第六十八話 学園祭一日目:ここは天国
学園祭当日、朝八時半、教室には男共しかいない。学園祭の開催が九時からなのでそれに備えて女子のみんながメイド服に着替えに行っている為、こんな男しかいない現状になっている。誠に残念な光景だ。
女子がいなかったので教室で執事服に着替える。サイズは問題ないのだが、フォーマルスーツよりも体の細さが強調される。準備されたモノクルもつけると漫画やアニメに出てきそうな人のようだ。
「篠崎似合っているぞ!」
「さすが篠崎だぜ!」
「うへへ、いいけつしてるぜ……」
「これで女性客の呼び込みは問題ないな!」
誰だ俺のけつを狙っているのは! そういう趣味はないから勘弁してくれ。俺は女の子しか愛せないぞ。学園祭の雰囲気にまぎれて俺の貞操が奪われてたまるものか!
執事服を身に纏い、クラスにいる男共を見渡すがそう言った危ないことを考えていそうなやつはいないみたいだ。聞き間違いだったのだろうかと思うことにして、今日提供するメニューの最終確認をみんなで行う。ハンバーグとオムライスはそれぞれ三十食分は冷凍保存しているのですぐに提供できる。ドリンク要員にもしっかりと準備をしてもらい作業のしやすいように準備する。
ちなみにメイド喫茶として使うのは教室は、黒板に大きくかわいい文字が書かれている。後ろにあたる部分の三分の一は厨房兼休憩場所になっている。
男共のシフトの中に俺が入っていなかったのだが、女子と同じ扱いになるのだろうか?休憩なしなんてブラック企業みたいな労働は拒否してやる。それにしても女子のみんなが遅い。もう開始時間の十分前だ。
そう思っていると教室の扉が開いた。女子のみんなが戻ってきたと思ったのだが、そこにいたのは小学生……もとい理事長だった。クラスがどよめく。ロリババア来たー! なんて騒いでいるやつもいるのだがそんなもの気にも留めずに足を進める。
「開始時間にはまだ早いですよ。女子もまだ準備中ですし」
「何を言っているのじゃ? 我が一番の客になってあげると言うのだ。はよ案内せよ」
なんて横暴な。これが権力の力というやつか。それにまだ女子が到着していない。メイドがいないメイド喫茶なんてただの喫茶ですらない。ここは接客要員だし俺が案内するしかないのか。
「失礼致しましたお嬢様。それではご案内いたします」
以前に花と桜にやったように胸に手を当てお辞儀をした後、理事長の手を取り席へと案内する。クラスの男共が理事長相手に臆することのない対応に尊敬の眼差しを向けるのだが、客にビビッていたら接客なんてできるわけがない。席に座らせるために椅子を引き、理事長を座らせる。
「ふむ、貴様なかなか様になっておるな。我の専属の執事にはならぬか?」
「ご冗談を。私はまだ学生です。学生の本分は勉強ですよ」
「確かにそうじゃの。では卒業後に困ったら我に言うがよい。雇ってやろう」
「感謝致します。私が路頭に迷った時は頼らせていただきます」
接客モードに入ったのでしっかりとお客様をおもてなすための言動、行動を行う。いつもの口調とは異なり、一人称も"俺"から"私"にする。今日明日はずっとこの調子になるだろう。
「お嬢様、メニューでございます」
「どれどれ、……日本酒はないのか?」
「お嬢様、申し訳ございません。私達は未成年ですのでお酒の提供はできません。それに現在はお仕事中なのでは? この後の仕事に差し支えると思われるのでお酒は控えたほうがよろしいかと。また学園での飲酒は禁止されています」
「うむ、貴様の言うとおりじゃが少し間違えておる。我は学園祭を楽しむために今日明日の仕事は先ほど放棄してきたのじゃ。月曜日に頑張ればよいのじゃ」
この人多分だめな大人だ。いや、ほんとに大人なのか? もしかしたら見た目と同様小学生なのではないのか?
「そうじゃの……ではこの"執事にトキメキ メロメロメロンソーダ"と"執事印のハンバーグ"を所望する」
「かしこまりました。料理は少々お時間を頂きますがよろしいでしょうか?」
「かまわぬ。その間貴様は我の話し相手をしてくれるのであろう?」
「お嬢様のお望みであれば」
オーダーを取り、厨房へ注文を告げる。学園祭が開催される時間まであと五分あったのだが、男共はすでに配置に着き、シフト通りに行動を始めた。それにしても女子が遅い。何かトラブルでもあったのだろうか。
「篠崎、何で理事長相手に普通にできるんだ!? 学園のマスコットだぞ!?」
厨房で平が理事長に聞こえない程度に声を抑えて問いを投げてきた。マスコットは失礼じゃないかと思ったがそこはスルーしておく。実際マスコットのような感じはするしそういうことを本人も嫌がっている様子はない。
昨日話す機会があってうちの出し物に遊びにきてくれることになったと言うことを簡単に伝える。平がロリババアは合法なのだ等言ってたが聞き流すことにする。
見た目が小学生なのだぞ。無理だ。そもそもおっぱいがない。確かに合法だが俺が求めるのはロリ巨乳なのだ! 合法ロリ巨乳はいないのか!?
「おい、我が持て余しているぞ。はよもてなすのじゃ」
「平悪いな、呼ばれたから戻るよ」
厨房から理事長の待つホールへと戻る。折角遊びに来てくれているのでこの時間だけでももてなそう。
「して、何をしてくれるのじゃ?」
「少々お待ちください」
確か簡単なゲームを準備してたと思いながらメモ帳を取り出し確認する。ゲームのメニューも作っておくべきだったと思いながらもできるゲームを理事長に見せてあげる。
「貴様は何がしたいのじゃ?」
「お嬢様が選んだものでしたらどれでもやって差し上げます」
「むむむ……では"黒ひ○危機一髪!"をやるのじゃ!」
「かしこまりました。準備いたしますので少々お待ちください」
準備しようと席から離れようとしたところで学園祭開催のアナウンスが流れ、その瞬間に勢いよく扉が開いた。教室にいた全員が開かれた扉に視線を向ける。
そして教室の扉からクラスの女子達。全員メイド服を着用している。こんな大勢のメイドが更衣室から時間をかけて来たってことはおそらく宣伝でもしたのだろう。まるでアイドルグループだ。
何人かのメイド(クラスの女子)が理事長がいることに気がつくと目をキラキラさせて席に向かってきた。飢えた猛獣のようだ。
「きゃー理事長ちゃんだー!」
「今日もかわいいですー!」
「頭撫でていい?いいよね!?」
理事長が引いてしまうだろと思ったのだが、そういったことはなくむしろ楽しそうにみんなと絡みだした。
「もっと我を褒め称えよ。お主らも皆かわゆいぞ。我も触ってよいか?」
もみくちゃにされている理事長だがその顔はまるで変態のおっさんのようだだ。小学生の見た目には似合わない。
「ぐふふ、ここは天国なのじゃ!」
そう言えば昨日かわいい女の子を見るのは飽きないなんて言ってたな。楽しそうだしこれって勝負はもらったな。
そんなことを考えながら楽しそうにメイドに囲まれている理事長を眺めていると委員長がやってきた。もちろんメイド服を着ている。
「篠崎君、何で理事長がいるの?」
「最初の客になりたかったそうだ」
そんなので納得するかはわからなかったが委員長はふーんとだけ言って立ち去り理事長の下へ向かい、先に絡んでいたメイド達と一緒に理事長をかわいがり始めた。理事長人気者だな。
「遼よ、ゲームはどうしたのじゃ?はよ準備せぬか!」
催促されてしまったので苦笑いを浮かべ準備にして"黒ひ○危機一髪!"を席に持っていく。理事長の向かいの席に座りゲームを開始するのだが。理事長はメイドに囲まれ、ハーレム状態だ。うらやましい。
「我にはかわいいメイドがついておるのじゃ。貴様になど負けぬのだ」
ゲームを楽しみながらメイド服を着た女子に胸元に目をやる。谷間が強調されたなかなかそそられる服だ。ありがとう。この二日間、目の保養に困ることはなさそうだ。
ロリ巨乳は正義
※合法に限る




