた。

 さっきまで俺を哀れな目で見つめていた医者は、突然のことに頭の思考回路をショートさせる。

 しかし、アンセルの意識ははっきりとしていなかった。

 俺を見つめ、リンセルを見つめ…。


 いきなり、俺に抱きついた。


「リュー君!?」

「…アンセル?」


 完全に、俺のことをリューだと思っているアンセルに。

 俺は、彼女の名前を呼ぶことしかできなかった。


「お姉ちゃん落ち着いて!」

「リュー君…だよね? リュー君だよね!?」

「……。」


 俺が知っているアンセルでは、なかった。

 リューの名前を呼んで、感情を露わにして。

 …アンセル…?


「なんで…返事してくれないの?」

「危ないっ!」


 リンセルが俺の手をアンセルから、引き剥がす。

 とほぼ同時に、アンセルがいきなり、氷の玉を乱射した。

 ほぼ、全方位に向かって。



「アンセル!?」

「ラン君! 近づいちゃだめ!」


 リンセルの制止の声を聞かず、俺はアンセルを抱き寄せる。


「アンセル、大丈夫だよ。」

「リュー君じゃない…。誰か、助けて…。」


 アンセルは、泣いていた。

 俺の身体に、いくつもの『魔能力サイキック』が直撃。

 直撃部分が凍傷になって、痛覚が遮断されるのが分かる。

 しかし、俺はアンセルを離したくなかった。


「このままじゃ…死んじゃう…!」

「リンセル…わがままだけど、俺を止めないでくれ。」


 そして、暴れ回るアンセルを抱きしめる。


「リューはお前の心の中で生き続けているだろうが! …俺じゃ、いけないのか? 俺だったら、アンセルを満足させてやれないのか?」

「…誰?」


 アンセルは、いっそう強く抵抗した。

 しかし、俺が離すわけには行かなかった。

 アンセルの防護幕はすでに発動しており、一瞬でも気を抜いたら吹き飛ばされそうだ。

 しかし、俺は諦めるわけには行かなかった。

 リューと、約束したから。


「アンセル…思い出せよ! …俺が、リューの代わりでも良いからさ…。」


 元に、戻ってくれよ。

 自分の頬を、何かが通過したのを感じた。

 水のようだ。

 すこし、しょっぱい。


 涙だと気づいたのは、その後すぐ。


「…なんで、泣いてるの?」

「アンセルとリンセルのことが、愛しいから。」


 リンセルが俺に聞いてくる。

 アンセルが、攻撃を中断して俺の方を向く。


「…リュー君じゃないのに、何で私に優しくするの?」

「俺の彼女だから。」

「…私が、あなたの?」


 …本当に、覚えていないのか。

 しかし、アンセルは俺を見つめ続けていた。

 …本当に、静かで。

 綺麗だった。


「…思い出せるかな。」

「…関係が壊れてしまったんだったら、もう一回やり直そう。」


 ダメだ。

 意識が朦朧としてくる。


「…えっと、お名前は?」


 …丁寧すぎるな。

 …リンセルみたいな性格だったんだな、元々。


「ラン・ロキアスだ。」


 そういって、俺は今シーズン何回目かもう分からないけど、気を失った。



次回で、第4章が終了します。

ありがとうございました。

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