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犬娘拾いました  作者: シラキ
つづき
5/12

日常

モモは俺が居ない間、何をしているのだろうか。

それはふと思いついた疑問だ。

そういうわけで、今日はモモの一日をストーキングしてみる事にした。

PCのカメラを起動させておけば、自宅での行動は監視可能。

外出したら、そこからは追跡するという二段構えの作戦だ。

そういうわけで、休日に外出するという嘘をモモに伝えて、ミッションスタート。


午前5時、起床。

しばらくニュースと新聞を眺めた後、朝食の準備を始める。

モモは基本的に和食派だ。


午前7時半、二人で食事を済ませた後、俺を送り出す。

ここからが本番だぜ!


午前8時、モモは家事をこなしている。

洗濯はもとより、小さい部屋だからといって掃除も怠らない。

うん、戻ったら褒めてやろう。


午前9時、小休止。

する事もなくなったらしく、この時間になって小休止。

お茶を飲んでいる。

おやつには手を出さないようだ、偉い。


午前9時半、外出開始。

扉から出た時、こっちに目線をやった気がしたが、なんとか誤魔化せたようだ。

外に出て何をするかと思えば、部屋の周りを掃除している。

こういうのは管理人さんの仕事のはずだが、まあ悪い事ではない。


午前10時、第三種接近遭遇。

お隣さんが現れた!

しかしモモと普通にコミュニケーションを取っている。

まさか、お隣さんの正体はあやかし!?

なわけないか。

よく見れば、モモの犬耳が若干引っ込んでいる。

どうやら癖っ毛で通す気らしい。


午前11時半、井戸端会議終了。

どうして女の会話っていうのは無駄に長いのか。

内容が聞こえなくて、いろんな意味でよかったと思う。

モモはお隣さんから何かもらったようだ。


正午、昼食。

部屋に戻ったモモが食事を取っている。

何を食べるのかと思えば、ご飯に削り節をまぶし、醤油をたらして……

ネコマンマ、犬なのにネコマンマかっ!


正午半、読書の時間。

モモはテレビのバラエティやドラマは好みじゃないらしく、この時間は見ていないようだ。

その代わりなのか、俺の蔵書を漁っている。

食べてすぐに読んで大丈夫なのか?


午後3時、読書終了。

ずいぶんと熱心に読んでいたようだ。

表情は見れないが、尻尾を大げさに振っていた事からすると、ずいぶんと興味をそそられているらしい。

後で何を読んでいたのか聞いてみよう。


午後3時半、ティータイム。

お茶を飲んでいる。

お隣さんからもらったタイヤキを食べようか、ずいぶんと迷っている。

頭を抱えて大げさに悩んでいる様は実に面白い。

ここは保存しておこう。

モモは迷った挙句、半分にする事にしたようだ。

……そうか俺に残してくれようとしていたのか。

しかしモモが千切った結果、タイヤキの頭側は小さく、尻尾側が大きくなった。

つまり、餡は多いが小さい頭と、皮ばかりだが多いという質と量の選択を迫られたのだ。

モモの取った選択は、……証拠隠滅。


午後4時、出陣。

モモが気合を入れて、武装をする。

歩むは戦場へ至る道。

最後の晩餐を求め、荒れ狂う猛者と死闘を繰り広げる。

ここで見た事は、とてもじゃないが言葉にできない。

モモのこんなに恐ろしい様が見たのは、初めてだ。

そして、最後にしたい。


午後5時、帰還。

女の戦場、スーパーの割引タイムを制したモモは格安の豚ばら肉を戦利品として掲げた。

残念ながら、牛ではない。

しかし、モモの表情は勝利した戦士の誇らしげなそれだった。


午後5時半、俺帰宅。

「モモ、よくやった」

開口一番、モモを褒めてやる。

ついでに頭をガシガシと撫ぜる。

モモは呆気に取られたが、すぐに満面の笑みを浮かべながら、尻尾を振って応える。

「でもご主人、覗きはあんまりいい趣味じゃないですよ」

ゼンブバレテイマシタ。


しかし、モモは見られていなかったとしても、同じ行動を取っていたと言う。

「ご主人がモモを覗いていたのなら、それはご主人にとって必要な事だったはずです」

そういうモモの目には、信頼と言う言葉が浮かんで見える。

ただの好奇心、と今更言い出すのは気が引ける。

だが、モモの信頼には正直に答えたい。

それを伝えると、モモは笑みを浮かべて尻尾を一振りした。

「モモを知りたいと思ってくれてありがとうございます」

「モモもご主人の事を知りたくて、ご主人の本を読んで勉強したんですよ」

「でもこのパイズリってモモには難しそうですね」


俺は即座にモモを張り倒した後で、お宝本の隠し場所について悩む事になった。

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