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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 二学期 前半
56/87

第五十六話 大会前日

 金曜日になり明日の大会を控えたこの日の授業は、姉さんが担当する英語から始まった。教壇に立ち堂々と授業を進める姉さんはやはり緊張とは無縁の存在らしい。


「じゃあここの和訳を……そこの君、ここの文章を訳してみろ」


「はい! 喜んで!」


 指名された男子生徒が勢いよく席を立つ。声を掛けられただけで緊張するなんてどうかしていると思うぞ。


 確かに姉さんは美人だ。クラスの男共が見惚れる理由も分かるのだが、俺からしてみれば力こそ正義なんて言う金髪で人の恋人を攫う悪人と同じようにしか見えない。


 だが外での姉さんがどんな人なのかは俺は知らない。歳も離れているので小学校も被らなかったし、昔からの共通の知り合いは一成と一成の兄さんぐらいだ。そしてこの二人も姉さんには頭が上がらない。ちゃんと教師ができるのか不安でいっぱいだ。


「よし、座っていいぞ。ここのItを訳す部分が違っていたな。」


 そう言って黒板に訳してもらった部分を書き出し解説を始める。確実にうちのクラス担当の英語教員よりもわかりやすい解説で補足説明まで付け加えてくれる。近くで見ている英語教員もびっくりだ。


「じゃあ次はここの英訳を花がやってくれ」


 姉さんは花を指名するが花は俯いたまま動こうとしない。英訳ぐらい花にとっては難しいことではないはずだが、まさか前の席で寝ているのか?


「おい花、どうした?」


「え?あ、はい!」


 優等生の花が授業に集中していないなんて珍しいな。寝不足なのかな。


 花は席を立ち、指定されたところを訳していく。問題なくできているのだが、何かいつもよりぎこちない感じがする。姉さんもそれに気づいたのか首をかしげて不思議そうな顔をした。


「いいぞ。まあ言うところはないな。今花がしゃべったことを説明するぞ」


 姉さんが再び黒板に英文を書いて説明していく。花がぎこちない感じはしたものの英訳は完璧にできていた。帰国子女だけあってさすがと言うべきだろう。


 授業終了のチャイムが鳴り姉さんが今日はここまで復習をやっておくようにと告げみんながリラックスする。姉さんは花を呼んで二人で教室から出て行った。何の話だろう?


 次の授業が数学なので準備をしていると前の席の平が話しかけてきた。


「お前の姉さんすげーな。教え方うますぎるだろ」


「お前は成績がそれほどいいわけじゃないからちゃんと聞いておけよ」


「ねぇ篠崎君はお姉さんがすごいから頭いいの?」


 委員長も会話に入ってきたか。確かに姉さんはすごいが俺は姉さんの恩恵をそこまでうけていない。藍はいろいろと教えてもらっているそうだが……


「俺は自分で勉強やっているからだよ。姉さんは俺が困った時の最終手段でしかないよ。姉さんから勉強を教えてもらっている妹のほうが頭いいぞ」


 そう二人とも頭はいい、見た目もいい、ただし中身がすごく残念なのだ。きっと姉さんは教育実習中にボロが出るはずだ。何かあれば基本的にタバコか酒しか言わないからな。


「そうなんだ。もしかして妹さんもかわいいの?」


「藍ちゃんは女神のよブヘッ!」


 平の口から藍の名前が出たの思わず手が出てしまった。俺の妹の名を軽々しく口にした罰だ。


「妹はかわいいぞ。俺がかわいがっているから他の男には渡さないがな」


「そ、そうなのね……」


 ブラコンとでも思われているのだろうか? いやいや、あのかわいさは守ってやらないとだめだろ。最近はちょっと暴走してるけど……。それでもかわいい俺の妹には変わりないのだ。


 三人で会話をしていると授業開始のチャイムがなり先生と花が同時に入ってくる。結構姉さんと話し込んでいたみたいだ。少し気になるが別に聞く必要はないし授業に集中しよう。


 ―――――――――――――――――――――


 一日の授業が終わり部活へ行くため体育館へ向かう。今日は花とは一言も話さなかったがこれでいいのだ。明日は大会だし集中して取り組まないとな。


 部室で着替えて部長達が待つ舞台へと向かう。体のコンディションは完璧、明日はしっかり踊れそうだ。


「篠崎、明日は大会初参加だが問題はないか?」


 部長が心配してか声を掛けてくる。確かに緊張はするかもしれないが、この前みたいなに緊張しすぎてだめになることはないはずだ。


 俺がしっかりと頷き部長と目を合わせる。俺の目は今やる気に満ち溢れているはず。それを部長に伝えなければならない。


「よし、今日は確認だけで終わらせる。明日に備えて早く帰って寝るぞ」


 各チームに分かれて明日の最終確認を行う。みんな動きがまとまっていてすごくかっこいい。これなら今回は優勝も狙えるはずだ。


 ダンス部は他の部活と違い、この大会まで三年生が残れる。つまり先輩達にとっては引退試合なのだ。いい結果を残して悔いのないように引退してほしい。


 ポッピンとロッキンのチームが確認を終えたのでブレイキンのチームの確認になる。俺のソロは結局エアートラックスを完成させることができなかったので、一周だけ回って他の技に繋げるようにした。


 ルーティンもみんなとのズレがなくきれいに決まっている。俺もみんなもソロを完璧にこなしていたので問題なく明日を迎えれそうだ。


「遼、調子よさそうだな」


「石田先輩もキレッキレでしたよ」


「この大会で三年の先輩達が引退するからな。気合を入れてけよ」


 部員のみんなも同じ気持ちだと付け加えて先輩はチームへと戻っていった。おそらく次の部長は石田先輩になるはずだ。面倒見がいい先輩なら誰も反論はしないだろう。


 その後は明日の予定と待ち合わせ場所を確認して解散となり、帰りは一年メンバーと途中まで同行し、明日の意気込みを語り合った。


 ―――――――――――――――――――――


「ただいまー」


 家に帰り玄関で靴を脱いでいるとといつものようにトコトコと藍が出迎えてくれる音が聞こえた。暴走しなきゃいいんだが、いつも出迎えてくれるだけだし昨日も何もなかったから大丈夫だろう。


「遼兄ぃおかえりー」


 出迎えてくれた藍はまさかの裸エプロンだった。花みたいな実は服着ていますみたいなのではなく全裸の上からエプロンを付ける裸エプロンそのものだ。


 今日は金曜日、両親は飲みに行って帰ってこない。姉さんも教育実習生のみんなと飲んでくると連絡があったので今日は俺と藍二人きりだ。その状況を利用してこの子は新妻のようなことをしでかしているのか?


 藍の裸エプロンは花ほどのボリュームはないにしろ、かわいい顔に細身の体はまるで芸術を思わせるうつくしさだ。さすがは俺の妹だ。だがこれが俺の血の繋がった妹なのだ。


「ご飯にする? お風呂? それとも……」


 テンプレのセリフを持ってきたか。だが言わせないよ!


「先に風呂に入らせてもらう」


 俺は逃げるように風呂へと向かった。脱衣所に入り鍵をかけ、一安心してから風呂に入る。鍵を開けたままだと入ってきそうだからな。いや、鍵をかけても入ってくるかもしれない。


 体を洗った後は明日は大会だし無駄なことで疲れたくないなと思いながら湯船に浸かり、明日踊るルーティンのイメージトレーニングを行う。体が動きを覚えているので頭の中ですぐに想像できる。大丈夫だ。


 イメージトレーニングに集中しているといきなり風呂の扉が勢いよく空いたので恐る恐る目を向けると、恐れていたこと、全裸の藍が入ってきた。やはり鍵は無意味だったか。


「遼兄ぃ、ご飯は準備できたから藍も一緒に入る」


 せめて水着を着てください。藍の裸は見慣れてはいるが成長していているから目のやり場に困ってしまう。


「遼兄ぃもっと見て興奮していいよ?」


「明日は大会だから疲れたくないの」


「じゃあ大会が終わったら藍とエッチしてくれるの?」


 なぜそうなる。妹とそういうことはしない。作品を否定するわけじゃないがヨ○ガ○ソラと同じ結末は勘弁だ。え? 高校生がなぜ知ってるかって? あれは名作だ、知らないわけがない。


「藍、俺達は兄妹だ」


「そうだね」


「兄妹がこんなことしてはいけないんだ」


「でもヨ○ガ○ソラではヤってたよ?」


 なんで中学生の妹がエロゲを知っている。いや、高校生の俺が知っててもおかしいのだが……


「じゃあ今日は一緒にお風呂入るだけで我慢する」


 いや今日はじゃなくて今後もないぞ。そして藍が入るなら俺は出る。


 風呂から上がろうとしたら藍が俺の肩を掴み体重をかけてきた。再び湯船に戻され藍が向かい合うように座った。湯船に男と女が二人で浸かる。なんだかエロティックな状況だが兄と妹なのだ。


 これは妹であろうと恥ずかしいぞ。そして元気になってきやがった。これは悟られないようにしなければ。


「遼兄ぃのおっきくなってるね」


「見るな変態!」


「藍は遼兄ぃの妹だもん。変態になるよ」


「いや、ならないでしょ!」


 普通は反面教師として毛嫌いするかと思うのだが藍は違うようだ。なぜか知識豊富だしなぜかテクがすごいらしいし……。どうなっているんだこの妹は。


「遼兄ぃの部屋にあるエッチなDVDは全部見たしエッチなゲームは全部やったよ」


 勝手に人の部屋を漁るのやめてもらえませんかね。もう頭痛くなってきたよ。女の子がそんなの見たらだめでしょ。


 これ以上一緒にいるのはなんだかいやな予感しかしないので先に上がろうとすると今度は止めてこなかったのでそのまま脱衣所で体を拭き服を着る。念のため確認したが脱衣所には藍の服はなくエプロンしか置いていなかった。風呂上りも裸エプロンが確定ですね。


 その後は案の定、風呂から上がった藍が裸エプロンで夕飯を準備しいろいろと誘惑してくるもうまく流し、夕食を食べた後は部屋に逃げ込んだ。もちろん部屋の鍵は閉めたのだがやはり藍にはピッキングの技術があるようで難なく入ってきた。


「遼兄ぃ一緒に寝よ?」


「明日大会だから集中して寝たいんだ。大会終わった後ならいいよ」


「わかった」


 聞きかけがよくて助かる。今日はだめだ。明日に疲れを残すのはよくない。かわいい妹だが今の藍は相手にするだけで疲れる。


 

 明日は大会初参加、三年の先輩方の引退、緊張する要因はまだまだたくさんあるけど、頑張ってきたんだ。大丈夫、俺はちゃんとやれる。そのために今日はもう寝よう。


「大会が終わったら一緒に寝てエッチしようね」


「だからしねぇよ!」

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