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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 夏休み 後半
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第五十一話 カオス

 未成年にも関わらず酒を飲んでしまったパーティーの参加メンバーで生き残っているのは俺と姉、妹、桜だけとなった。花はまだ起きてはいるがもうだめだ。一成はほんとにどこに行きやがった。とりあえず二人から酒を奪わないと。まずは花からだ。


「花、俺もそれが飲みたいからくれないか?」


「そこにぃーあるじゃないですかぁ」


「いや、花が飲んでいるそれがほしいんだ」


「嫌ですぅー。遼しゃぁーん、またエッチなこと考えているんでしょぉー?」


 めんどくせぇなおい。寝るまで飲ませるのも一つの手だが得策ではない。なにせ俺達はまだ未成年なのだ。


「花、それが何か分かっているのか?」


お酒(おしゃけ)ぇぇぇー!」


 わかっているなら飲んじゃだめだろ。お酒は俺達にはまだ早いんだから。おい桜、他人事のようにしているがお前も飲んだらだめだ。


「遼しゃんがぁー、二人になってるよぉー♪これならぁー、私と桜で一人ずつだよぉー♪」


 そうなってくれたらいいんだけどね。残念ながら俺は一人なんだよ。だから桜、お前も飲むんじゃねぇって。


「おい遼、これはどういう……」


 どこかに消えていた一成が戻ってきた。扉から来たってことはたぶんトイレに行っていたのか。だいぶ長かったから結構ふんばったんだな。


「一成! お前もてつだ――」


 俺の言葉を聞いた姉さんが動き出した。と言うより瞬間移動のごとく一成の目の前で姿を見せたと思ったら力をこめたボディーブローを叩きつける。一成は何が起こったかわからないといった顔をした後、白目を向き、泡を吹いて気絶した。何してんだこの姉は。


「遼、こいつと何をする気だったんだ? もう寝てしまったぞ?」


「あんたが寝かせたんだろ! てかこの二人を止めろよ!」


「いやだって、こんなの見れるのなかなかないぞ。見てておもしろい」


 そう言って一成を平と詩織ちゃんが寝ているところに投げつける。まるで死体置き場のようだ。楽しかったはずのパーティーがカオスと化している。


「仕方がない。桜、手伝ってくれ! お前ももう飲むんじゃないぞ!」


「キスしてくれたらいいわよ?」


「わかったわかった。あとで好きなだけやってやるから。まずは花を……」


「私もぉー、遼しゃんとぉー。キスぅぅぅ!」


「おい花! んぅっ!?」


 突然花が俺に飛びつき唇を奪われ舌を入れられる。柔らかな唇と舌で俺の口の中を蹂躙するかのような激しいキスだ。桜の時のより激しい。だが気持ちがいい。


「んっ、くちゅ、はぁ、ちゅ、んんぅ、ちゅはぁ……」


いつまで続くのだろう。花の口を伝わって飲んでいたチューハイの味まで感じる。確かにこれはおいしいな。


「花、一緒にお風呂入りましょ」


「行く行くぅー♪桜とお風呂ぉ♪久しぶりに桜とお風呂ぉ♪」


 桜は助けたつもりなのか嫉妬してなのかどちらでもいいがなんとか俺は解放された。キスが嫌だなんてことはないぞ。だって気持ちいいし。


 二度目のディープキス。やはりいいものだった。気持ちいいとしか考えられなくなってしまう。桜の時よりも乱暴ではあったがそれでもキスの最中は他のことを考えられなくなってしまう。


 二人はリビングを出て風呂へと向かった。出て行くとき一瞬桜と目が合ったが少し泣いていた気がする。いや、考えすぎか。


「遼兄ぃすごく激しかったね」


「お前も罪な男だな」


 確信した。この姉妹は絶対に俺の味方じゃない。あの光景を見て楽しんでいやがったな。姉さんはともかく藍までとは思わなかった。お兄ちゃん悲しいよ。


「遼兄ぃ、藍もお酒飲んでキスしていい?」


「だめに決まっているだろ。そもそもお前も酔わないだろ」


「あれぐらいじゃ酔わない。いつもは姉さんともっと飲んでる」


「おい姉さん、藍に何飲ませてやがる」


 藍だめだよ。まだまだ未成熟なんだから。アルコールは成長を阻害するんだよ。二十歳になるまで我慢しようね。

 

 姉さんも聞いてないふりしてんじゃねぇよ。てか未成年に飲ませるな。こんな姉がほんとに教員になれるのか不安だ。なってはいけない気がしてきた。


「姉さん、まさかとは思うが藍にタバコも吸わせてるんじゃないよな?」


 不安になったので聞いてみた。姉さんはいいんだ、タバコを吸ってても。なんかかっこいいから。でも俺のかわいい妹がタバコを吸っているところは想像したくない。二十歳を超えても藍はタバコを吸わないでほしい。


「安心しろ。藍にはタバコはさせねぇよ。二十歳になってからだ」


「お酒もな!!!」


 この姉はもうだめだ。諦めよう。教員になって何かしでかしても他人の振りをするのだと心に決めたのであった。

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