第四十二話 魔法少女
魔法少女は出ません。
家に帰るといつものように藍が出迎えてくれた。今日も薄着で家の中をうろうろしていたのか。だからスカートかズボンを着ようね。
「遼兄ぃおかえり。プールの連絡きた?」
「ただいま。連絡きてたよ。藍も行くでしょ?」
もち! と親指を立てる藍。きっと楽しみなんだろうな。頭を撫でてやろう。
「また水着買うのか?」
「この前初姉ぇが二つ買ってくれたから大丈夫。今度は前とは違うの着るよ」
それなら問題ないな。藍は何着てもかわいいから問題ないだろうが変な男の目に付くような露出度が高いのはやめてほしい。
「今日は予定ないのか?」
「今日はアニメ見る。遼兄ぃも見る?」
「何を見るんだ?」
「魔法少女のアニメ」
あの人気作品かな? 一通り見た気がするが特にやることもないし藍と一緒に見てやるか。
リビングに移動し二人でソファに座る。藍が見ようとしていたのは人気作品のほうではなくこの前アニメ化された魔法少女のアニメだった。かなりシリアスな話だとネットに書かれていたな。
「これ今日で全部見るのか?」
「1クール十二話だと約六時間で見れる」
今がちょうど午後二時半だからぶっ通しで終わるのが八時半か。ご飯を作らないといけないから俺は途中までかな。
「藍、夕飯は何が食べたい?」
「今日は私が作るからいい」
藍が自分から夕食を作ってくれるなんて、お兄ちゃん感動だよ。でもそうすると藍が途中から見れなくなるな。一緒に作ったほうがいいかな? 両親は昨日から夏休みとか言ってどっか行っちゃったし姉さんも帰りは遅いと思うから今日は二人だけだしね。
「それなら俺も手伝うよ。そのほうが二人でアニメ見れるでしょ」
「じゃあそれで」
それではアニメを見ますか。藍がディスクを入れて再生ボタンを押しソファに戻ってくる。そして当たり前のように俺の膝の上に座った。今日は甘えたい日なのかな? 藍も女の子だ、やっぱりいい匂いがするな。パンツ越しに柔らかいお尻の感触が俺の脚に伝わる。妹じゃなければこんな無防備の子を襲っているに違いない。
「遼兄ぃ、変なこと考えてない?」
「藍のお尻が柔らかいってことしか考えてないよ」
顔を俺に向け上目遣いで聞いてくる藍に俺は何も隠さず思ったことを口にした。だってかわいいんだもん。この子は自分がかわいいとわかっていてこういうことをやってくるのか? それなら桜タイプの小悪魔になる可能性を秘めているな。
「遼兄ぃ、藍でエッチなこと考えてもきんしんそーかんはだめだよ」
大丈夫だよ。藍はかわいいけど俺の妹だもんな。むしろ俺のかわいい妹に手を出そうって男がいたら出て来い。究極必殺奥義の魔王召還(姉さん)の餌食にしてやる。
「遼兄ぃこのアニメどうかな?」
「まだ一話だし展開しだいじゃないか?」
俺もこのアニメはまだ見ていないからわからない。四半期で入れ替わるアニメは結構見ているがこれは確か受験の時にやっていたから見ていなかったな。
二人で黙ってアニメを見る。内容は結構シリアスでグロシーンも多く見ていて気持ちのいいものではなかった。最近誰も救われないアニメって多いけどこれに関してはもうすごいとしか言えないね。やっぱりホラー映画以外はハッピーエンドが一番だよ。
藍がディスクを取り替えるところで花と桜に返信することを思い出したのでトークアプリを開き俺と藍も行くことと姉さんはわからないという旨を伝える。
藍がディスクを再生して再び俺の膝の上に戻ったのでスマホを横に置き、藍が座りやすいように体勢を整えた。
「誰に連絡していたの?」
「花と桜だよ。さっきプールに行こうってメッセージを返信していなかったんだ」
少し不機嫌そうな顔だな。これは嫉妬しているのかな?最近はそういうの無くなったと思っていたんだが、今日は二人きりだしたまにはいいか。
「今日は藍と二人だから甘えていいだぞ」
「エッチなことしない?」
「するわけないだろ。かわいい妹なんだぞ」
微笑みながら頭を撫でると藍は目を閉じて嬉しそうな顔をした。最近あまり構ってあげてないからな。今日ぐらい甘えても誰も文句は言わないだろ。
藍がテレビに顔を向け俺に背中を預けてきたので俺も藍のお腹付近を腕で抱きしめるようにする。少しくすぐったそうにしていたがこれぐらいなら大丈夫だろ。成長したおっぱいが気にならないかと聞かれたら少し触ってみたい気持ちもあるが、妹に劣情を向けたくは無いのでこれで我慢する。女の子のいい匂いだけで十分満足だ。
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アニメのちょうど半分を見終わったところで一旦中断し、夕食の準備に取り掛かることにする。メインは藍、俺は藍のお手伝いとして料理を行うことになった。
「何を作るんだ?」
「カレー」
「簡単なものを作るんだな」
「まだ手順があいまいなの」
全然難しくないのだが、最近から料理を始めた藍にはまだ難しいようだ。とりあえず藍が困ったら助けてあげよう。それまでは指示に従うか。
「俺は何をしようか?」
「野菜を切ってほしい」
「仰せのままに」
そんな感じで料理を始めたのだが、藍の手際がよくて特に助けることもなくカレーが完成した。対して難しくはないし、一回覚えてしまえば誰でも作れるから普通のカレーはもう大丈夫だろう。皿に盛り付けて二人分をリビングに運びソファに座る。今日はアニメを見ながら食べることにしたのだ。食事をするので藍は俺の隣だ。
「「いただきます」」
さて、俺は野菜しか切っていないがうまくできているかな。スプーンでカレーと白米をすくって口に運ぶ。少し水っぽい気がするがちゃんとカレーだな。
「藍、次から少し牛乳を入れるととろみが出るからやってみてね」
「わかった。あまりおいしくない?」
「いや、カレーだ。大丈夫だよ」
カレーをまずくするほうが難しいと思うぞと付け加えると藍は嬉しそうな顔になりバクバクとカレーを口にしていく。ちゃんと噛まないと喉につまらせるぞ。
かわいい妹の手料理をおいしくいただきながらまたアニメを見始める。正直グロシーンもあるアニメを見ながら食事をするってのもどうかと思うのだが、まあ時間効率いいし、藍が見たいっていうし、仕方ないよね。
食べ終わったがもう少しでディスクを変えるところなので皿はテーブルの上に置いて目をテレビに向ける。できれば水につけておきたいが今は目が離せない。藍も同じ考えらしくテレビに目が釘付けになっている。
「藍この話が終わったらディスクを頼む。俺は皿を洗ってくる」
「わかったー」
そしてEDが流れた瞬間に俺は皿を持って台所へダッシュ、スポンジに洗剤をつけて水を流しながら皿を洗い、洗い終わったら食器乾燥機の中に入れてスイッチを押した。急いでリビングに戻るとちょうど藍が再生スイッチを押したところだったので俺はソファに座り藍が俺の膝の上に座った。
「ナイスタイミング」
藍がビシッ! と親指をたて微笑むので俺も微笑みを返し頭を撫でてやる。
「このディスクで終わりだね」
「結末はどうなるのやら」
ラストシーンが近づくたびに俺達はドキドキしながら見ていた。結末はみんな死んで終わりだった。まあ内容的にもそんな感じはしたけどあっけなかったな。俺が好きな作品にはならない。バッドエンドの作品はあまり好きになれないんだよな。
「藍はこのアニメどうだった?」
「結構好きかも。話がちゃんとまとまってるし伏線もいろいろあって面白かった」
藍が楽しめたのならそれでいいか。結構長い時間座っていたし少し疲れたから今日は風呂に入って寝るか。今日は甘えていいって言ったしたぶん一緒に風呂入りたがるだろうな。
「今日は一緒に風呂に入るか?」
「それは藍が遼兄ぃのを食べてもいいってことでいいの?」
「……ごめん。先に入っていいよ」
「わかった。少し残念」
去年までは一緒に入ろうってよく言ってきたのにいつの間にか妹は女になってしまったのか。お兄ちゃんは嬉しいのか悲しいのか複雑な気持ちだよ。というか方向性が間違いなく桜と同じとこに向かっている気がするのだが。少し前までは兄離れできなくて将来が心配になっていたがこれは違う意味で心配になってくる。頼むからビッチにはならないでくれよ。
ちなみに私はリリカルなのはが好きです。
フェイトたんぺろぺろ




