男も女も、ゴムみたいになって踊っているわ。
ピョーン、ピョーン。
どこに行こうかしらね。
そうだわ。
このまま渋谷まで行っちゃおう。
私、クラブってところに、一回行ってみたかったのよ。
ピョーン、ピョーン。
わあ、人がいっぱい。
渋谷って、上から見ると、人の頭だらけだわ。
みんな、ごめん。
踏んづけちゃうけど、トランポリンは止まらないのよ。
ピョーン、ピョーン。
「わあ、誰かが僕の頭を踏んづけて行ったぞ」
「あれは何だ。人の頭でトランポリンをしている少女がいるぞ」
「わあ、天才トランポリン少女だ」
「し、白だ……」
鼻血ブー。
「いやんっ。みんな、パンツ見ないでえ」
なるべく人の少ないところに行かないとね。
あ、クラブの入り口が見えてきたわ。
「ごめん遊ばし」
「うわっ」
私が急に空から降ってきたものだから、そこにいたお兄さんを驚かせちゃった。
あら、この人、金髪のモヒカン。
素肌に袖のないジージャンだ。
怖そう。
きっとクラブの門番だわ。
通してもらえるかしら?
「私も中に入れて欲しいのよ」
「お嬢ちゃん、小学生はダメだよ」
「でも私、天才トランポリン少女よ」
「天才トランポリン少女?」
私はトランポリンの技を披露してやった。
ピョーン、ピョーン。
「ほう、こりゃいいや。特別に中に入れてあげるよ」
「やったあ!」
うわあ、人でギュウギュウ。
男も女も、ゴムみたいになって踊っているわ。
あ、あの人が、きっとDJという人ね。
長い金髪を二つに分けて、サングラスをかけてるもん。
なんか、訳のわからない言葉を喋って、訳のわからない音楽をかけているわ。
この人たち、本当に同じ人間かしらね。
ああ、私、こんなところに来て場違いだったかしら?
わ、変な人が近づいてきた。
ど、どうしよう。
「よ、イカスねーちゃんじゃんか」
この人、きっとお酒を飲みすぎて頭がおかしくなっちゃったんだわ。
「ね、君、どっから来たの?」
「わ、私、天才トランポリン少女よ」
「天才トランポリン少女?」
「なんだってトランポリンにできるわ」
「へえ、やって見せてよ」
リクエストにお応えして、ピョーン、ピョーン。
「ひゃあ、こりゃすごいや」
ウフ、驚いてる。
それじゃ、ちょっと調子に乗っちゃおうかしら?
「みんな、悪いけど頭をお借りするわよ」
ピョーン、ピョーン。
ピョーン、ピョーン。
踊っている人たちの頭で、ピョーン。
DJの人の頭でも、ピョーン。
「うわあ、すごい」
「天才トランポリン少女だ」
「し、白だ……」
鼻血ブー。
「みんな、パンツ見ないでえ!」




