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天才トランポリン少女  作者: 村上しのぶ


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2/7

男も女も、ゴムみたいになって踊っているわ。

 ピョーン、ピョーン。

 どこに行こうかしらね。


 そうだわ。

 このまま渋谷まで行っちゃおう。


 私、クラブってところに、一回行ってみたかったのよ。


 ピョーン、ピョーン。


 わあ、人がいっぱい。

 渋谷って、上から見ると、人の頭だらけだわ。


 みんな、ごめん。

 踏んづけちゃうけど、トランポリンは止まらないのよ。


 ピョーン、ピョーン。


「わあ、誰かが僕の頭を踏んづけて行ったぞ」

「あれは何だ。人の頭でトランポリンをしている少女がいるぞ」

「わあ、天才トランポリン少女だ」

「し、白だ……」

 鼻血ブー。


「いやんっ。みんな、パンツ見ないでえ」


 なるべく人の少ないところに行かないとね。


 あ、クラブの入り口が見えてきたわ。




「ごめん遊ばし」

「うわっ」


 私が急に空から降ってきたものだから、そこにいたお兄さんを驚かせちゃった。


 あら、この人、金髪のモヒカン。

 素肌に袖のないジージャンだ。

 怖そう。

 きっとクラブの門番だわ。

 通してもらえるかしら?


「私も中に入れて欲しいのよ」

「お嬢ちゃん、小学生はダメだよ」

「でも私、天才トランポリン少女よ」

「天才トランポリン少女?」


 私はトランポリンの技を披露してやった。


 ピョーン、ピョーン。


「ほう、こりゃいいや。特別に中に入れてあげるよ」

「やったあ!」




 うわあ、人でギュウギュウ。

 男も女も、ゴムみたいになって踊っているわ。


 あ、あの人が、きっとDJという人ね。

 長い金髪を二つに分けて、サングラスをかけてるもん。

 なんか、訳のわからない言葉を喋って、訳のわからない音楽をかけているわ。

 この人たち、本当に同じ人間かしらね。


 ああ、私、こんなところに来て場違いだったかしら?


 わ、変な人が近づいてきた。

 ど、どうしよう。


「よ、イカスねーちゃんじゃんか」


 この人、きっとお酒を飲みすぎて頭がおかしくなっちゃったんだわ。


「ね、君、どっから来たの?」

「わ、私、天才トランポリン少女よ」

「天才トランポリン少女?」

「なんだってトランポリンにできるわ」

「へえ、やって見せてよ」


 リクエストにお応えして、ピョーン、ピョーン。


「ひゃあ、こりゃすごいや」


 ウフ、驚いてる。

 それじゃ、ちょっと調子に乗っちゃおうかしら?


「みんな、悪いけど頭をお借りするわよ」


 ピョーン、ピョーン。

 ピョーン、ピョーン。


 踊っている人たちの頭で、ピョーン。

 DJの人の頭でも、ピョーン。


「うわあ、すごい」

「天才トランポリン少女だ」

「し、白だ……」

 鼻血ブー。


「みんな、パンツ見ないでえ!」

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