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7/7

そこにカイロスはいるか?



作品名:そこにカイロスはいるか?



作者名:竹内すくね



ジャンル分け:ファンタジー




ストーリー性  :★★★★☆


キャラクター性 :★★★☆☆


忍耐性(特殊評価):★★★★☆



注意事項:とても忍耐力を要します





あらすじ:


高校二年生の僕はいつもどおり学校に通おうとした。

しかし学校へ行く途中で車に轢かれて死んでしまった。

そして目を覚ました僕は自称死神を名乗る女性に自称死後の世界にいることを告げられる。

天国か、地獄か、これまでの人生でも経験したことのない決断を下そうという時、自称死神からとんでもないセリフが飛び出した。

「実はな、どっちも満員なんだわ。天国も地獄も」

常識無い一言に固まっていると、自称死神はもっととんでもないセリフが飛び出した。

「生き返ってみるか?」

自称死神と自称死者がひたすら延々と繰り返す迷宮系エンドレスコメディがあなたの堪忍袋に火をつける!?




見所:


邪道コメディとでも言いましょうか。


とにかく狭き門!ひたすら狭き門!苦痛の生じる狭き門!


そんな狭き門をくぐることができれば、あなたは間違いなくクスッと笑います。


とにかく狭くてひたすら狭くて苦痛の生じるほどの狭き門ですが、最後はクスッと笑ってしまいます。


狭き門をくぐってクスッと笑う。笑えるか、怒るか、それはあなた次第。


しかしあなたの心に深く刻まれることは間違いありません。





感想:


私はこの作品を読破することを三回断念しました。


四度目の正直です。

四顧の礼です。




それほどまでに私にとって苦痛でした。

この作品を読み切れたのは紹介された作品だったからです。

そうでなければ四回もトライしません。



辛酸、辛酸、と批判をしていますが、私はこの作品を読んで良かったと思っています。


ファンタジーの定番、「事後による世界への干渉」という型をなぞりながら、しかし物語はテンプレートでは終わらない面白さがあります。



テンプレートにはテンプレートの良さがあります。


邪道には邪道の面白さがあります。


これはその両方を取り入れた作品だと思います。




しかしこの作品を読んだことによってテンプレートの欠点を感じました。



先にも書いたように私は三回読破を断念しました。その理由はテンプレート臭いからです。




冒頭を略すと


『不慮の事故によって死んだ主人公が死神(神様)の力によって蘇り、記憶を継承したまま人生をやり直す』


となります。



私はこのあらすじに似た物語をいくつか読みました。数多を読みませんでした。


読んだ理由は真新しかったから。作品が面白かったからです。



読まなかった理由は使い回されていたからです。作品が面白くなかったからです。



経験というのは始めたばかりの頃は真新しく感じます。



しかし、多くの経験を得ることによって新鮮さは失われてしまいます。



新鮮味を欠いたことは風化していきます。固定化されていきます。



それがテンプレートの欠点です。





冒頭ではテンプレートでしたが、進んでいくに連れて竹内様の紡ぐオリジナルな物語に引きずり込まれてしまいます。




あれ、さっきはこうだったのに。


もしかしたらこうなるのでは。



など、少しずつ物語は進み、行き詰まりそうなタイミングで新しいヒントが降ってくる。



そのタイミングが絶妙で、乗せられていると分かっていても気持ちよく読み進めてしまいます。



知らないうちに伏線を超えて、気付けば伏線がきれいに回収され、物語が少しずつ加速していきます。



それは自分のテンポではなく、竹内様のテンポで知らないうちに自分のリズムを崩されてしまいます。



そして気付いた時には予定していた時間を大幅に超えているのです。




心地良い疲労によって眠りにつき、目が覚めれば読みたいと思っています。



生活のリズムを崩され、パソコンが気になって仕方なくなります。



課題や食事にも目が向かなくなり、そして物語は静かな余韻を残して終わります。



そこにたどり着いたアナタはなんとも言えない達成感と、心地良い疲労、竹内様の割り振った伏線に感嘆してしまいます。





この作品は読み手の方によって大きく是非が変わってくると思いますので、指針を一つ。



読むものがマンネリ化してきて辛い方、邪道を読みたいけれどキツいものはまだ無理な邪道初心者の方、がこの作品の適齢期ではないでしょうか。



ただこの作品を読むときは時間の猶予と根気をお忘れなきように





本音:



さて感想ではけちょんけちょんに酷評した私ですが、この作品は読み手の方よりも書き手のみなさんに読んでいただきたいと思います。



初めて物語を書く方に是非読んでいただきたいと思います。



私もそうですが、読み手から書き手に映るときには影響された作品があると思います。



その作品のようなものを書きたいから、あるいはその作品を読んだ時に感じた感動を自分と同じように感じて欲しいから書くのだと思います。




しかし思いだけでは感動というのは届けられません。



漫画のような効果音や間違った言葉遣いを用いると伝わるはずの感動も伝わりません。


物事は適切な手順や形式をとってこそ滞ることなく行われるのです。



例えば課題を回収するとき、ある人は自分の机に、ある人は教卓の上に置く。


貴方が回収するとしたら一箇所にまとめてください、と思いませんか。



貴方が貴方の物語を自分だけのものとするなら誰も文句は言いません。



しかし貴方が誰かに読んでもらいたいのであれば、読む人への配慮をするべきではありませんか。


この作品にはそんなテンプレートがしっかりしています。


物語の書き方がわからないならこの作品を読めばいいんです。



一周読み切れば、二度文法をなぞったことになります。

十周読み直せば、二十回もなぞったことになります。



ベストで面白い教本が見つかれば、ベターで退屈な教本よりもそちらを読むべきではないでしょうか?






評価基準:



ストーリー性について。



まず読むにあたって入口が難しすぎる気がします。


それなりに読んでいる人にとっては見飽きた門です。


あまりなれない人にとっては根気を必要としすぎる気がします。


またファンタジーとして読むにはファンタジー要素が足りません。


ミステリーとして読むにはクライマックスが容易に想像できてしまいました。



しかし全体のストーリー性は秀逸でした。


秀逸なだけに難点が目についてしまう印象です。



秀逸ですが選り好みが分かれそうなので『★★★★☆』とさせていただきました。





キャラクター性について。



主人公は特徴がなくてよく言えば感情移入がしやすい。


悪く言えば、無味無臭で存在感が薄い気がします。



死神の存在も神道ではずぼらなイメージが当てはまりますが、死神はキリスト教なので混ざった気がします。


もう少しキャラクターにクセがあればよかったかな、と思います。



全体的にバランスがいいと言えばそれまでですが、あとひとつくらいキャラクター性を持たせたほうがよかった気がするので『★★★☆☆』とさせていただきました





特殊評価について。



本当に根気が必要でした。



もう少し文字を軽くできなかったのかなーと思います。



流し読みをしない私もアレなのでしょうが、繰り返されるというのは想像以上につらいです。



アニメかナニカでこれと似たようなことがあり、騒動になったらしいですが、少し納得です。確かに辛いです。




竹内様ほどの実力があるならもう少し何とかできなかったでしょうか‥‥‥



断念してしまったこともあり、申し訳ない気もしますが『★★★★☆』とさせていただきました




あとがき

今回は今まで『★★★』と表記していましたが。友人から『四と五が見にくい』と言われたので実験的に『★★★☆☆』と表記させていただきました

今回のほうがいい、という話を聞きましたらこれまでの表記も今回から統一させていただくつもりです


また想像以上に期間が空いてしまいすみませんでした

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