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使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


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第20話 期待を越えてくるのがデフォなのよ

「……もはや毎度のことだが、あれだけ生い茂っていた雑草を、こんな短期間ですべて取り除いちまうなんて」


〈草刈り〉と〈乾燥〉によって、綺麗さっぱり雑草が消えた農地を見渡しながら、ゼファルさんが呆れたように言う。


「でも、これで作物を育てることができそうですね」

「ああ。もちろん土を耕したり、堆肥を撒いたり、まだまだやるべきことは多いがな」

「なるほど……すぐに作物の種を植えるというわけにはいかないんですね」


 土壌の状態を回復させないと作物は育たないらしい。


「でも一つ、試してみたい生活魔法があるんですけど」

「ぜひ頼む」

「えっ、二つ返事で?」

「今までのお前さんの働きを見ていたら当然だろう」


 そんなに期待されても……と思いつつ、僕は復興隊のみんなに手伝ってもらい、農地の一部に作物の種を植えてもらうことにした。

 もちろん雑草を取り除いただけで、何の処置も施していない。


「じゃあ、行きますね。〈庭いじり〉!」


 僕が使ったのは、植物の育成をほんの少しだけ手助けする生活魔法だ。

「庭いじり」の言葉通り、主に家庭菜園などを想定したものだけれど、魔力をしっかり込めればこの農地でも効果があるかもしれない。


「……えっと、何も起こらないですね」


 しばらく待ってみても、目の前の畑には何の変化も現れなかった。


「すみません、期待に応えらなかったみたいです。貴重な種まで植えてもらったのに……」

「いやいや、いいってことよ! お前さんのお陰でここまで復興が進んだわけだからな! むしろ少しくらい失敗してくれねぇと、俺たち復興隊の役目が無くなって困っちまうくらいだ!」


 ゼファルさんが優しく許してくれる。

 だけど植えてもらった作物の種は、わざわざ他の街や村まで赴き、頼み込んで譲ってもらったものなのだ。


「心配しなくても効果はあると思うわ」


 と、そこへシルアが割り込んでくる。


「どういうこと?」

「植物の育成を手助けすると言っても、そんなに急激に育つはずないわ。何日かは様子をみないと」

「言われてみれば」


〈修繕〉や〈草刈り〉のように、劇的な変化を期待し過ぎていたみたいだ。


 というわけで、この日はいったん復興隊の拠点に戻った。

 ちなみに建物が元通りになったので、拠点は都市の外の砦から、かつては役所として使われていた都市内の建物へと移動してある。


 そして翌日、再び農地にやってきた僕たちは、信じられない光景を目の当たりにすることになった。


「「「めっちゃ育ってるうううううう!?」」」


 ジャガイモ、カボチャ、ダイコン、ナス……昨日ここに種を植えたばかりの作物が、もうすっかり収穫できるほどに成長していたのだ。

 いや、それどころか……通常の作物よりもずっと大きい。


「ほら、私が言った通りでしょ。ライルの生活魔法は、期待を越えてくるのがデフォなのよ」


 シルアがドヤ顔している。


「こ、こいつはすげぇな! たった一晩でこんなに成長しちまうとはよ!」


 早速、収穫することにした。


「見ろ、この立派なカボチャを!」

「こっちのカボチャも負けてないぞ!」

「ダイコンも見事なもんだ!」


 復興隊だけでは食べ切れないほどの野菜がずらりと並ぶ。

 そしてせっかくなので採れたてを食べてみようということになった。


「味の方は大丈夫かな? 大きいだけで中身はスカスカかもしれないし……」


〈庭いじり〉で無理やり成長させたわけで、味が伴っていなくてもおかしくない。

 僕が少し心配していると、シルアがダイコンを持ち上げながら、


「こんなに重たいんだから大丈夫でしょ。きっと味も美味しいはず。もう食べなくても分かるわ。ここまで来たら馬鹿でも展開が読める」

「展開て」


 試食会は農地のすぐ傍で行われた。


 そこらで拾ってきた大き目の石を並べ、その上に鉄網を置く。

 そうして僕の〈火起こし〉で火をつけると、鉄網の上で切った野菜を焼いていった。


「ご、ご馳走だ……っ!」

「まさか新鮮な野菜を食えるなんて!」

「しばらく保存食ばっかりだったからなぁ……じゅるり」


 みんな涎を垂らしながら感動している。


 幸いどの野菜も中身がしっかりあって、見た目も美味しそうだけれど、やっぱり僕は野菜の味が心配だった。

 なにせ調味料は最低限のものしかなく、ほとんど焼いただけなので素材の味が問われるのだ。


 恐る恐る焼いたジャガイモを口に運んでみる。


「~~~~~~~~っ!? お、美味しいっ!?」


 遅れて野菜を口にしたみんなが次々と叫んだ。


「「「うめえええええええええええええええっ!!」」」


 ジャガイモに続いてカボチャやダイコンも食べてみたけれど、どれも予想を大きく超える美味しさだった。

 まるで肉でも食べているかのように、噛むたびに口の中に甘みや旨味が広がっていくのだ。


「こんなうまい野菜はじめて食べたぞ!?」

「俺もだ!」

「おれ、実は昔からナスが苦手だったんだが、このナスならいくらでも食えるぜ!」


 みんな大絶賛である。


「な、なぁ、ライル! お前さんに頼ってばかりで申し訳ねぇがよ、もっと色んな作物をその〈庭いじり〉で育ててくれねぇか!?」

「もちろんいいですよ」


 というわけで、さらに色んな野菜を、そしてローヌ麦という穀物を栽培することになった。


 ローヌ麦は背丈が低く、この草原地帯のような風の強い地域に適しており、雑草にも強い性質を持つという。

 この辺りでよく栽培され、獣人たちが主食にしているらしい。


「ありがてぇ! この都市に十分な食べ物が……それも、めちゃくちゃうまい作物があることが知れ渡れば、同胞たちがもっと戻ってきてくれるかもしれねぇ!」


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きねづか
5月8日発売!!!
― 新着の感想 ―
便利屋すぎる。 これはタダ働きなのかなぁ?
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