15 真面目な夫婦ですが何か?
陽子が来た日から、なんとなく2人の関係がぎくしゃくし始めた。
子どもの話を避けるようになって、変なところで会話が終わる。
寝る時間をわざとずらす。
♥最近、正さんとすれ違いになっている気がする。
でも、何をどうしたらいいかわからないわ。
家のことが気になるから、仕事にも身が入らない。
「どうしたの?最近、珍しいミスが多いじゃない?」
既婚者 鈴木にそう言われて、また凹む。
「…夫とすれ違いになってしまっていて」
うっかり私語をしてしまった。
「そんなの、うちじゃしょっちゅうよ。夫婦なんてずっと一緒にいるんだから、そういうこともあるわよ」
そう言われた。
夫婦はずっと一緒にいるから。
既婚者 鈴木に言われてハッとした。
そうして、自分が陽子に言った言葉を思い出す。
『そういうことは、私にではなく、旦那様にお話されたほうがいいのではないでしょうか?』
自分で答えを出していたのに、先延ばしにしていたことが恥ずかしくなる。
既婚者 鈴木に愚痴っている場合じゃない。
ちゃんと、正と話をしなくてはいけないと思った。
帰宅して、夜ご飯を作って、正を待つ。
どう話そうか何度もシミュレーションをした。
「ただいま」
そう言って帰ってきた正の手に、白い箱があった。
「おかえりなさい」
そう言いながら、目が白い箱にいく。
「あ…ケーキを、買ってきました。デザートに…」
そう言われてケーキを受け取る。
正も清子と話をしたくて、2人でゆっくり話せるようにとケーキを購入したのだった。
白い箱を受け取ったときに清子がそれに気がついて微笑む。
「ケーキ、食べたいと思っていたんです」
そう伝えた。
夜ご飯を食べると、正がコーヒーを淹れてくれる。
その隣で、清子はケーキを皿に盛りつけた。
ダイニングテーブルに座ると、正が頭を掻いて姿勢を正す。
「最近、変な態度をとってしまっていてすみませんでした」
そう言われて、清子も慌てて頭を下げる。
「いえ、私も、変に意識をしてしまってすみませんでした」
2人で顔を上げて、微笑み合う。
それから、ケーキを食べながら子どもについて話し合った。
「あれから考えたんですが、やはり子どもはほしいです。…その出生率に関係なく、正さんとの間に、子どもがほしいです」
清子がそう言うと、正の表情が明るくなる。
「俺もっ…あ、すみません。俺も、子どもがほしいです。出生率に関係なく」
ちょっと興奮してしまった自分を恥じらいながら正が清子にそう伝えた。
「理想は、長女、長男の順ですが…」
「え?女の子が先ですか?」
「はい、一姫二太郎と言うじゃありませんか」
「……」
正と清子では、少し認識に違いがある。
ただ産まれてくる順番は、正にも清子にも決められないということに、2人はまだ気がついていない。
「やっぱり、1人目と2人目の間は2年開けたいですよね」
「はい。年子は大変だと聞きますし、2年開けるのには賛成です」
そして、子どもをつくるためには、プラトニックな関係から大人な関係へ発展させなければいけないことにもまだ、気がついていないのだった。
♥やだ~。正さんにそっくりの男の子が産まれたらどうしよ~
♠清子さんにそっくりな女の子が産まれたら。
お嫁に行かせられない…え、パパとか呼ばれちゃうのかな。
いや~パパかぁ…
それでも真面目な2人は、その問題にも向き合っていくのだろう。
「真面目ですが何か?」、完結となります。
こんな自慰小説を、多くの方が目にとめてくださるのが嬉しくて、本当に執筆の励みになりました。
読んでいただいた皆さま、ありがとうございます。
普段は18禁の小説をメインで書いております。
18歳以上の方はよければ、のぞいてみてください。




