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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 二学期 前半
70/87

第七十話 学園祭一日目:羨ましい

まだまだ続くよ学園祭!

学生時代の学園祭はあまり楽しめなかったからうまく書けてるか心配です(―ω―)

 小柄な二人が睨みあっている。どう見ても小学生と中学生の睨みあいだ。だが微笑ましいなんてことは全く無い。理事長からの圧力が半端ないのだが桜はそれに耐えるどころか負けじと反撃している。女の闘いは怖いね。


「お嬢様落ち着いてください。桜も落ち着け、説明する」


「む、貴様が言うのであれば仕方あるまい。我を納得させるがよい」


「お嬢様……。遼ちゃんと話を聞かせてよね」


 ちなみにこのやり取りの最中にお兄さんは我先にと逃げていった。助けなかったことを怨んでやる。


「お嬢様、こちらは私の友人の中田桜です。隣町の公立高校に通っており、私達の親同士が仲がよい関係なのです。ちなみに私の恋人候補の一人です」

「桜、こちらの方はこの学園のトップである鳳鈴(おおとりすず)理事長だ。こんな見た目だがアラサーらしい。そして今日付けで彼女の執事をやることになった」


「む、こやつが中田桜か」


「この小学生が理事長!?」


 説明を聞いた二人は納得するどころか再び睨みあい、いつどちらが噛み付いてもおかしくない状況になっている。まるで犬と猫の喧嘩を見ているようだ。


 理事長は桜の事を知っている口ぶりだったが、お互い初対面のはずだ。もしかして桜は有名人だったりするのか?考えるのは後だ。この状況を打破することを考えよう。


「お主が我が執事の恋人候補だと?見た目はかわいいのじゃが納得できぬな。……我と同じく小柄の癖に胸があるのが羨ましい」


「そっちこそ、権力を振りかざして遼を執事にするなんてどういう事かしら?……あんな姿の遼といられるなんて羨ましい」


 二人の呟きはしっかりと耳に届いたのだが聞こえないことにする。いや、いつだかのネタにして恥ずかしがるのを見ることができるかもしれないと頭の隅っこに置いておくことにした。


 理事長は女相手ならそれが敵対する者でも絶対に"貴様"とは使わないな。たまに名前を呼ばれるがいまだに"貴様"扱いなのが少し残念だ。


「貴様、我よりこの娘のほうがよいのか?」


「遼、あんた私よりこんなロリババアがいいの!?」


 もうめんどくさくなった。先輩方に注目されているよ。もう帰りたい。俺の事を二人には伝えないといけないな。


「お嬢様、桜は私の大切な人です。恐れ多いのですがあまり彼女を悪く言わないでください。ですが、決してお嬢様が嫌いというわけではございませんのでご安心ください」

「桜、俺はお前が好きだよ。それは今も変わらないから安心してくれ。それにいろいろと不安にさせてすまないな」


 よくもこんなキザなセリフが言えたもんだ。言った後で恥ずかしくなってきたこの場にいる女子生徒がみんなキャーキャー言ってて騒がしい。


 二人を見ると顔を赤くして俯いている。戦意を喪失してるみたいなのでもう争う様子はなさそうだ。あとは騒いでいる女子生徒を静めたらこの場は収まるな。


 先に顔を上げたのは理事長だった。桜はまだ手を頬に添えて何かブツブツ呟いている。


「興ざめじゃ。次は屋台に行くのじゃ!」


 そう言って手を引かれる。何故だか一緒に桜も掴まえて連れて行かれている。このあと第二ラウンドなんて始まるのはやめてほしい。


 ―――――――――――――――――――――


 小柄な少女が二人の男女の手を引く光景はまるで仲のいい親子のようだ。三人とも見た目は飛びぬけいている。親子に間違えられてもおかしくは無い。手を引く少女が理事長ではなく普通の小学生ならだ。


 校舎から出ると屋台の並ぶ広場に出た。いい匂いが漂いよだれが出そうだ。屋台の出店数が多く、地域の祭りと同じぐらいの規模だろう。ゆっくり回りながら食べ歩きをすることにする。


「お嬢様、食べたいものはありますか?」


「そうじゃの……フランクフルトが食べたいのじゃ!」


「……遼、あんたこの幼女にあんな太くて大きくて固いもの食べさせるつもり?」


 桜はそんなことを言ってはいるが目が蕩けて艶やかな雰囲気になってる。はぁはぁしてるし。こんなところでの変態行為はやめてほしいところだ。学園に通いづらくなってしまう。


「ではフランクフルトを買いましょう。桜、お前はたこやきでも食べてろ」


「私に冷たくない!?」


「目がエロいんだよ。またフランクフルトを変な食べ方する気だったろ?」


 てへ、ばれた? なんて惚けている姿はやっぱり桜らしくかわいい。頼むから学園祭では変態行為をしないでください。


「おつかいは頼むのじゃ。我はこの娘と話をしておる。あそこのベンチで話しておくので、はよ戻ってくるのじゃぞ」


 胸に手を当てお辞儀をしておつかいに出向く。頼むから喧嘩はしないでほしい。あとはナンパされるかもしれないが、理事長が付いていれば問題ないだろう。さすがに理事長をナンパする頭の悪い学生はいないはずだ。


「おーい。遼!」


 声を掛けられたほうを見ると一成が屋台の前で売り子をやっていた。一成のクラスは屋台だったのか。


「この格好ですぐわかったのはお前ぐらいだよ。さすがは幼馴染」


「そりゃそうだ。それで何か探しているのか?」


 一成に現状を話した。理事長に目を付けられて関わる時は執事として接すること、桜が合流したこと、一触即発の二人が今一緒にいて買出しに行かされたこと。


 話してる最中から一成はだんだんと哀れみの視線を向けてくるようになった。


「お前も大変だな」


「まあそういうことなんだが、フランクフルトとたこやきはあるか?」


「あるから少し待ってな」


 一成は食べ物を準備し袋に詰めて渡すので、料金を支払う。サービスでやきそばを追加してくれたからあとでメイド喫茶でサービスすると告げて二人が待つ場所へと戻った。


 花火大会ほどではないがかなりの人が集まっている。人ごみを掻き分けながら二人の待つベンチへと向かった。


 どうやら何もなかったようで二人はベンチに腰をかけて何かを話しているようだ。その表情は先ほどと違い二人とも柔らかい。どうやら打ち解けたみたいだ。


「お待たせしました。食べ物を買ってきましたよ」


 喧嘩するよりもやはり仲がいいほうが楽しい。立場は違えど仲良くすることは悪くないはずだ。そんなことを考えながら買ってきた物を二人に渡し、ベンチに腰をかけやきそばをいただくのであった。


 ―――――――――――――――――――――


 少し時間は遡る。遼が買い出しに行った後、桜と鈴はベンチに腰をかけた。鈴から話があると言っていたのだが、お互い今日が初対面で話すことなんて何もないはずと疑問を抱いた桜は口を開いた。


「私に話しってなんですか?遼から身を引けってならお断りです」


「そう急くな。我はお主に会ってみたかったのじゃ。初から話は聞いておるぞ」


 初の名前が出たことに桜は驚いた。確かにこの学園の卒業生だし最近までは教育実習でこの学園を訪れていたのは知っている。


「先日初からお主が遼のと学園生活を過ごしたくて頑張ってると聞いての、応援したくなったのじゃよ」


「学園のトップであるあなたが一学生の私に入れ込んでもいいのですか?」


「我は学園のトップであるが故、学園の現状を知る為に学生達に入れ込み、話を聞き、コミュニケーションを取り、癒されるのじゃ」


 最後の癒されるはいまいちわからなかったが、桜は目の前にいる見た目小学生がすごい人なんだと驚いた。会社等、トップがこんなことをするなんてあまり聞いたこともないのだ。


「来年は編入生を入れる予定がなかったのじゃが、初からお主の話を聞かされてやらざるを得なくなったのじゃよ。まぁ、あやつは我が初めその件を拒否すると喧嘩を売ってきたんじゃ。それを受けた我が負けたので受け入れることになったのじゃ」


「……初さんには感謝してもしきれないですね」


「あやつの傲慢さはこの学園に通っておった頃からじゃ。あやつの扱いは非常に苦労したわい。来年からあやつが学園の教員になると考えるだけでも面倒じゃ。」


 学園のトップを屈服させるほどの初がどれだけ恐ろしい存在であるかは遼が一番知っているのだが、桜にとって初は間違いなく恩人である。桜は初には頭が上がらないなと思う。


「そういうわけじゃ、お主には試験はちゃんと受けてもらうぞ。試験のボーダーを下げたりもせん。我ができることは編入試験を行うだけじゃ。あとはお主の力でこの学園に入るのじゃ」


「それだけで十分です。ありがとうございます」


 桜が鈴に頭を下げる。鈴はそんな桜の頭を撫でてやる。傍から見たら小柄の二人は仲のいい姉妹のようだ。


「そうじゃ、遼は恋人候補の一人と言っておったが、他にもいるのか?」


「えぇ、この学園で遼と同じクラスの子なのですが……」


「ふむ、先ほどまであやつのクラスのメイド喫茶にいたのじゃが、わからぬな」


「それならあとで一緒に行きませんか?」


 桜は学園のトップに対して一緒に行動することを提案してみる。普通なら断られるのだが、この理事長ならきっと了承してくれると思ったのだ。それに花のメイド服姿も興味がある。きっと胸を強調させているに違いないと考える。


「よかろう。あそこは実に楽しかった。遼のダンスを見る約束をしておるからその後でもよいかの?」


「いいですよ。私も遼のダンスを見るつもりでしたので」


「よろしい。ちなみにじゃが、我も遼の恋人候補に入れてはもらえぬのかの?」


「……ご自身の立場と歳を考えてください」


 それもそうじゃのと二人で笑いあう。遼が執事になると聞いて少し焦ったがこの人は学生のことを親身になって考えてくれるすごくいい人なんだと、先ほどまで抱いていた敵意がなくなる。鈴も同様にこの娘の頑張りを応援したいと言う気持ちから桜を一生徒として愛情を向ける。


「お待たせしました。食べ物を買ってきましたよ」


 笑いあう二人の下へ王子改め執事が戻ってくる。学園祭の間に遼と進展があるといいなと思いながら桜は買ってきたたこやきをいただくのであった。

ロリババアの需要がどれぐらいあるのかが気になる。

私は大好きです。

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